新型コロナに対する政府の政策は正しくなかった(NEWS No.538 p01)

医問研は、新型コロナウイルス感染症に対する、日本政府の政策について検討してきました。情報の洪水の中で、正確な判断ができる資料を探して評価することはなかなか難しく、情勢に後れをとることがありましたが、主な政策について以下の様にまとめてきました。

PCR検査の少なすぎ

国民当たりでも患者数当たりでも、日本のPCR検査人数は極めて少ないことは、世界的にも突出しています。他方で、「医療崩壊」を防ぐための戦略だ、とする主張も出ていました。しかし、クラスターを作らないための患者の早期発見とその周辺の検査が十分にできなかったことは隠せない事実です。今後は、特に介護施設や病院などの周辺を中心に、すぐに検査が実施することが求められています。

休校は間違い

日本では2月27日に突然3月22からの休校が何の根拠もなしに強行されました。この時、中国の調査で子どもの患者数が極めて少ないこと、日本では児童の患者はほぼゼロ、子どもから子どもや大人への感染は極めてまれであることから早期の休校の間違いは明らかでした。今日では、休校がかえって子どもたちに害を与えることがさらに明らかになり、5月20日には日本小児科学会もその意見を表明しました。中学以下の休校をしなかったスウェーデンで子どもの感染者が大変少なかったことが証明されています。過密な日本の学級とはいえ、子どもと家族に負担をかけないために無駄な休校は止め、教育の充実を図るべきです。

緊急事態宣言

5月1日と14日に発表された政府の諮問機関「専門家会議」報告では、「感染した日」の人数のピークは3月27日でした。緊急事態宣言が出されたのは4月7日(7都道府県)、16日(全国)ですから、その時は、すでにそれぞれピークの2分の1と4分の1に減少していたのです。多くの人を苦しめた緊急事態宣言が感染制御に役立たなかったことを政府の諮問機関のデータが証明しているのです。医療機関への物資供給など必要な政策が行われなかったことが明らかになりました。従って、何十万人もの解雇など市民の多大な犠牲に対して十分な補償と、宣言を含め新型インフルエンザ等措置法の廃止と民主的で効果的な対策方針が求められます。

医療崩壊

この間の医療破壊の実態が明白になりました。現在計画中の例えば公的・公立病院合理化などを直ちに止め、儲ける医療でなく本当に市民の健康に役立つ医療機関の充実が必要です。

薬務行政の破壊

薬務行政もコロナのどさくさで一層破壊されようとしています。典型例は、「アベガン」とも呼ばれるアビガンを「観察研究だけで承認」し、それをその他の薬にも拡大使用としていることを止め、逆に2009年のタミフル問題のように、薬剤評価の科学性の強化を提議しなければなりません。

スマホアプリ・GPS

今政府と自治体は、コロナ対策に、IT巨大産業の利益に奉仕すると共に、政策の失敗を隠すためにもスマホアプリ利用を宣伝しています。他の医療機器と同様、効果と害を科学的に評価すべきであり、より根本的には保健所など公衆衛生現場の力を強化しなければスマホアプリは役にも立たないことはNatureの論説などで証明されています。このことを周知しなければなりません。

今後も、様々なコロナに対する医療政策が打ち出されてくるかと思いますが、皆さんと共に力を合わせて科学的な評価をして、多くの皆さんに訴えてゆきたいと思いますので、よろしくお願いします。