くすりのコラム 化学及血清療法研究所(化血研)のワクチン(NEWS No.485 p08)

「製薬会社は、安全な医薬品を消費者に供給する義務があることを改めて深く自覚し、本件のような医薬品による悲惨な被害を再ぴ発生させることがないよう、最善、最大の努カを重ねることを確約する。」
化血研は非加熱濃縮製剤の使用によってHIV感染の被害を受けた血友病患者・遺族との間に成立した和解条項を裏切っていました。
化血研が国の承認と異なる方法で血液製剤やワクチンを製造していた問題で第三者委員会調査結果報告書がだされました。
報告書の内容、厚生労働省の対応は納得のいかないものでした。

報告書によると、「独立行政法人医薬品医療機器総合機構は、平成 27 年 5 月 28 日及び同月 29 日、一般財団法人化学及血清療法研究所に対し、立入調査を行い、その結果、化血研が製造販売する国内献血由来の血液製剤のすべてが承認書と異なる製造方法により製造されていることが判明した。
このような不正行為が判明した事態を受け、厚生労働省は、同年 6 月 5 日、化血研に対し、化血研が製造販売する血漿分画製剤のうち 12 製品 26 品目について出荷を差し止めると ともに、速やかに承認内容の一部変更申請等必要な対応を行うよう指導を行った。」と書かれています。
一方で「ワクチンには重大な不整合や隠蔽の証拠は存在しない。」とありました。

2013年5月にこのコラムで「2009-2010年グラクソ・スミスクライン(GSK)と業務提携していた化血研の新型インフルエンザワクチン」を取り上げました。
新型インフルエンザで化血研は他社と同じ時間のかかる「発育鶏卵培養法」で作っているにも関わらず総出荷量が1番多かったことやロットSL02、SL04の死亡頻度が高かったことに疑問を感じ書いたものです。

死亡頻度ワーストロット3

メーカーロット出荷数量(万回分)死亡報告数死亡頻度(10万接種)
デンカS254.681.5
化血研SL0492.5192.1
化血研SL0291.6293.2

平成22年度厚生労働省資料「新型インフルエンザワクチンの医療機関からの副反応報告及び医療機関納入数量から推定される推定摂取者数に基づく報告頻度」(2009年10月~2010年6月)報告から平均死亡頻度は133/4420万回分となり10万接種当たりは0.30だった。
化血研のSL02では3.2/10万回であるから平均の10倍以上の死亡頻度である。

ワクチン部門の調査結果報告書を読んでみると化血研が厚生労働省の指示とおり報告書を出さなかったことを「齟齬」として片づけています。
(3)インフルエンザワクチンの無菌試験の逸脱の未報告では同研のQ氏、R氏、S氏、T氏が登場しています。
積極的開示が必要とするT氏の意見に反し不要とするQ氏、R氏の意見が異常に尊重されているところにこの企業体質が表れています。
官僚の天下りを確認できる総務省「再就職状況の報告」資料などを照らしても何もでてこない化血研はまだ開示すべきものがあるのではないでしょうか?

薬剤師 小林