今年は、新型コロナと関連して?インフルエンザワクチンがひどく宣伝されています。
さて、COVID-19との関連では、インフルエンザワクチンをすると何が良いのでしょうか?
- 発熱や咳などが出ないからコロナと間違われない=インフルエンザないしインフルエンザ様症状にならないだろう。
- コロナだけでもうっとうしいので、インフルエンザにまでかかりたくない。
などと思われているからでしょうか?
どちらでも、前提になっているのが、インフルエンザワクチンを接種するとインフルエンザ(以下、インフル)や、インフルエンザ様の症状(以下、ILI)にかからないかかかりにくくなる、ことです。
コクランレビューによれば、健康成人で一人のインフルエンザ患者を減らすためには71人に接種が必要、1人のILIを減らすためには29人に接種が必要。健康小児ではそれぞれ5人、12に接種が必要。65歳以上の高齢者にはそれぞれ30人、42人必要という結果が出ています。そのためレビューアーはインフルエンザワクチンの効果は限定的で推奨できないとしています。
私はこれらのレビュー結果を導いた全ての文献を検討しましたが、結構問題のあるものも含めています。例えば、インフルの診断に血清抗体検査を使っているものです。これは、高橋晄正先生が問題点を明確に証明していますが、インフルエンザワクチンの大規模なシステマティックレビューを実施したミネソタ大学のグループ(CIDRAP)は血清抗体で診断をしているRCTは不正確だと除外しています。
また、高齢者施設職員への接種では、施設入所患者の感染率も死亡率も下げることはできない結果となっています。さらに、2歳未満を対象としたRCTは世界でたった一つしかなく、ILIにも中耳炎にも効果なしでした。
厚労省がインフルエンザワクチンを推奨する根拠にしているのが、まず元大阪市立大学公衆衛生学廣田教授が「予防接種の検討会(第5回)」に出した資料で、65歳未満健常者では発病がRR=0.1-0.3に減る、一般高齢者の入院RR=0.3-0.7に減る、高齢者施設入所者で死亡RR=0.2に減るというものです。この根拠を調べていませんが、コクランや先のミネソタ大学のレビューでもこれらの数字とはまるきり違う結果ですので、嘘のデータと言えます。
日本のワクチンに関しては、RCTはたった一つしかなく、結論は効果なしでした。厚労省が効果ありとする根拠は神谷齋を主任研究とする研究ですが、RCTではなく、単に接種したい人に接種して、したくない人と比較したという研究です。この研究は高齢者と小児を対象としたものがあります。いずれもデータはひどいもので実験参加者の背景もきちんと示されていません。これにより、高齢者の死亡リスクを82%へらす、などとしているのです。
もう一つの問題は、先の神谷研究でさえ、ワクチン株と流行ウイルス株は一致していた、とされていますが、最近のワクチンではその製造過程でその「一致」がなくなっているのです。
近年一番流行しているA香港株が一致せず、B型でも一致しない年があります。詳しくは、これまでの医問研ニュースをご覧ください。
〔2019年12月号〕
http://ebm-jp.com/2020/02/news-532-2019-12-p08/
〔2019年1月号〕
http://ebm-jp.com/2019/03/news-521-2019-01-p06/
〔2018年12月号〕
http://ebm-jp.com/2019/03/news-520-2018-12-p08/
このようにワクチン株が流行株と合わないと、子どもでのデータでは2年連続して接種すると、1年だけ接種したより多くインフルエンザに感染したとのデータがあります。これはワクチンの世界では大変権威のあるVaccineという雑誌に載った論文で、著者の一人が当誌に解説を書いてくれています。(2018年1月号)
http://ebm-jp.com/2018/06/news-510-2018-01-p04/
以上、どこから見てもインフルエンザワクチンの効果はほぼなく、特に日本のワクチンは効果を証明した科学的研究は皆無なわけです。
極めて長期間開発に費やし、人で膨大な研究がされてきたインフルエンザワクチンでさえその効果がほとんど証明されていないのです。
2009年での新しい製法のインフルエンザワクチンは北欧で多数のナルコレプシーを出し、今年は韓国で多数が死亡したと報道されています。
ごく短時間で、しかもワクチンの歴史でほんのわずかの期間しか研究されていないコロナワクチンの開発がいかに危ういものかがわかります。
はやし小児科 林