浮雲保健師ぶ~やんの呟き 「たかが…されど…」〜の巻(NEWS No.466 p06)

京都・大阪・奈良には、日本全国各地から 小中高校の修学旅行生が続々とやって来る。
京都駅や新大阪駅、伊丹空港等に来た学校と合流し同行する『添乗看護師アテンダントナース』という業務がある。
今年も、昨年同行した関東の学校に ご指名を受け、京都駅八条口から添乗することになった。バスに乗り込み 大阪経由で奈良へのお決まりのコース。
大仏の大きさに感動し、鹿と戯れ(ほとんどの学生は、鹿がメイン…)再びバスで京都三条の宿舎へ。
各部屋に分かれ友人たちとの楽しい夜を迎える。友人たちとの夜が苦痛な生徒は、保健室となる浮雲保健師の部屋に、色々症状を訴えに来ては、しばらく話して気持ちを落ち着かせて渋々、決められた部屋に戻っていく。それぞれの夜を過ごし、朝を迎えた。2日目は、これもお決まりのコースで、班別行動。5、6人のグループで、訪問したい文化施設やお買いもの、グルメを事前に話し合い計画を立てる。最近の修学旅行では、各班ごとにタクシーがチャーターされ運転手さんに案内してもらう安心コースが多い。しかし、今回は『比較的しっかりしている学年』との教員方の判断により、公共交通機関を利用しての見学班行動となっていた。
早朝から玄関に集合し、寝不足気味の顔が並ぶ。各班ごとに服装、持ち物、注意事項の点検、所在確認のための携帯電話を持たされ 意気揚々と出かけていく生徒達。それぞれの顔色等を見ながら、気になる生徒に声を掛け『元気に無事、帰ってきますように』と祈りながら見送る。
全員、出発し、教員もお出かけ。
本部となる宿舎に、本部担当教員と添乗員と看護師は待機。教員はパソコンで各班の携帯の所在確認をしながら生徒たちの行動チェック。出発早々、生徒から電話!スタッフに緊張が走るが、「駅が分からない~」と半泣きの声。すかさず教員は「近辺の人に聞け!」と檄を飛ばす。
昼過ぎには、気分不快になった生徒が戻ってくる。保健室で休憩し、また出かけていく。その後トラブルの電話もなく経過。夕方 全員で見学する寺院の境内で集合。 遅刻が心配で1時間も前に境内でうろうろしている生徒もいたが、30分前には殆どの班が無事到着。ギリギリに着いた班は教員からのお説教を受けながら、見学時間まで境内で待機。蒸し暑い京都の町を、右往左往し、知らない土地で慣れない交通網にハラハラドキドキ。その上『外国人』に英語でインタビューするmissionまである。やっと集合場所に着くと、ホッとするのか、一気に様々な訴えが飛び交う。
頭痛、吐き気、腹痛、めまい…。
「ギャア―、鼻血ぃー」と黄色い声。
「たかが鼻血で大声出すな!」と叫ぶ教員の大声をやり過ごしながら駆けつけると
男子生徒が血だらけの大量のティッシュで顔を覆っていた。止血しながら日陰で休ませ落ち着かせていると、ふと気づくと隣の男子生徒がティッシュの箱を持っていた。「箱で?」と思わず聞いてしまったら「うん、僕も良く鼻血出るから…」とのこと。
見学を済ませ宿舎で夕食。
生徒の各部屋を巡回すると「頭痛い」「気持ち悪い~」「鼻血ぃ~」の連続。それぞれ様子を聞いて処置を行い なんとか無事、就寝。
翌朝 鼻血でシーツや枕を汚したと数人の生徒から相談される。ある部屋は3人も。「こいつ両方の鼻から血がでたよ~」「おまえ放射能じゃない?」と掛け声。「そんなこと言ったらダメなのに~」とのやりとり。
大きなトラブルも、病気もなく、皆元気に(それなりに…)また京都駅から新幹線に乗り込む生徒達を見送り、任務終了。
『たかが、鼻血。されど…』
(川崎恵子)

京都・大阪・奈良には、日本全国各地から 小中高校の修学旅行生が続々とやって来る。京都駅や新大阪駅、伊丹空港等に来た学校と合流し同行する『添乗看護師アテンダントナース』という業務がある。今年も、昨年同行した関東の学校に ご指名を受け、京都駅八条口から添乗することになった。バスに乗り込み 大阪経由で奈良へのお決まりのコース。大仏の大きさに感動し、鹿と戯れ(ほとんどの学生は、鹿がメイン…)再びバスで京都三条の宿舎へ。各部屋に分かれ友人たちとの楽しい夜を迎える。友人たちとの夜が苦痛な生徒は、保健室となる浮雲保健師の部屋に、色々症状を訴えに来ては、しばらく話して気持ちを落ち着かせて渋々、決められた部屋に戻っていく。それぞれの夜を過ごし、朝を迎えた。2日目は、これもお決まりのコースで、班別行動。5、6人のグループで、訪問したい文化施設やお買いもの、グルメを事前に話し合い計画を立てる。最近の修学旅行では、各班ごとにタクシーがチャーターされ運転手さんに案内してもらう安心コースが多い。しかし、今回は『比較的しっかりしている学年』との教員方の判断により、公共交通機関を利用しての見学班行動となっていた。早朝から玄関に集合し、寝不足気味の顔が並ぶ。各班ごとに服装、持ち物、注意事項の点検、所在確認のための携帯電話を持たされ 意気揚々と出かけていく生徒達。それぞれの顔色等を見ながら、気になる生徒に声を掛け『元気に無事、帰ってきますように』と祈りながら見送る。全員、出発し、教員もお出かけ。本部となる宿舎に、本部担当教員と添乗員と看護師は待機。教員はパソコンで各班の携帯の所在確認をしながら生徒たちの行動チェック。出発早々、生徒から電話!スタッフに緊張が走るが、「駅が分からない~」と半泣きの声。すかさず教員は「近辺の人に聞け!」と檄を飛ばす。昼過ぎには、気分不快になった生徒が戻ってくる。保健室で休憩し、また出かけていく。その後トラブルの電話もなく経過。夕方 全員で見学する寺院の境内で集合。 遅刻が心配で1時間も前に境内でうろうろしている生徒もいたが、30分前には殆どの班が無事到着。ギリギリに着いた班は教員からのお説教を受けながら、見学時間まで境内で待機。蒸し暑い京都の町を、右往左往し、知らない土地で慣れない交通網にハラハラドキドキ。その上『外国人』に英語でインタビューするmissionまである。やっと集合場所に着くと、ホッとするのか、一気に様々な訴えが飛び交う。頭痛、吐き気、腹痛、めまい…。「ギャア―、鼻血ぃー」と黄色い声。「たかが鼻血で大声出すな!」と叫ぶ教員の大声をやり過ごしながら駆けつけると男子生徒が血だらけの大量のティッシュで顔を覆っていた。止血しながら日陰で休ませ落ち着かせていると、ふと気づくと隣の男子生徒がティッシュの箱を持っていた。「箱で?」と思わず聞いてしまったら「うん、僕も良く鼻血出るから…」とのこと。見学を済ませ宿舎で夕食。生徒の各部屋を巡回すると「頭痛い」「気持ち悪い~」「鼻血ぃ~」の連続。それぞれ様子を聞いて処置を行い なんとか無事、就寝。翌朝 鼻血でシーツや枕を汚したと数人の生徒から相談される。ある部屋は3人も。「こいつ両方の鼻から血がでたよ~」「おまえ放射能じゃない?」と掛け声。「そんなこと言ったらダメなのに~」とのやりとり。大きなトラブルも、病気もなく、皆元気に(それなりに…)また京都駅から新幹線に乗り込む生徒達を見送り、任務終了。『たかが、鼻血。されど…』
(川崎恵子)