11/6公衆衛生学会で「第3回低線量被曝と健康被害を考える集い」を開催(NEWS No.471 p01)


福島県の子どもの甲状腺がんが103人になる中で、11月6日に第73回公衆衛生学会(栃木県宇都宮市・開催)において自由集会「第3回低線量被曝と健康被害を考える集い」が行われました。この集会は本年が3年目で、約70人の医師、保健師、学者、市民が参加しました。

本自由集会の代表世話人でもある津田敏秀教授が「低線量被ばくにおける健康影響、今考慮すべき対策」と題して報告をされました。
国立がんセンター発表の全国の甲状腺がん発生率と比較して、通常あり得ない異常な高い発生状況であると指摘。2011年度に健診を実施した原発周囲13市町村では67倍、2012年度の中通り二本松市、本宮市で61倍、郡山市で43倍、2013年度のいわき市で27倍。 津田教授は「”100ミリシーベルト以下の被曝では被曝によるがんでない、もしくは、わからない”という意見は間違いだ」と断言されました。
WHO(世界保健機関)の報告(2013)ですら、福島県での被曝によって甲状腺がん、白血病、乳がん、その他の固形がんが多発してくる、と指摘している。福島はもっと多く出る可能性がある」と警告。
医問研の高松は「甲状腺がん異常多発-極めて高い手術実施率は臨床がんの多発を示す 今こそ、多様で広範な健康障害に健康診断を!」と題して報告をしました。手術を受けた57名の病状は、転移し明らかに悪性度の高いもの、声帯麻痺や気管を圧迫する可能性のあるものも含まれており、「手術を要した程に重症な臨床的にがん患者であった事実」が判明しています。つまり、これまでくりかえし説明されてきた「超音波検査を実施したから偶然早く見つかっただけで、長期間経過をみても問題ない状態のがん患者」ではなかったのです。
今後甲状腺がん以外にも、さまざまな健康被害が明瞭になると考えられます。甲状腺がん異常多発の実態の解明とともに、広範な健康被害の実態を明確にし、必要な医療を求める健康診断要求が非常に重要になっていると考えます。

会場との意見交換では、「栃木県は福島のとなりで、放射能の影響を心配するお母さん方がいる。しかし健康診断に理解を示す病院が少ない。今日の話を聞いて、放射能健診署名が必要だと思った」など、放射能から子どもを守る取り組みや市民の手による放射能測定などを地道に続けてこられている方々からの意見が多く出されました。医療者からは「福島で被災し家族を残している中で、健康被害の実態を知っていきたい」「仲間に出会いたいと思い参加しました」等が表明されました。
3回目の取り組みですが、年々参加者が増えています。今後も、隠されがちな健康被害の実態を自分たちで収集し、医療者と市民が交流し、今後の放射能被害対策につなぐ機会になればと願っています。

たかまつこどもクリニック 高松