環境省甲状腺がん調査に関する、環境省とマスコミの嘘(NEWS No.467 p05)

環境省は2014年3月28日に突然「甲状腺結節性疾患追跡調査事業結果(速報)について(お知らせ)」との文章を発表しました。朝日新聞は「甲状腺がんの発見頻度かわらず 福島と他県で」との見出しで、環境省が「被曝とは関係なく、がん登録よりもがんが多く見つかることが確認できた」(3/28)と報道をしています。
この調査は、青森、山梨、長崎各県で4364人の甲状腺超音波検査でB判定と判定された44名中、31名が精検を受け、1名が甲状腺癌で手術を受けたものです。この患者の住む県、性、年齢、大きさ、病理組織など、さらに医療被曝も含めて被曝していたのかどうかも隠されています。(7月21日現)
なお、以下は3/28当時発表済みの数字とします。

<「甲状腺がん発見頻度かわらず、福島と他県で」は嘘>
単純に4364人に1人で、その精密検査受けたのは31/44ですから、分母を補正しても3075人(以下も同じ補正)に1人に対し、福島県24年度検診では2460人に1人、二本松市、本宮氏、大玉村3地域計では1436人に1人ですから、「発見頻度かわらず」とはいえません。ただ、統計的有意差はありません。
それでは、統計的有意差がないと「かわらない」とか「同じ」といえるのでしょうか。
そもそも4千人中1人では、福島と同じとも少ないとも多いとも言えません。というのは、このような検診を100回行って、95回で発見する人数は(95%信頼区間:ポアソン分布)は0人の時もあり5.756人(10万当1.7から187人/10万)の時もあるのです。福島県24年度調査では123015人中50人で、95%信頼区間は10万当29から52人の間です。(図)環境庁調査を何回かすると、がん発見頻度は福島より少ない、同じ、多い、のいずれの可能性もあり、福島より少ないとも多いとも同じとも言えません。

ところで、薬は一つよく売れると同じ効能の薬が次々と作られます。昔は、ある症状に対しての効果を示す比率が先行薬と「差がない」から「同じ」、というようなごまかしが行われました。「同じ程度」というためには「同等性の証明」が必要になります。その証明もしないで(環境省調査では証明は不可能ですが)、新聞の見出は福島と他府県のがん発見率は「かわらず」とねじ曲げているのです。

<環境省「がん登録よりもがんが多く見つかることが確認できた」>の嘘
ここで、環境省は急に、検診で発見された甲状腺がんと、症状がでて診断されたがん登録患者を直接比較して、わずか3-4千人に1人の発見で、「がん登録よりもがんが多く見つかることが確認できた」としています。ところが、環境省はすでに74人(現89人)も発見され、「有病期間」での補正をして、がん登録患者を10万人当たり5人とするなどの余裕をもって計算しても、統計的にはるかに多く発見されている福島での多発を無視するのです。

<被曝とは関係なく>の嘘
統計的誤りばかりではなく、福島以外でも原発事故の放射線や、医療被曝を受けた可能性もあります。それも明らかにせず、「被曝とは関係なく」などと平気で言っているのです。
これはもう、薬の改ざんをうわまわる、ひどい嘘です。(はやし小児科 林)