いちどくをこの本 『原発被ばくと医療被ばく』(NEWS No.461 p07)

『原発被ばくと医療被ばく』
三好基晴 著
花書院、1500円+税

三好氏は、神奈川県藤沢市でホスメック・クリニックを開業されている方で、有名な「買ってはいけない」など多くの本を書いておられる方です。

また、この間医問研ニュースを購読していただいています。

今回、医問研にこの本を送っていただきました。医問研がこの間取り組んできたテーマにとても参考になる本ですので紹介させていただきます。

表紙に、シーベルトのカラクリ、半減期で半分が消えるのではない、など箇条書きで強調されているように、内容は放射線問題で知っておかなければならない基本的知識を解説されています。

まず、私たちが当たり前のように使っているシーベルトSvの問題点から入っています。Svという単位は、体重計や身長計などのように、機械が直接測ったものではなく、「推理値であり、しかもかなり不確実な推理値です。」「セシウム137の内部被曝は身体の臓器にほぼ均一に吸収されると仮定しています。」などの説明はわかり易く、その推理につかう「ファントム模型」の写真も載せられ、推理のいい加減さが実感できます。

医療被ばくについても、さまざまな考察がされています。例えば全身のがんを把握するためのPET検査は19mSv程度とされていますが、その計算方法への疑問や、PETとCTとの組み合わせによる被ばく量の増加などが指摘されています。

放射性物質への対策では、著者の食物などへの豊富な知識が動員された内容になっています。

放射性物質を吸着するとされるものに、「ペプチン」「玄米」「ビール」などがあるようですが、それらに対する批判的検討もなされています。

放射線被曝とは直接関係はないですが、食物に加え肥料についても検討がされています。また、忘れかけられている食物への放射線照射(じゃがいもなど)は今後TPPによって、拡大されることも考えられるので、十分な注意が要りますが、その点も思い出させてくれます。

最後に触れておられる、医療に関しては、抗コレステロール薬や、降圧剤などの際限ない対象拡大=病気づくりに対する警鐘もされています。また他方で、それに対するアンチとしての代替医療や漢方に関しても検討されています。

その他の多くの問題提議もされている本かとおもいます。一読をおすすめいたします。

(はやし小児科 林)