4月28日「第三回福島避難者子ども健康相談会」報告(NEWS No.454 p04)

今回は福島県から(7家族9名)だけでなく、千葉県・茨城県・東京都など東日本から避難した子ども達(6家族9名)の参加があり、避難先の和歌山県から幼児2人を連れて母ひとりバギーを押しての参加もありました。昨年の2回と同様に、問診や保育担当、教育相談、法律相談、アロマテラピーなど避難者を支援しようと、初参加された小児科医も含めて55人のボランティアスタッフが集まりました。また市民放射能測定所(CRMS)福島から3名の方が見学・応援のため来阪して下さいました。

昨年4月第一回相談会では、鼻出血・下痢・微熱・疲れやすいなど3.11以降の体調不良に関する訴えが多くありましたが、今回は2月福島での「甲状腺がん10名」(‘11年度調査結果)の 公表を受けて、相談内容はやはり今後の健康不安からの訴えが多くありました。

「検査を今まで受けたことがないので希望する。」「今春、避難してきたので情報を得たい。」「福島での検査に不信感があるので、再検査希望。」「放射線について相談できる医療機関を紹介してほしい。」「超音波、血液、尿中セシウム検査などの結果を説明してほしい。」

今後の検査についての質問では、
「どこで?・頻度は?・子どもがいやがるのでいつまでか?」など。
「検査希望」での医療機関紹介は4家族5名に行いました。

また、両親で避難についての考えが異なる、「幼稚園は福島で」と帰還を勧められる、「どうすればよいか?」の相談。原発事故後2年しか経っていないのに、「いつまで、何やってるの?!」「避難?まだ、あるの?」の言葉を受けることがあるなど、避難生活の困難さの訴えも発せられました。

参加者からは、具体的な数値を参考に親切に答えて頂いた、放射能関係だけでなく、日頃気になっていた予防接種や薬についても話が聞けた、初めての参加だが来て良かった、福島以外にも広げて頂き有り難い、保育は大変助かるなどの感想がありました。相談を受ける側としては、避難元の地域、家屋内や戸外の放射線線量を確認しつつ、避難者と「避難は当然!」を共有し合うことが辛さの続く避難生活を支える一助になるのでは? と感じました。

昼食時間を利用して、CRMS福島スタッフの報告を受けました。二人の母でもある保健師の方は、福島市行政・教育委員会が「安全」「保養は必要ない」とする中で、甲状腺検査やガラスバッチの線量結果に「どうやって過ごせばよいのか?」と不安に思う母が孤立、安心情報にすがり諦めて受け入れ、心の安定を得たいとする母も居ると、福島の母親たちの辛さを報告され、「親御さんは、きちんとした知識を求めている、健康相談会を続けて欲しい」と訴えられました。この言葉を受けて、6月16日京都市内で初めて開催される「避難者こども健康相談会きょうと」にも参加したいと思っています。 (小児科医 伊集院)