やはりタミフル・リレンザの備蓄・使用の根拠なし、遂に元データの開示を実現、コクランレビューが最終結論(NEWS No.465 p01)

インフルエンザに対する薬、タミフルとリレンザに関する製薬会社が握っていたデータも含めて世界中の研究を網羅した最終結論がとうとう出ました。結果は、1)肺炎や入院を減らすという科学的証拠はなかった、2)症状の軽減はせいぜい0.5-2日、3)タミフルには嘔吐などの副作用は少なからずある。4)流行をふせぐことは証明されていない、などでした。これにより、まず「備蓄」の意味がなくなったことが重大です。すでに、イギリスでは将来の備蓄を中止することを決定したとのことです。もちろん一般使用も意味がないことがわかりました。
この研究の中心人物T・ジェファーソン氏は、タミフルがインフルエンザによる入院や死亡をある程度防げるとの結論を出していました。しかし、それが間違っており、世界中の人たちに不利益を与えたかもしれないと考えたのが2009年です。彼は、正しい結論を出すために、タミフルの製造販売会社ロシュ社に元データの提出を求めましたが公開されず、強力な闘いが必要になったのです。その後の3年間、コクランとイギリス医学雑誌BMJ、英国放送協会BBCは、世界の巨大製薬企業ロシュ社(2011年売り上げランキング5位で日本最大の武田の2倍)、GSK社(同6位)、そして「豚」や「鳥」インフルエンザの驚異をあおるWHOやアメリカ疾病予防管理センターCDCに対して、製薬会社が持っている効果と副作用を判定する元データの公開を求めて闘ってきました。例えば、BMJのホームページにはこの公開要求のための特別なコーナーが設けられ、これまでの経過や両者の主張がまとめられています。
遂に、昨年両企業などから、なんと16万ページ以上のデータが渡されました。同チームの努力はすさまじいものだったと思います。このレビューに、日本からは浜六郎氏が参加されています。
この闘いにより、薬剤全体について製薬会社と独立した評価ができる可能性を作ったことになります。
例えば、医学雑誌への論文掲載にも大きな影響を与えました。BMJは元データの提出なしには論文掲載を拒否することとしました。さらに欧州連合EUは全ての臨床試験は登録され、全ての結果が報告され、全ての入手可能な臨床試験を公開するとの、新たな規制を決めました。これで、降圧剤ディオパンのような、データをねつ造した医学論文や新薬認可申請のデータが大幅に作りにくくなります。
データ要求の基本的理由は、タミフルは公的な資金で買い上げられ患者に使われたり備蓄しているのだから、税や保険料を払っている市民すべてがその正しい効果を知る権利がある、ということです。皆保険制度の日本でもことは同じです。日本政府にも同じことが求められています。
まずは、備蓄の中止を求めること、根拠もなくタミフル、リレンザや一層根拠に乏しいイナビルなどを推奨することをやめるように、学会などにも働きかける必要があります。
(はやし小児科 林)

インフルエンザに対する薬、タミフルとリレンザに関する製薬会社が握っていたデータも含めて世界中の研究を網羅した最終結論がとうとう出ました。結果は、1)肺炎や入院を減らすという科学的証拠はなかった、2)症状の軽減はせいぜい0.5-2日、3)タミフルには嘔吐などの副作用は少なからずある。4)流行をふせぐことは証明されていない、などでした。これにより、まず「備蓄」の意味がなくなったことが重大です。すでに、イギリスでは将来の備蓄を中止することを決定したとのことです。もちろん一般使用も意味がないことがわかりました。この研究の中心人物T・ジェファーソン氏は、タミフルがインフルエンザによる入院や死亡をある程度防げるとの結論を出していました。しかし、それが間違っており、世界中の人たちに不利益を与えたかもしれないと考えたのが2009年です。彼は、正しい結論を出すために、タミフルの製造販売会社ロシュ社に元データの提出を求めましたが公開されず、強力な闘いが必要になったのです。その後の3年間、コクランとイギリス医学雑誌BMJ、英国放送協会BBCは、世界の巨大製薬企業ロシュ社(2011年売り上げランキング5位で日本最大の武田の2倍)、GSK社(同6位)、そして「豚」や「鳥」インフルエンザの驚異をあおるWHOやアメリカ疾病予防管理センターCDCに対して、製薬会社が持っている効果と副作用を判定する元データの公開を求めて闘ってきました。例えば、BMJのホームページにはこの公開要求のための特別なコーナーが設けられ、これまでの経過や両者の主張がまとめられています。遂に、昨年両企業などから、なんと16万ページ以上のデータが渡されました。同チームの努力はすさまじいものだったと思います。このレビューに、日本からは浜六郎氏が参加されています。この闘いにより、薬剤全体について製薬会社と独立した評価ができる可能性を作ったことになります。例えば、医学雑誌への論文掲載にも大きな影響を与えました。BMJは元データの提出なしには論文掲載を拒否することとしました。さらに欧州連合EUは全ての臨床試験は登録され、全ての結果が報告され、全ての入手可能な臨床試験を公開するとの、新たな規制を決めました。これで、降圧剤ディオパンのような、データをねつ造した医学論文や新薬認可申請のデータが大幅に作りにくくなります。データ要求の基本的理由は、タミフルは公的な資金で買い上げられ患者に使われたり備蓄しているのだから、税や保険料を払っている市民すべてがその正しい効果を知る権利がある、ということです。皆保険制度の日本でもことは同じです。日本政府にも同じことが求められています。まずは、備蓄の中止を求めること、根拠もなくタミフル、リレンザや一層根拠に乏しいイナビルなどを推奨することをやめるように、学会などにも働きかける必要があります。
(はやし小児科 林)