国際会議 「原発事故がもたらす自然界と人体への影響について」参加します。(NEWS No.461 p02)

医問研の3名の会員がドイツでの国際会議(3月4日ー3月7日)に参加することになりました。
会議主催者から医問研に正式に参加招請が来たものです。

この会議は核戦争防止国際医師会議(IPPNW)・ドイツ支部らが主催するものです。
会議には、医師、科学者、環境保護家、及び放射能汚染地域に暮らす住民へ様々な形で援助活動を行なう全ての人たちが参加することが出来ます。

チェルノブイリや福島をはじめ、各地で生じた原発事故は人体や自然界、そして社会に対して深刻な影響をもたらしました。これらの被害の度合いに関しては、国際原子力機関(IAEA)や世界保健機関(WHO)、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR/アンスケア)などは被災者の健康被害を否定しています。
一方で、これらの主張とは対照的に原子力ロビーに所属していない医師や科学者たちは放射能汚染が健康に対して深刻な影響を及ぼすとの結論に達しています。

今回の国際会議では医師や他の専門分野の科学者たちが放射線による低線量被曝がもたらす影響について取り上げます。取り分けて扱われるテーマは発がん率の上昇や遺伝子の異常、チェルノブイリ事故後の被曝二世や三世の発病、発がん以外の疾患について等です。
同様に放射線が環境に及ぼす影響についても取り上げられます。
今回の会議ではドイツ、米国、ベラルーシ、その他の国々から著名な医師や専門家達が講演や討論に参加します。
そして、日本からも甲状腺がんの多発などの健康被害の現状を積極的に訴えていきたいと考えています。

会議を通じて、低線量被曝の危険性を科学的に検証し、現状を批判していくための国際的なネットワ-クの形成に前進できれば大きな成果だと考えています。

国際会議に先立ち、ベラル-シを訪問する予定にしています。
ベラル-シ訪問では、チェルノブイリ事故から約30年ですが、事故当時子どもたちだった人は現在成人になっています。彼らがどんな苦労をして生活し、そして現在を生きているかを知り、学びたいと思います。
高濃度放射線汚染地域であったゴメリ-州を訪問予定です。甲状腺がんの現状も交流したいと思います。

今回のドイツ、ベラルーシ訪問で、ヨ-ロッパの反原発運動の理論的支柱である欧州放射線リスク委員会(ECRR)の中でも大きな影響力のある「ドイツ放射線防護協会」、「核戦争防止国際医師会議(IPPNW)ドイツ支部」との大きな協力関係を築く一歩を記したいと思っています。この大きな協力関係を築いて、「日本の放射線防御の専門家」と称する御用学者を批判し、低線量被曝を容認する政策を転換させる契機にしたいと思っています。

今回の会議では、国際的専門家は日本のDrと会い日本の経験を学ぶことを喜びとし、同様に日本からの参加者はヨ-ロッパと米国の専門家から学ぶことができる、として相互交流と理解の重要性が強調されています。
それは、今ドイツの人々が、「日本ががんばらないと、世界の脱原発運動は厳しい。私たちの運動は日本の動きにかかっている」という日本の取り組みへの強い期待の表れです。
是非ともこたえたいと思っています。

(たかまつこどもクリニック 高松勇)