浮雲保健師ぶ~やんの呟き 「泣く子は育つ?」~の巻(NEWS No.478 p06)

「この子 すぐ泣くんです…」
初めての集いに参加する親子が 心配そうに入って来て開口一番に言われることが多いセリフ。
我が子が泣くことを気にしたママが、人に言われる前に「人見知り」宣言!?
そんな宣言に慣れた こちらは 笑顔で泣く子を預かり あの手この手であやしながら『心地よい泣き声』に浸っている。

知らない場所に来ての不安から泣くのは当然、ママも緊張している。
いつも家ではママと二人、静かな部屋に居ることが当たり前になっている日々。ある日突然 大勢の親子が居て 乳幼児の声が響き渡っている場に来れば驚きと不安で落ち着かず、泣き叫ぶのも自然な反応。
しかし、中には全く泣かず、すぐに笑顔になる子もいる。兄姉が居るとか、近くに同年代が多く居住し行き来している子など。
そんな子と知り合うと すぐ泣く子のママは、我が子が『困った子』と思ってしまい気にしたり、恥ずかしがったりで知らない人が集まるところには行きにくくなり 家で二人過ごすことが増える。外出が減りどうしても出かけなければならない所用があると 親子ともども不安、ストレスとなり余計に赤ちゃんが泣き叫ぶ。益々出かけなくなり…の悪循環。
我が子の泣き声に苛つきながら居合わせた他の保護者に「うるさくてスミマセン」と気を使う。そんな時に他の先輩ママたちに聞いてみる
「この子の泣き声 うるさい?」
すると不思議なほど 他のママは
「かわいい泣き声、全然うるさくない。うちの子の泣き声なんか…」「うちの方が…」
と我が子がうるさい合戦勃発!
それでも 信じられない新米ママさん。
そこで「我が子の泣き声は、その子のママに一番聞こえる(耳障りなほど)周波数みたいよ」と話す。乳児の声の周波数は、空腹時や不安時2kHz~8kHz。それは猿が危険警告するときの周波数と同じとのこと。また『黒板を引っかく音』も2~4kHz。大多数の人が不快に想う周波数。その範囲でも 自分のママにだけ特に響くような(不快に思うような)周波数の泣き声になっている様で、そばに来てもらえるよう生きていく術なのかもしれない。それを聞いて新米ママは『へぇ~』と言う顔になっていき、ベテランママの中で緊張が解け寛ぎ始めると スタッフに抱かれた赤ちゃんも玩具に気付き、手を出し落ち着き始める。

ただ今回の5ヶ月児のママの話は、ちょっと違った。「この子は、すぐ泣くんです。泣きすぎるから ちょっと障害があるんじゃないかと祖父母が…」「障害?」「自閉症の子は、乳児の時に神経質で よく泣くって…」周りの親戚や知人、ネットで検索しての知恵袋らしい。
確かに過度に神経質だったり、無反応だったりすることが発達上心配なことはある。とりあえずその子は ママに抱かれると直ぐに泣き止み 安心し 何度かスタッフに抱かれて泣きながらも 他の子と同じように落ち着き始めた。その頃には ママはすっかり他のママと打ち解けて、おしゃべりに夢中になり、こちらは安堵する。
最近 こんな相談が増えている。祖父母や近隣の高齢者に乳児の泣き声がうるさいと言われ、色々調べて落ち込んでいるケース。
祖父母が若く加齢に伴う高周波音が聞こえにくくなるのが遅くなっているのか?独居や老夫婦生活が多くて雑音そのものがうるさく感じるのか?
ゆったり地域で子育てをする環境が失われていっていると思えてならない。
ちなみに乳児の甘え泣き(抱っこして欲しい時等)は300Hz~1kHzと言われ、高齢者によく聞こえる音域。
「さぁ、お婆が抱っこしてあげるよ~♪」

川崎恵子