今回は、抗インフルエンザ薬「イナビル」の、何を指標にして効果を判定するかの「評価項目」の不思議です。
下表の、J202、J201とA202 の評価項目は解熱までの時間です。ところが、台湾で行われた唯一の偽薬対照のA202 では偽薬との間に有意差がありませんでした。
そこで、以後の試験は評価項目を、表のように「インフルエンザ罹病時間」に変更してやっと「効いた」としているのです。この評価項目は『治験薬の初回投与から患者日記に記載される各インフルエンザ症状(頭痛、筋肉または関節痛、疲労感、悪寒又は発汗、鼻症状、のどの痛み、咳)について、全ての症状が「なし」又は「軽度」に改善し、それらが21.5時間以上継続する最初の時点までの時間と規定されている。』だそうです。
要するに、イナビルは、解熱までの時間も短縮できていないのです。
試験 | 対象 | 主要評価項目 | 副次評価項目 |
J202国内 | 小児(16才以下) | インフルエンザ罹病時間(体温の基準:36.9度以下) | (回復するまでの時間等も併せて検討された) |
J201国内 | 成人 | 体温が平熱(36.9℃以下)に回復するまでの時間 | |
A202台湾 | 成人 | 体温が平熱(37.2℃以下)に回復するまでの時間 | インフルエンザ罹病時間 |
J203国内 | 成人 | インフルエンザ罹病時間 | |
J3-1国内 | 成人 | インフルエンザ罹病時間 | |
J302国内 | 小児(16才以下) | インフルエンザ罹病時間 | |
J303国内 | 未成年者(10才代) | インフルエンザ罹病時間 |
審査結果報告書より)はやし小児科林