くすりのコラム ギャンブルと依存・介護・薬(NEWS No.481 p08)

生活保護世帯の多い地域に職場が変わりました。
月末日になると朝早くから保護費を引き出すために多くの人たちが並びます。

お気に入りのパチンコ台の席をとるため早朝にお金を引き出そうとする人もいます。
現在、オートレース・競艇・競馬・競輪と宝くじ・サッカーくじが特別法で公認されています。これらの略奪的ギャンブルはお金の管理が困難な人たちからもお金をむしり取っていきます。

先月の日本経済新聞に「模擬カジノ型デイサービス規制へ 神戸市が全国初 」という見出しの記事が掲載されました。
その内容は高齢者向けデイサービスで模擬カジノをサービスの中心とすることを規制するというものです。
久元喜造市長は適度な娯楽を活用することは高齢者の心身の活性化に役立つとする一方で、最近は遊技場かと思われる事業所がでていると指摘し、過剰で不必要な介護サービスは保険料の上昇や利用者の自己負担増につながると説明しました。
市内ではまだこうした事業所を確認していないが、首都圏などで展開している事例があるため、先行して対応するとしています。
また京都新聞では、京都市内の介護事業所で手先と頭を使って認知症予防につなげようと、レクリエーションにカジノゲームを取り入れたことを報道しています。
室内を装飾して本格的な雰囲気を醸し出し、担当者は「スリルを味わうことで日常から離れ、高齢者の刺激につながれば」と期待しているとコメントしています。
このような動きはカジノを含む統合型リゾート(IR)を実現しようと蠢いている業界と関係しているのではないかと私は考えています。

ギャンブル依存は生活破綻をきたすまで本人が助けを求めることはありません。
また社会的にギャンブル依存は自己責任として捉えられ保護されにくい状況があります。
パーキンソン病薬プラミペキソールの有害事象に病的賭博行為があります。
添付文書には「レボドパ又はドパミン受容体作動薬の投与により、病的賭博(個人的生活の崩壊等の社会的に不利な結果を招くにもかかわらず、持続的にギャンブルを繰り返す状態)、病的性欲亢進、強迫性購買、暴食等の衝動制御障害が報告されているので、このような症状が発現した場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、患者及び家族等にこのような衝動制御障害の症状について説明すること。」とあります。
しかし、添付文書のどこにも経済的な損害を補償してくれるとはありません。
守られるべき人たちを食い物にするギャンブルは決して許されるものではありません。

私の幼馴染のパパはギャンブル依存でした。
幼かったころ「うちのパパは世界一のケーキ屋さん。いつも遊んでくれる大好きなパパ。」と彼女はいつも私に自慢していました。
成人した彼女は何度も借金を重ね離別したパパの顔は二度とみたくないと結婚式にも呼びませんでした。
現在あるギャンブルですら国民を不幸に陥れています。
日本にカジノなんて必要ありません。

薬剤師 小林