医療トピックス  環境省・福島県主催「専門家交換会」で100mSv以下の障害性を認める結論が出た!!(NEWS No.461 p06)

福島県・環境省主催第3回 放射線の健康影響に関する専門家意見交換会 “甲状腺”を考える 、の今回の講師は福島県の甲状腺の検診の中心人物である福島医科大学鈴木眞一氏と、岡山大学津田敏秀氏でした。

テーマは「甲状腺」でしたが、津田氏は100mSv以下での障害性があることは、世界的には常識であることをまず明確にしたうえで、甲状腺がんの多発を証明されました。

1)まず、この会の大きな成果は、100mSv 以下でも障害性があることを明確に認めたことです。

津田氏の、100mSv以下で被曝による癌が発生することは理論的にも観察上も示されている、という講演に対して、

参加者の一人、芥川一則氏は「この中で、100mSv以下で癌が発生しないと認識されている方はおられないと思いますが、」と述べ、さらに「この会に出席されている方で、100mSv以下で癌にならないと認識されている方はおらないと、伝えたいと思います。」と再度確認していますが、反論はありませんでした。

さらに、細井義夫東北大学放射線生物学分野教授は「専門家と十把一絡げに言わないで欲しい。」と、津田氏が批判した「専門家」とは違う専門家もいることを指摘した上で、「放射線生物学をやっているもので、100mSv以下で癌が生じないという人はいない。ここでも反論はないと思う。」と述べましたが、この発言に対しても反論はありませんでした。

今回の交換会に集まった専門家の誰一人として、100mSv 以下で障害性があることに反対する人はいなく、100mSv以下での障害性は、この交換会参加の「専門家」たちが認めたわけです。

これは、津田氏が報告したようにさまざまな放射線に関連する学会はもとより、日本小児科学会など一般の学会のほとんどの見解とは明らかに違い、また政府の意見ともまるきり違うところです。

ですから、今回の会に集まった「専門家」たちは、日本の専門家たちはと違った立場に立ったわけですから、大変重要なことです。他の専門学会も、この「交換会」の結論に対する、反論ができないのなら、100mSv 以下で障害性があることを確認すべきです。

100mSv 以下で障害性があるとすれば、当然年間20mSvの被ばく地域で住むことが危険であると表明すべきことになります。

にもかかわらず、朝日新聞の報道では、この件について全く無視されています。よほど都合が悪かったのかもしれません。

私たちは、この結論を広く学会や社会に明らかにし、学会や政府が低線量被ばくを認め、危険な地域からの避難と、危険な地域への帰還中止を要請すべきです。

2)甲状腺がんについて、津田氏はアウトブレイクであることを、これまでのように日本の小児甲状腺がんの「発生率」と比較し、その有病期間を極めて長期間だとしても、福島での小児甲状腺がんの「発見率」は、明らかに多いことを証明しました。

この説の補足として、チェルノブイリ事故後に甲状腺がんが多発した地域でも、事故後に生まれてI131の内部被ばくをほとんどしていない世代では、甲状腺スクリーニングをしても一人も甲状腺がんが発見されなかったデータが合わせて6万にもいることも報告されました。
しかし、この発表に対して、多くの根拠のない反論と、日本でコントロールをとらないと分からない、との意見も出ました。このことについては、紙面の都合で今後の報告とします。
この会の一部始終は以下のユーチューブで見られます。

(はやし小児科 林)