浮雲保健師ぶ~やんの呟き(NEWS No.433 p06)

「あれから・・・半年」

東日本大震災から半年が過ぎた。

「もう半年?」「まだ半年?」

思いや感じ方は人それぞれで,一人ひとり違う思いで半年目を迎えている。様々な親子が集まるつどいの広場でも,それぞれの形で震災と向き合っている。

・地震直後に関東から大阪の実家へ帰郷していた親子。

ライフライン復旧までの数日と思い,着の身着のままで来た。まさか原発事故が起こる事など誰も予想できるはずもない。心配するおじいちゃん・おばあちゃんを説得できずに帰るに帰れない状況となり不安な毎日を送っての半年。関東の自宅近辺は元通りになっているとはいえ,飲料水はペットボトルが当たり前で,「1.2の震度は大丈夫」と,すっかり地震慣れしている友人の話を聞くと,ママも不安になり益々帰宅が遠のいてしまっている。乳幼児健診はどうしたらいいのか?予防注射はどうなるのか?そして,帰ってから,飲み物食べ物は大丈夫なのだろうか?

・  パパがアメリカ人の親子。

アメリカの両親が心配し,すぐにでもアメリカで暮らすように言ってくる毎日。アメリカから見ると,ほんの小さな国土の日本。原発事故で日本全土危険区域と思ってしまう様だ。小さな子どもへの食べ物を特に心配している。「大阪は大丈夫」とグランパ・グランマに言ってはみても,本当に大丈夫なのだろうか?とママ自身不安がよぎる毎日。

このような人々が,同じような状況の親子に会えないかと,つどいの広場にやって来る。家に一人で居ると不安定になってくると心配する親子も,同じような不安を語り合いたいと広場にやって来る。そして,ママたちが集まると自然と原発事故後の不安を話し始める。

市販されている野菜は本当に大丈夫なのか? 野菜の正しい食べ方をテレビでしていたが,何処の産地でも放射能が心配なのか? 牛肉の問題はどうなったのか? 豚はどうなのか? 中国産のほうが安全? いや,以前中国産で問題があったのじゃ? 水道水も心配? やっぱりペットボトルが安心? 今後も色々な事が起ってくるのか?・・・

無限大に不安材料が上がってくる。こんな会話から風評被害も,どんどん広がっていくのだと,寒気を感じる私は,ママたちの井戸端会議が,極端な会話にならない様に注意を払いながら,走り回る子どもたちを見守っている。ママたちの心配をよそに,元気に走り回り,笑顔をふりまいてくれる子ども達。その姿を見ていると,誰もが幸せなひと時に包まれる。そして,その笑顔のために,正しい情報を,この広場で提供出来るようにしなければと思い,気を引き締め直し,CDラジカセのスイッチを入れる。子どもたちの目が,一段と輝く瞬間!

「♪ぐるぐるぐるぐる~どっか~ん♪」

保健師 川崎