「ワクチントーク in 京都」で鳥インフルエンザについて語る(2009年3月)

「ワクチントークin京都」で鳥インフルエンザについて語る

3月22日「ワクチントークin京都」で,主に鳥インフルエンザについてお話ししました。まず人インフルエンザ,鳥インフルエンザ,パンデミックインフ ルエンザ,を明確に区別することからはじめました。以前は,脳症になるからインフルエンザが怖いと脅かしていましたが,消炎剤の使用減少で脳症の発生は以 前の1/10程度,年間30名ほどに減りました。そこで登場したのが,鳥インフルエンザやパンデミックであり,この各種インフルエンザを混同させることで 市民を脅かして,人ワクチンを売り,タミフルやプレパンデミックワクチンを備蓄(製薬会社に税金や医療費を横流し)しているからです。
人インフルエンザはまるきり怖くないものであることはご存じの通りです。また,鳥インフルエンザはいわゆる発展途上国でしか死者は出ていませんし,人の間では流行しないことが証明されています。
4千万人の命を奪ったとされる「スペイン風邪」では,最大の犠牲者は過酷な生活を強いられていた当時の被植民地の人々であり,若い兵士が塹壕の中で死ん でいったことは周知の事実です。インドでの死者は1.2千万から2千万人とされています。また,植民地では被支配者が支配者の何倍も死亡した事実が指摘さ れています。私は朝鮮と台湾のデータを整理することで,これを確認しました。これらの事実は,環境の改善により死亡率が大きく減少することを示していま す。
また,最近の研究では,スペイン風邪の死因の大多数が細菌性肺炎だったことが示されています。これは抗生物質の発達した現代では多くの人が救えたことを 意味しています。浜氏はアスピリンなど「薬」の使用法が無茶苦茶なための死亡者の増大を指定されています。これらの事実は,環境や医療の改善で万が一パン デミックが起こったとしても,死亡率は大きく下がることを示しています。スペイン風邪の4000万人に比して,1957年のアジア風邪では死者200 万,1968年の香港風邪では100万に減少しています。
プレパンデミックワクチンは,鳥インフルエンザに対するワクチンであり,パンデミックとは全く関連しない可能性が高く,役に立たないばかりか,かえって 抵抗を邪魔する可能性もあります。さらに,日本のそれは抗体をほんの少ししか上げない上に,神経系の障がいなどを多発させる可能性があります。1987年 のアメリカでのスペイン風邪の軍隊内での発生と,全国民へのワクチン接種計画と副作用の多発による中止は,現在のプレパンデミックワクチンの愚行を戒める 事実です。
最後に,ウイルスの遺伝子操作によって,「低病原性」が「高病原性」に変えられることなどから,インフルエンザを生物兵器に使うことの危険性があることに注目すべきです。
パンデミック対策をするとすれば,まず平和,貧困の根絶,病棟をいつも余裕のある状態にすることや抗生物質の乱用を止めるなど一般医療の改善です。それは何の役にも立たないタミフルやプレパンデミックワクチンとは違い,現在の市民生活を改善する政策でもあるのです。

2009.3 H