第5回避難者こども健康相談会きょうと開催される(NEWS No.478 p07)

6月14日(日)、会場は、京都文教大学のキャンパス(京都府宇治市)をお借りして開催され、医問研の医師をはじめ大阪から仲間も参加しました。
震災により東日本から京都に避難しているお子さんとそのご家族を対象に、2013年6月より年2回(6月、11月)のペースで開催されているものです。避難者こども健康相談会きょうと実行委員会が主催されたものです。
今回は、京都では5回目になりますが、志ある京都の小児科医師のご協力と、避難者や避難者を支える多くの方のご支援で支えられています。
午前中に相談会が開催され、4組のご家族の相談がありました。福島県県民健康調査での甲状腺検査結果への相談、避難生活中での親子の健康の相談など、切実な相談が寄せられ、参加した小児科医師からは丁寧な相談がなされました。
昼間は、昼食を兼ねて、京都の小児科医と大阪から参加した医師とのランチョン交流会が開かれました。
「甲状腺がんと放射線の関係の検討(容量反応関係の検討)」を山本英彦さんから、「空間放射線量の高い地域を含む岩手、宮城、山形、福島、茨城、栃木、群馬の7県の周産期死亡率の検討」を森国悦さんから話題提供がなされました。福島事故後、多様な健康障害が生じており、また放射線汚染との関係が示されているという意見交流がなされました。
このランチョン交流会は、健康相談会きょうと、ならではの企画で、日頃出来ない交流を深める光景で、恒例になってきています。
午後からは福島事故後の健康被害を考える恒例のセミナ-が開催されました。
第一部は、「チェルノブイリ28年目の子どもたち」-低線量被曝の現場から」Our Planet TV制作DVDの上映会が行われました。
チェルノブイリ法(年間1-5ミリシーベルトで移住権利区域 、5ミリ以上で移住義務区域)の現実が語られていました。事故から 30 年近く経ってもなお、子どもたちの多くが様々な疾患を抱えている現状がありました。甲状腺がんは多発し様々な健康被害が出ているのです。 早急に対策が必要であることを訴えています。
第二部は、医問研の林敬次氏による、講演 「福島での甲状腺がん異常多発、流産・乳児死亡などの増加と今後予想される障害」と題して講演が行われました。
低線量被曝でも子どものがんの増加、流産など多数の障害があることが語られました。現在の福島では、1、甲状腺がん、2、鼻血や心臓病や、その他「しんどい」「疲れる」などの症状、3、その他の、科学的に証明されている胎児、乳児への障害などが報告されました。
まとめとして、1.やはり、今の福島県の多くの地域では、そこに住み続けることは相当なリスクを伴うこと。2.そのリスクをできるだけ正確に伝えること。3.それらの情報を基に福島から離れるかどうかを自身で決められるように、住宅確保を含めて経済的、社会的に援助するシステムを構築すべきこと、が示されました。
今回のセミナ-で示された、福島原発事故での甲状腺がん異常多発、多様な健康障害という、現在の福島の健康被害の状況を多くの方と共有化できればと強く思ったセミナ-でした。

たかまつこどもクリニック 高松