新型コロナCOVID-19ワクチン開発は危険(NEWS No.541 p01)

製薬会社のトップ9人が、「十分な試験データが入手可能になるまでコロナ(COVID-19)ワクチンの承認申請を拒否する」との声明を出しました。彼らはこれまで薬剤の迅速な認可ばかり主張してきたのですから、この声明は現在行われているコロナワクチンの「開発」がいかに危ないかを物語っています。この声明には、たとえトランプ大統領が選挙前の「10月の早期使用承認以後の数ヶ月の売り上げ」が莫大でも、このワクチンが効果なく害作用があれば、ワクチン全体への不信感が高まり、例えば毎年の収益が6千億円もあるファイザー社の13価肺炎球菌ワクチンの売り上げが減れば大損するというわけです。また、この声明は、コロナワクチンが失敗した時の責任逃れのためかも知れません。いずれにしても開発の内容を最も知っている彼らのこの声明はコロナワクチン開発の深刻な危うさを示すものです。

案の定、開発のトップを走っていた、アストラゼネガのベクター・ワクチンは臨床試験で「横断性脊髄炎」という重大な害作用を認め9月9日に中断しましたが、すぐに再開されています。

他の権威ある医学雑誌にも性急なワクチン開発への反対意見が掲載されています。

BMJには、世界的なワクチン開発のレースが、「良いことよりも害を与える可能性がある」と警告しています。現在の開発コンセプトは「無いよりもまし」と、安全で効果的で有用の基準の「バーを下げて」いる、例えばWHOは50%の有効性を最低限としていますが、企業も規制当局もそれに従う義務はなく、はるかに低い有効性でもよいとしています。「弱いまたは短期間の効果しかないワクチンは、良いことよりも害を及ぼす可能性がある」(WHOワーキンググループメンバーe)のです。

The Lancet onlineには、2015年から2020年にかけてワクチンに対する信頼度が多くの国で低下した調査結果が報告されています。その原因として、2017年にフィリピンでデング熱ワクチンを85万人に接種した時、デング熱未感染者への接種により次の感染で重症化したことをあげています(本紙2020年7月号参照)。

前述のように、デング熱ワクチンの最大の問題はワクチンによってできた抗体などが却って症状を悪化させることでした。FDAなどの規制当局はこの問題を一番に取り上げて対策を製薬企業に迫っています。日本政府はこれは市販後調査でよいとしています。

私たちは、この問題だけではなくワクチンの評価全体に目を向ける必要があります。それらは、

1)動物実験がひどく手抜きされているので大変危険な臨床試験が行われていること。
2)臨床効果のアウトカムは単に抗体や細胞免疫などの検査成績ではだめで、死亡・重症化・入院・呼吸器症状評価・発熱などが不可欠であり、かつ最終的な評価は2重目隠しのRCTが必須です。
3)治療薬と違い対象が感染しないか無症状の人が大多数のワクチンには極めて高い安全性が必要です。

しかし、2009年以後は、さらに次の問題が解決しなければ信用できないことが明白になりました。

それらは、

1)成功した報告が公表され、失敗例は報告されない「報告の偏り」、
2)データの開示などの「透明性の欠如」、
3)著者(研究者)の企業との金銭などの「利益相反」です。(医問研ニュース6月号参照)

現在では根拠に基づく医療EBMの基本となっているこれらの基準で評価されなければなりません。

透明性の欠如については、Nature誌などは、前述のアストラゼネガのワクチンで重症の害作用が出て一時中断されても、同社がこのことを最初に報告したのは同社への投資家の一部に対してであり、中止になった事象の詳細は公表しないとまで宣言しているのです。全くけしからんことで、これのワクチンは世界の人々が、税などの金を使い接種されるものであり、その人達に詳しく公表するのは当然のことです。

これらの基本を無視している研究ばかりのコロナワクチンは危険きわまりないものです。