今年のインフルエンザの注目点 ゾフルーザは薬機法改悪が生み出した問題薬!(NEWS No.532 p08)

今年もインフルエンザが本格的に流行してきました。インフルエンザに関する注目点を再度まとめてみました。(抗インフルエンザ薬に関しての多くの情報はNPOJIP「薬のチェック」を引用させていただきました。詳しくはそちらをお読み下さい。)

1. 抗インフルエンザ薬はそもそも不要な薬剤群

まず強調しなければならないのは、これらの薬剤群が不要であることです。

抗インフルエンザ薬タミフル・リレンザに関しては世界中で研究されながら入院や死亡を減らすとの科学的データはありません。そのため、WHO「エッセンシャル・ドラッグ」は、事実上使用を否定しています。日本小児科学会でさえ「季節性インフルエンザ、軽症患者全例を対象とした、抗インフルエンザ薬の積極的推奨は当学会としても支持されない」としていことは、何度もお知らせしています。もちろん、日本だけのイナビルや、ゾフルーザは入院や死亡を減らした科学的データはありません。すべてが、半日から1日は症状を短縮する?との結果で、それは多くの副作用と引き替えです。この点は、医問研ニュースNo.521の「インフルエンザに関する2つの話題」をご覧下さい。

2. ゾフルーザは危ない薬の象徴的な薬

今年成立した「薬機法」改悪の先がけとして安倍内閣が生んだゾフルーザは、耐性が大問題とされてきましたが、タミフル以上に様々な副作用があります。「薬のチェック」速報N0181によれば、死亡例の報告はタミフル18万人に1人(257万人中14件)に対し、ゾフルーザは12万人に1人(427万人中37件)、吸入薬リレンザ・イナビルは294万人中0人でした。

ゾフルーザの死亡者は10歳未満から100歳までほとんどの年齢層です。これらの死亡者を報告した医師は、他の薬剤とちがい、ゾフルーザとの因果関係を35例中33例で「あり」としています。他の死因が考えにくかったのです。厚労省は、これまで以上にひどい対応で全例の因果関係を否定しています。これは、薬機法改悪の目玉であるゾフルーザに不利になることは一切しないという安倍内閣への「忖度」と考えられます。

3. タミフルの11年ぶりの10代への使用解禁により異常行動と死亡の激増

マスコミでは、昨シーズンに異常行動でゾフルーザ25件、タミフル12件、イナビル12件、リレンザ7件と報道(朝日新聞10月29日)していますが、「一方、薬をつかっていないケースも10件あった。」としています。また、厚労省「安全対策調査会」は「抗インフルエンザウイルス薬の処方の有無にかかわらず、インフルエンザ発症後の異常行動に関して、注意が必要だ」(10月29日公表)というように、異常行動と抗インフルエンザ薬との関連の強さを薄め、ごまかそうとしています。

これに対する科学的反論が、「薬のチェック」速報No1180に詳しく報告されています。タミフルは他の薬剤の120倍異常行動による死亡が増加、異常行動は10倍になっているというものです。もちろん、10代以外でも異常行動が増え、異常行動を予防するためには服用しないことが必要です。ぜひ、この記事をお読み下さい。

4. ワクチン製造過程の抗原変化問題

一昨年12月号と昨年の12月号で、インフルエンザワクチン製造過程で抗原性が変化し、次の年のインフルエンザの抗原と別のワクチンができる問題を取り上げました。以前、報道した大阪保険医協会をはじめ、ほとんどがダンマリを決め込んだようです。

昨シーズンのワクチンも大きく変化したことが確定しています。国立感染症研究所は2018/19シーズンのインフルエンザウイルスの抗原性解説結果から、感染者の53%を占めたA(H3H2)では、ワクチン株とシーズン株とが合っていたのがたった9%でした。(第3回厚生科学審議会予防接種・ワクチン部会研究開発及び生産・流通規制津性インフルエンザワクチンの製造株について検討する委員会資料1;2017/18:10%、2016/17:13%、2014/15:22%)

抗原が合っていたところで、効くことが証明されているわけでありませんが、抗原性を極めて重視してきたこれまでのワクチン製造だとすれば、その失敗を広く医師・市民に知らせるべきです。なにしろいわば欠陥商品なのですから。

はやし小児科 林