日本小児科学会「福島第一原子力発電所事故の健康障害を検討するワーキンググループ」の運営民主化・議論促進を(NEWS No.476 p04)

日本小児科学科(以下、日児)の福島原発事故のワーキンググループは昨年の総会で設置が約束されました。しかし、この一年間に開かれた会議はたった2回で、しかもこの問題を日本小児科学会が取り上げるべきだと要請した一人である高松勇委員が参加しにくい、週日に会議を設定するなど、この問題の取り組みを要請した日児会員などの声を無視した運営がされてきました。

4月18日に開催された日児総会ではこのことを問題にして日児の多数を占める開業医が参加できないような運営は承服しがたい、その民主的運営を求めるとの発言が高松氏の方からされました。これに対しては、委員それぞれの都合に合わせて運営する努力をすることが会長とこのワーキンググループを担当する理事から表明されました。

また、福島での乳児死亡や流産・死産の増加がドイツの学者から報告されているのに、日児はまだ何もしていない。世界的な研究を促進するという会長の方針とは全く合わなく、恥ずかしいと思わないのか、と林が発言しました。それに対して会長からは、それらの論文は読んでいる、ワーキンググループで取り組んでもらいたい、由の発言がありました。

翌日に開催されたワーキンググループに高松委員以外に、医問研から3名が参加しました。しかし、この会議はクローズドであり、3名の参加を認めないとの対応があり、公開の原則に反していると反論したところ、規定では会議へ招請した人以外は委員だけの参加となっているとのことでした。そこで3人は傍聴することで合意、傍聴者はワーキンググループを立ち上げるように要請をしたメンバーであることなどを発言、特に伊集院氏は避難者の現状など委員に訴えました。総会での議論がワーキンググループの責任者にも伝わっていないなど、総会や理事会の意向が尊重されていない印象がありました。

ともかく、かなり遅れての開催でしたが、各委員が持ち寄った論文などの資料の説明、それらをどうまとめるか、これまでのデータが福島での障害性に直接当てはめることができるのか、今後どういう方向でまとめていくかなどが議論されました。高松委員は医療被曝を例に低線量被曝の障害性が明らかであることを主張しましたが、責任者の田代氏は医療被曝と福島は切り離したい意向でした。彼は広島長崎の放影研データに固執したいのかもしれません。

文献集めを早急にして、低線量被曝の有害性を明確にすると共に、福島やその近隣での健康障害の調査にとり取り組んでもらわなければなりません。
今後も、傍聴や資料提供など高松委員を支えてゆく活動が求められます。
なお、総会の際、会長挨拶の直後、高松の方から、日本学術会議が原発再開への批判的な見解を公にすると聞いているが会長もそうすべきだとの意見に、会長は今後委員会などで検討することも約束したことも報告しておきます。

はやし小児 林