くすりのコラム 配合剤(NEWS No.499 p08)

ここ数年で沢山の配合剤が認可され、市場に出回るようになりました。
1剤の中に複数の薬が配合され、患者さんは1錠服用することで複数の効果が得られるようになり利便性が高くなったと言われています。「患者さんのため」というのは建前で本音はジェネリックを阻止したい「製薬企業のため」かもしれません。製薬企業にとって特許切れの期限が迫った薬を配合剤にすることでその期限を遅らせることができます。企業のジェネリック対策がこんなに配合剤を溢れ返させることになった大きな要因です。また配合剤にジェネリックがでてきたことがその増加に拍車を掛けています。薬剤師である私も早々に配合剤についていけなくなりました。「えーっと、何が入っていたかな?」カンニングメモをポケットから出してこっそり見ている始末です。薬剤師であれば覚えることが当然?いや、もう無理です。
以下一部配合錠と後発名です。

プレミネント配合錠(ロサルタンカリウム+ヒドロクロロチアジド)ロサルヒド配合錠
エックスフォージ配合錠(バルサルタン+アムロジピン)アムバロ
コディオ配合錠(バルサルタン+ヒドロクロロチアジド)バルヒディオ
カデュエット配合錠(アムロジピン+アトルバスタチン)アマルエット
ユニシア配合錠(カンデサルタンシレキセチル+アムロジピン)カムシア
ミカムロ配合錠(テルミサルタン+アムロジピンベシル酸塩)テラムロ
ミコンビ配合錠(テルミサルタン+ヒドロクロロチアジド)テルチア

ヨード造影剤を使った検査時、ビグアナイド 系糖尿病用剤 を服用中の患者さんは乳酸アシドーシスを防ぐため、ビグアナイド系 糖尿病用剤の投与 を事前に中止しなければいけません。ビグアナイド系 糖尿病用剤であるメトグルコ(メトホルミン)は周知された薬剤名ですが、合剤であるメタクト配合錠・エクメット配合錠・イニシンク配合錠、これらの今後認可されるジェネリックはメトホルミンと同様にちゃんと扱われるのか不安を覚えます。実際、配合剤だったために病気禁忌の患者さんに投与されていたケースがありました。メトホルミンは中等度腎機能低下時には使用できない薬です。そのメトホルミンが入っているメタクト配合錠が長期間、高度腎機能低下者に投与されていました。そんな馬鹿なことがあるのかと思うかもしれませんが、私はそうは思いません。糖尿内科と腎臓内科と別の医療機関で受診し、腎機能が少しずつ低下したことや中規模医療機関の糖尿内科から近医に受診変更があり処方引き継ぎなどがその間にあり見過ごされていました。

現場を混乱させる医薬品の認可をする行政が医療現場を能力がない馬鹿だからそのようなミスを起こすのだと叱責しても安全な医療を実現することはできません。ミスが起こりにくい環境作りが必要です。

薬剤師 小林