医療トピックス 「郡山子ども健康相談会」参加報告(NEWS No.449 p05)

2013年1月20日「第35回郡山・田村母と女性教職員の会」のプログラムの中に設定されて、郡山市内では初めて開催された「子ども健康相談会」に参加しました。主催は福島県教職員組合郡山支部&田村支部の女性部と母親グループ(注)からなる「同実行委員会」で、「第35回」とあるように長年、「平和と民主主義の運動を進め」て来られたようです。昨年の第34回は「原発と子どもの未来を考える」というテーマで開催されています。今回は、CRMS市民放射能測定所(福島市)の共催、「子どもたちを放射能から守る全国小児科医ネットワーク(代表:山田真氏)」と「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク(SAFLAN)」が協力しての、原発事故と放射線健康障害を正面に据えた大きな取り組みだったと思います。(注)3a[安全・安心・アクション] in 郡山:活動内容は、安心野菜の取り寄せ販売、微量放射線測定器での測定結果の記録、保養等各情報の提供など。

実行委員会からは基調報告の中で、「私たち福島県民は、安心安全といいきれないのに、線量が下がったからと言い聞かせて生活していますが、事故前の福島県の放射線量は約0.04μSv/hでしたから現在の線量が、いかに高いかがわかります。・・・私たちは、これから長い年月被曝し続けます。こどもたちそして自分たちを守るために、「原発事故子ども被災者支援法」を具体的施策としていくことが必要です。・・・原発事故による被害者・被曝者への補償を国・東京電力に求める運動をすすめましょう。国の責任において、子どもたちが安心して過ごせる環境を作るよう要求しましょう。」との訴えがありました。

また原発事故で被曝被害をもたらした当時の東京電力や国の幹部らを業務上過失致死障害容疑で福島地検への告訴を全国に呼び掛けた「福島原発告訴団」事務局の地脇美和さんからのアピールも受けました。その後、「子どもたちを放射能から守るために」と題する、山田真氏の講演もありました。

午後には、「原発労働の実態と被曝の影響」についての、原発労働者の息子さんを白血病で亡くされた嶋橋美智子さんのお話や、「子ども被災者支援法具現化のために」と題した、SAFLAN江口智子弁護士による支援法ワークショップが開催されていました。健康相談会で私は3組を担当、そのうち2組は3aグループの方で、当日はスタッフとしても参加されていました。

相談が現在の空間線量や外部被曝線量から始まることが、大阪での相談会では経験しない辛さでした。住居内線量は0.1(鉄筋コンクリート)~0.2(木造)μSv/h(1.75mSv/Y、戸内の外部被曝だけで1mSv/Yを越えてしまう)、駐車場は0.7μSv/h。ガラスバッチでは、35日間で0.11mSv(365日では、1.15mSv)

幼児では、外遊びはさせず、戸外ではおんぶしたまま。血液検査で「代謝異常」の疑いありと言われたが、妊娠6ヵ月だった’11年3月15日に雨に打たれた為かとの不安を抱き続けられていました。中学生の母は、高校受験では他県を受けさせ子どもだけは転居させたい、長期休みでは保養に行かせたが、今年は部活(吹奏楽)を休みたくないので保養には行かないと言う。どうしたら良いか?ダウン症候群は弱いと言われるが、放射線にも弱いのか?

県民健康管理調査結果で、「A2」判定の通知を受けて他の医療機関で再検査したら、「A2」が「B」判定になった子どもがいる。自分の子どももすぐに再検査すべきか?と悩んでおられる。保護者の気持ちを全く考慮しない、検診ではなくて「調査」の実態に触れました。

集会では、「福島の子どもたちと県民を守る」決議も採択されていました。福島の地で、このような集会を開催するにあたっては、県教組の応援があったにしても「母と女性教職員の会」の皆さんの勇気・努力があってこそと感じます。

この運動と共にあるためには?とまた、問われた気持ちです。被曝線量の高さから考えても、このままでは「低線量汚染地域からの報告」にあるような事態になることは十分考えられます。やはりレベル7なんだと重い気分ですが、座しているわけにはいかないですね!

(小児科医 伊集院)