被ばくから子どもたち、県民を守る主張に多くの共感を得た! 福島県知事選 井戸川克隆さん大健闘!(NEWS No.470 p04)

福島第一原発事故から3年半経過して初めての福島県知事選は10月26日に投票があり、佐藤雄平県政を継承する内堀候補が当選しました。しかし、被爆から子どもを守り、福島に希望をもたらそうと呼びかけた井戸川氏は、当選には至らなかったものの、29763票を獲得し、第3位となりました。
成果の第1は、被ばく問題を焦点化し、多くの支持を得たこと。第2は、安倍の原発再稼働策動を拒否し、批判票の増大を手にしたこと。第3は、約3万の得票は、条例制定要求運動を可能とし、福島を変える展望であることでした。
今回の福島県知事選の最大の争点は、被ばくから健康をいかに守るかでした。20mSv以下で避難地域を解除する、帰還すれば損害賠償を打ち切る、18歳以下の甲状腺ガン103人という異常多発と原発事故の因果関係を否定する国・県の棄民政策に対し、前双葉町長として原発事故後に県内で唯一全町避難を行い、現在「どこでも誰でも放射能健康診断100万人署名」の実行委員長でもある井戸川さんは、「健康を守る」「完全賠償、生活を守る」「情報公開の徹底」などを基本政策に「平和と希望、未来の福島をつくろう」と呼びかけました。
今回の選挙戦ではこの争点は徹底的に隠されました。また、福島では、政府の「放射線リスクコミュニケーショ

ンに関する政策パッケージ」とエートス福島運動という、被曝による実際の害を隠して、放射能を怖がらず共存させようとするプログラムが進行しています。井戸川さんが被曝問題を主張されたことで、県内の活動家からこれで「自由にものが言えるようになった」という声が寄せられ、原則的な運動が井戸川選挙でつながり合えたという運動上の成果がありました。
約3万の得票は、特に避難自治体では第2位の得票率で、避難者の共感を得ているといえます。これは県の有権者の50分の1に相当し、子どもの健康を守る、被ばくから健康を守る条例制定を求める運動につながる数で、脱原発運動を豊富化する闘いになります。
対立候補で第2位の得票だった熊坂候補は、低線量被曝による健康被害を主張することができず、これまでの県政と大差がありませんでした。井戸川さんは「被ばくした県民を考えたら、いまここで健康を守れ、子どもたちを守れと訴えなければならない。歴史的意義があったと思う。(選挙に出た)意味はあった。得たものは大きい」と述べています。
当選したとはいえ、内堀候補は前県知事の佐藤県政の支持票を10数万票減らし、県政批判票が大きく拡大しました。
低線量被曝による健康障害を明らかにし、健診や生活補償を求める闘いを前進させましょう。

いわくら病院 梅田