浮雲保健師ぶ〜やんの呟き 「難解!?カタカナ文字」〜の巻(NEWS No.470 p07)

自転車族にとって、快適な季節。いつもは サングラスや帽子を深々とかぶって走っているが、気持ちのよい季節になると つい無防備に風に吹かれて走ってしまう。
なぜ『無防備』かと言えば…

「あ!カーしぇんしぇー!」(訳:川崎先生)
朝の出勤中 どこからか聞こえる。自転車を止めてあたりを見回すと歩道に数組の親子の姿。皆同じ制服の子どもたちの中の一組の親子が 満面の笑顔で手を振っている。幼稚園の送迎バスを待っているグループの中に 以前 つどいの広場に来ていたAちゃん親子。手を振り返すと、ママが「ちょうど聞きたいことがあるんです~」と。
出勤中…と気になりつつも、スルーするわけにも行かず 自転車を止めた。
Aちゃんとハグを交わしながら、話を聞き始める。
Aママ「幼稚園でアベノウイルスが流行ってて、心配やなって今 他のお母さんと話してたんです。」
私「アベノウイルス? アデノやね!」
Bママ「ほら、やっぱりアデノやん」
Cママ「アデノかアベノか解んなくなって、カタカナわからん!」一同爆笑!
幸いにも今のところ、この仲間には感染した子は居ないが、幼稚園で流行っていて 気になっているが、いったいどんな病気かわからなくて皆で「あ〜だ、こ〜だ」言っていたら ちょうど私の姿が見えた…というわけ。無防備だったことを後悔しながら、
気を取り直して アデノウイルスについて簡単に説明。風邪予防の体調管理や受診のタイミングなど質問に答えながら話していく。予防の話になると ママたちから必ずと言っていいほど出てくる質問は「アデノウイルスの予防接種は無いの?」である。
そして季節柄 続いて「インフルエンザの予防接種を受けるか受けないか?」の質問。
BCG・ポリオ・ヒブ・肺炎球菌・DPT・MR・水痘・ヒトパピローマ…
この数年で子どものための予防接種が増加し 定期接種化もどんどん進んでいる。
インフルエンザ・ロタ・B型肝炎・ムンプス…任意も有料も。
何も知らない保護者にとって『増えた』というより『受けさせないといけない、受けさせるよう勧められる予防接種がたくさんある』という感覚で病院へ行き、それぞれの主治医と相談しながら接種計画を立てている。同時接種の問題も浮上。
たまたま道端で出会った親子たちで、知っているママは一人だけ。どの程度の知識を持っているのか、どこに受診しているのか、わからないまま、一つ一つの質問に、より慎重に答えていく。こちらの緊張を知らずに、ママたちの会話はどんどん弾んでいく。
Dママ「エボラが心配やから、ニチノも接種しときやって(主治医に)言われて一緒に受けた」
Eママ「蚊で伝染る病気のやんな?」
Fママ「ニチノって何?」
私「えー!それはちょっと待って!」
エボラもデングも ゴッチャゴチャ。その上、日本脳炎を『日脳』って主治医が言うものだから、ニチノに聞こえて、蚊つながりで…イヤイヤイヤイヤ…ダメでしょ!!手振り身振り 必死で説明する。
とても立ち話とは言えない懇談会となっていく。
そうこうしていると、幼稚園バスの到着。
子どもたちが乗り込み、元気に手を振っている。先に乗っている子どもたちにも、見覚えのある可愛い笑顔を見つけて、思わずこちらも元気に手を振って見送る。ホッとするひととき。バスが行ってしまったあと、ママたちとも別れ、慌てて気持ちを出勤体制に切り替え。帽子にサングラスの 完全防備で颯爽と…

川崎