医問研奈良事務所開き公開勉強会報告(NEWS No.450 p01)

放射能から子どもを守るコラボレーション

学会(大阪)、4月の日本小児科学会(広島)での演題発表に向けて、公開の勉強会を開催しました。当日は早朝から、近鉄奈良線学園前駅前にある奈良事務所には、医問研会員のみならず、奈良・市民放射能測定所のスタッフや、メールで知った地域の方々の参加がありました。

まず山本さんから福島県民健診でみつかった甲状腺がんは、この年齢では有意に高い発見率であること、結節とのう胞の出現率についても自分の病院で調べた過去の検査と比べて高率なので、さらに詳しい調査が必要との報告がありました。入江さんからは、診療放射線の被ばくによる発がんリスクについて、1950年代から現在に至る有意のリスク上昇を示した疫学調査のまとめが出されました。

参加いただいた医薬ビジランスセンターの浜さんからは、有意差を示さなかった論文の問題点を検討することも重要、とのコメントがありました。

午後はロシアのヤブロコフ博士の東京講演をユーチューブで観た後、林さんより日本小児科学会が150mSvでも安全する見解について、アドバイザーの広島大学田代教授が参考にしたとする文献の検討結果が報告されました。しかし、どの文献を当たっても根拠となる内容は見当たらず、子どもたちを放射能の被曝から守るため早急に撤回を取り組むことにしました。高松さんからは、ロシア小児放射線防護臨床研究センター長ラリーサ.バーレヴァさんや医薬基盤研究所の野村大成さんなどとの交流から学んだ研究成果や、福島の子ども健康相談会の報告がありました。伊集院さんからは、大阪での避難者健康相談会の取り組み報告と4月28日大阪市ドーンセンターでの相談会への参加協力が呼びかけられました。相談会スタッフの増田看護師さんからも活動の報告がありました。

参加いただいた奈良県保険医協会の宮際さんからは、奈良県での避難者健診の結果とともに、関東での先天性形態障害発症例が報告されました。勉強会の隣の部屋では、奈良・市民放射能測定所が測定開始に向けて、計測器の調整・測定実習が続けられており、スタッフの多くの皆さんも勉強会に関心をもっていただきました。また測定所のメーリングリストをみて、近所で環境保護活動をしている方や、大学で心理学を教えている方なども参加され、医学界の体質などについて率直な疑問が出されるなど、幅広い領域の方々と公開で討論できました。この成果を是非3月と4月の小児科学会で花開かせたいと確認して閉会となりました。

(なお、JIPの浜六郎氏から、事務所開きのお祝い酒をいただきました。)