第25回県民健康調査・甲状腺がん異常多発が持続(NEWS No.497 p04)

昨年12月27日に第25回福島県県民健康調査「甲状腺検査」が公表された(昨年9月30日現在のまとめ)。甲状腺がん患者数は、2巡目の本格検査(2回目)で、68人(手術例44人)となった。1巡目の先行検査(第23回調査-昨年6月6日公表、3月31日現在集計)の甲状腺がん患者115人(手術患者101人)と合わせて、全体で甲状腺がん患者183人(手術患者145人)に及んでいる。大変な異常多発である。以下特徴を見てみる。

<1> 2巡目の本格検査では、一次検診受診率が70%で、半年前の第23回検査結果(昨年3月31日現在のまとめ)と同じであり、受診者が頭打ちになっている。1巡目の先行検査が82%であったことと比して受診率が10%低下し固定化してしまっている。

<2> 2巡目の本格検査(2回目)で発見された68人に関しては、2年から2.5年前に実施された先行検査における甲状腺超音波検査結果は、A判定62人(A1-31人,A2-31人)、B判定5人,未受診1人となっていた。先行検査結果からは、甲状腺がんの発生を疑う二次検査は不要であるとされた者が91%であった。この様に、わずか2年から2.5年で急速に甲状腺がんが発見されている。

<3> 福島県を表の如く9地区に分け多発を検討する。表の第2列のがん患者数(a)、第3列の一次検診受診者数(b)から第4列に各々の有病割合(発見率)を示す。第5列に、1巡目検査から2巡目検査までの期間(2011年度地域で2.5年、それ以外の地域で2年)で除して推定発生率(C)を示す。第6列に、(C)値が、わが国の標準発生率を年間10万人中0.5人(国立がんセンター、全国0歳-19歳の年間甲状腺がん発生率(2003-2007年))と設定し、何倍高く発生しているかを示す-発生率比を示す。第7列に、信頼区間(ポアソン分布95%信頼区間推定)を示す。結果は、十数倍から30数倍の多発であった(津田氏らの方法に準じて分析)。