無償の世界的協力で支えられるコクラン共同計画(NEWS No.470 p06)

コクランのシステマティックレビューの主要な柱は、英語ばかりではなく世界中のあらゆる言葉で書かれた論文なども集めて評価することです。
これは大変な事です。例えば、被曝の研究にしても、ロシア語の論文は大切ですが、歯が立ちません。私が、喘息に対するセルテクトのレビューをした時も、イタリア語の論文が検索でヒットしました。コクランの呼吸器グループに連絡すると、すぐにイタリア人が英語に翻訳してくれました。
最近は、翻訳ソフトが優秀になりましたが、日本語の変換は意味不明なことも多々あります。
論文全体を訳することは大変ですので、コクランでは「翻訳シート」が使われています。それには、レビューするのに必要な項目が一覧になっていて、論文を読んでその項目に回答すればよいので、語学力はいりません。私はオノンのレビューに協力したので「謝辞」のところに名前が載っています。その後、呼吸器グループだけでなく外科系グループなどからも要請が来ました。
今、コクラン性感染グループから、2つのRCT論文を頼まれています。これらは「全般改善度」を主要評価項目としています。その問題点については、機会があればご紹介します。
報酬はありませんが、この「翻訳」作業は、論文を正確に評価するためにとてもよい訓練になります。
コクランレビューは無償で、業績にもならない、世界的ネットワークの協力体制で支えられています。
みなさんのご参加を期待します。

はやし小児科 林