中国で発生している鳥インフルエンザの報道が続いている。
新型インフルエンザでは総出荷量が1番多かった化血研ワクチンのロットSL02、SL04の死亡頻度が高かったことを思い出した。添付文書では同じ発育鶏卵培養法で作られているにもかかわらず出荷量も死亡頻度も高いこの化血研ワクチンを改めて検証した。
<死亡頻度ワースト3ロット>
平成22年度厚生労働省資料「新型インフルエンザワクチンの医療機関からの副反応報告及び医療機関納入数量から推定される推定摂取者数に基づく報告頻度」(2009年10月~2010年6月)
報告から、これら「ワースト3ロット」を含めた全ワクチンの平均死亡頻度は133/4420万回分となり10万接種当たりは0.30だった。化血研のSL02では3.2/10万回であるから平均の10倍以上の死亡頻度である。
迅速な製造が求められるパンデミックワクチンで化血研はその供給に大きく貢献した。アヒル幹細胞由来のEB66細胞による培養技術をもつGSK社は「新型インフルエンザから人々を守る。グラクソ・スミスクライン、化学及血清療法研究所(化血研)と国内でワクチン生産のための新しい細胞培養技術開発の方針で合意2009-02-02」と発表していた。同年4月にメキシコで豚インフルエンザが流行、6月にWHOがパンデミック宣言をしている。GSKの輸入緊急ワクチンで使われずに余剰となった物だけでも547億円分と報道されていた。
化血研は2009年9月18日にGSKとの共同開発に関する契約締結について「細胞培養による新型インフルエンザワクチンを共同開発し、早期に国内生産及び供給することを目的としております。」と発表している。添付文書では化血研も時間のかかる鶏卵培養法とありこの発表は何だったのか?
現在、鳥インフルエンザワクチン製造に向けてバクスターもアフリカミドリザル腎臓細胞由来ヴェロ細胞を使った開発に乗り出している。バクスターは薬害エイズ事件で非加熱製剤を輸出した会社である。ワクチン会社では細胞培養法やアジュバントの開発に力をいれている。2009-2010年の同じ製造法によるワクチンですらロットごとにその品質が疑われる内容であった。改めてこの問題を精査する必要がある。(薬剤師 小林)