チェルノブイリ28年 福島3年―低線量被ばくでの健康被害―(100万人署名神奈川実行委員会主催の講演会報告)(NEWS No.467 p03)

昨年に引き続く川崎での講演報告です。講演90分、質疑60分とたっぷり時間をとっていただき、甲状腺がん多発をテーマに論議しました。以下報告します。
【美味しんぼ騒動で明らかになったこと】
甲状腺がんや鼻血だけでなく多くの症状や脳卒中や心筋梗塞などの疾患増加もすでにこの時期で明らかに。これは広島長崎、チェルノブイリと共通。
【甲状腺がん多発は明らか】
発生するはずのない甲状腺がんが検査開始一年後にすでに出現、その後2.5年で89名に達し、なお増え続けている。この発見率を全国罹患率と比較すると10-14歳で370倍、15-9歳で150倍。異常多発は明らかだが89名発見されたことすら報道少ない
【有病率と発症率は違うとの反論に対し】
発症率は一年間の発病率で、何年分をまとめて発見した有病率とは違うという反論。
これに対しては地域によっては例えば20年分の発症を今回発見したとしてもなお多すぎる等を津田氏の表で説明。
【スクリーニング効果による見せかけ増加】
検査をし過ぎたから多くを発見したように見えるだけという反論に対しては、福島では地域によって発見率に違いがあり、スクリーニング効果では説明できない。
【放射線量に応じて甲状腺がんが増える】
スクリーニング効果であるかないかに係わらず、地域別の放射線量に応じて甲状腺がんの発見率が増加すれば、福島甲状腺がんが放射線によることの強い根拠になる。
県が実施し、約4-50万人で実施した外部線量推定値と8地域に群分けしたがん発見率との間で、明らかな容量反応関係が認められた(これは小児科学会でも発表した)。
【福島の放射線環境-帰還するということ】
2011年4月5日の福島第一小学校の校庭放射線量値から3月までさかのぼって放射線量を推定、また2014年3月の推定値を計算し、チェルノブイリと比較、提起。
土壌セシウムでみれば、福島(22万Bq/m2)は放射線管理区域どころか、チェルノブイリの国家補償による移住権利対象区域(18.5万Bq/m2以上)に匹敵するなど。
IAEAに基づく計算で、福島第一小学校
では、2011年、ヨード131、セシウム134と137の外部被ばくによるだけでも年間20mSvとなることを示し、放射線被ばくの影響は蓄積するので、帰還の危険性に言及。
【質疑】
60名を越える参加で、初めての参加者も多く、多発という評価がはっきりした、風評被害との関連で何が危険ではっきりしていないところはどこかを素直に出してもらえたなどの感想。講演後あらたに2回署名集めに参加した方もいるという報告もいただきました。
(大阪席十病院 山本)