医療問題研究会フィリピン健診ツアーに参加して(NEWS No.492 p05)

今回約20年ぶりに参加させていただきました。東大阪での勤務以来なかなか参加できずにきましたが、私が2000年からのJICA国際協力機構のボランティア応募の原点となったのがこの健診ツアーでした。その時感じたのがもう少し時間をかけてこの国で支援できる方法がないものかということです。そんな時出会ったのがJICA国際協力機構のシニア海外ボランティア制度でした。当時はフィリピンに行きたいと考えていましたが、派遣国になくて同じアジア、タイの障害者支援に応募し派遣が決まり、2年間をタイで過ごすことになったのです。

20年前の健診ツアーでは衝撃的な印象を受けました。マニラ空港の雰囲気や健診にやってきた子供たちの妙によそ行きの服や真新しい靴、それとは裏腹に虫歯が目立ち耳垢がいっぱいの現実、そして健診後ぶらりと見て回った川沿いのスラム街に住む人々と生活排水やプラスチックごみがプカプカ浮いて悪臭のする地域、そこの小さな屋根の下でコーラや揚げ菓子が売られていたのを思い出しました。ここの子どもたちの虫歯の原因が理解できました。

あれから20年ぶり、わくわくした気持ちでマニラ空港に降り立ち何か少しきれいになったと感じ、訪ねてみると新しくできた別の空港(名前が新しくなり、ターミナルが3つ)と言われたがピックアップの車と人がごった返しているのは変わらず。町の中は新しい大型ショッピングビルが増えたが、道路脇の小売店の屋根や店構えは相変わらず貧しさが感じられました。変わったのは車の数と渋滞かもしれません。

そんな中で変わっていないのはポールさんやアミーさんの素敵な笑顔での歓迎ぶり、当時と変わらない笑顔のエステリータ先生と娘さん。

健診当日は夜半からのどしゃぶりが続き、開始時は何人来てくれるかなと心配したが、合計80人近い親子が参加。久しぶりの私も森先生の言われるままに問診用紙の記録担当、山本さんと娘さんは慣れた手つきと英語力で来診者の案内と身体計測担当(柱に取り付けられた入江先生考案の身体計測器はうまくできていたが少し滑りが悪くなっている。私が参加した初期の頃は柱に紙の物差しを貼り厚手の絵本で垂直に頭に当てる初歩的なもの)。

健診はほぼ昼迄に終了、隣部屋ではロータリークラブからの派遣で複数の歯科医の健診と治療が行われていて健診が進歩してきたことを感じましたが、これが虫歯の減少に繋がることを祈ります。

看護師 吉田佳子