[2月例会報告①]COVID-19ワクチンの効果・副作用も不明点多数 世界的に「緊急使用許可」の承認だけ!全てのデータの開示を!(NEWS No.546 p02)

Ⅰ、効果は不明点が多い

日本でも、COVID-19 ワクチンが医療従事者の接種が始まりました。効果と安全性も不明な点が多いにもかかわらず、世界的に「緊急使用承認」され、政府はコロナ対策はワクチンが切り札と強行に早期接種をはかり、マスコミもワクチンをしなければならないような雰囲気を作り出しています。

ここでは、効果について、主にファイザー社製とモデルナ社製の臨床治験報告論文1)、2)、3)、4)、5)などで検討しました。

タミフル問題で、その効果のなさを証明し、その後の医薬品評価での厳密さを訴え続けている一人でBMJの副編集長ピータ・ドーシの論文6)を参照に考えました。医問研2月例会では、薬のチェック誌の浜先生ら参加者からいただいたご意見を参考に、私の意見をまとめました。

(以下:ファイザー製BNT162はF、モデルナ製m-RNA-1273 はMとしています。また、説明を簡単にするためRCTで両者の対象人数はほぼ同じなので、両者を比較するのは、分母に対する比率でなく人数で表記しています。(詳しい数字のまとめは「薬のチェック」7)No190 <https://npojip.org/sokuho/210209.html>参照)

1.「効果」と一口に言っても、これには種類が色々あり、次のような「効果」(アウトカム)を考える必要があります。

① 流行の抑制

これを証明する研究デザインになっていませんので、不明です。6)(注1)

② 死亡者を減少

Fでは死亡者はワクチン群(V);2人、プラセボ群(P);4人で有意差なし。MはV;2人、P;3人であり、減らしているといえない。

③ 入院や重症者の減少

FはV;1人、P;9人、MではV;0人,P;30人で共に統計的有意に減らしている。

④ コロナ患者の減少

a)症状のあるコロナ検査陽性者に関して、FではV;8人,P;162人、MではV;11人,P;185人と有意に減らしています。

⑤コロナ様症状の減少(検査で陽性も陰性も含めて)全期間で19%減少6)、有意差はあるが、未知の副作用も考慮すれが認可するほどのものでないと考えられる。

2.95%減らす」とは、④のa)症状のあるコロナ検査陽性者が、FではV群8人、P群162人だった。簡易計算で(162-8)/162=0.95で95%減少、Mでは、(185-11)/185=0.94で94%減少したということです。

しかし問題が残っています。「コロナらしい症状」がない人の検査データがFもMもない(注)ことです。

また、コロナ様症状が「ある・ない」の線引きは時に微妙です。この時に、コロナ様症状があるのかないのかの判断に目隠しがはずれていると、本当にコロナらしい人でさえ除外される問題もでてきます。ですから、元のデータの開示が必要なのです。(目隠しは後ほど触れます。)

3.「重症者」を減らしたか。

ワクチンがウイルス伝染を中断できるかどうかを評価するように設計されていない試験では、病因に関係なく重篤な疾患、すなわち試験参加者の入院率、ICU症例、および死亡を分析することが正当であり、ワクチンの実際の能力を評価する唯一の方法」6)ですが、FもMもそれらのデータを提示していません。

これは、多くの薬や集団検診でも生じる、例えば、降圧剤の治験で心脈管系の疾患での「死亡」は減ったが、その他の原因を含めた「死亡」は減らなかったというように、コロナ患者の重症者は減ったが、他の病気の重症者が増えのでは、ワクチンの意味がないということです。

そのため、ここでは有害事象AE(これは接種と関係なく生じたものも含まれています。)の報告から考えてみました。(次ページ表)

有害事象(AE)の「命を脅かす」との高度のAEは、Fでは、V;21人,P;24人でしたが、Mでは、AEのgrade4(命を脅かす、障害を残す、緊急の治療が必要)がV;14人;、P;3人との報告もありました。

また、「severe重度」のAEはFではV;240人,P;139人で101人ワクチン群に多く、Mでは自発的報告でV;234人、P;202人で、ワクチン群に多く出ていました。この「重度」は、健常な人には比較的軽くても、高齢者や持病を持っている人には致命的になることも考えられます。Fの試験中の75才以上は少なかったよう(症状があるCOVID-19はわずか5人)ですから死亡の増加になっていませんが、ノルウェーでの75以上の33人の死亡報告との関連も考えられます。したがって、重症COVID-19を減らすとの「効果」は、これらの害作用とのバランスで考えられるべきであり、まだまだ検討が必要と思われます。

4.95%効果あり」は相対的危険率減少のこと、それでは絶対的危険率減少は?

「薬のチェック」速報版No.190では、もし製薬会社が主張する効果が本当だとして、1人のCOVID-19による死亡を減らすためには、何人に接種しなければならないかを計算しています。(死者数が今後1年間で、昨年から2月7日までの2倍になると仮定して、)80歳以上で1700人、7歳代6400人、60歳代2万人、50歳代6万人、40歳代20万人、30歳代60万人、20歳代200万人、20歳未満では死者0ですから、死者を減らすことはできません。当面の接種を考える上で参考になるかと思います。

5.効果の持続性、この効果がどれほど続くかは不明(以上の効果はワクチン接種から平均28日間のみ)。また、ウイルスの変異にどれだけ対応できるのかも不明です。

6.研究方法の問題点

1)ランダム化比較試験に関して、ファイザーの論文はその方法の詳しい記載がない。モデルナは多少記載あり。(アストラゼネガの論文が一番詳しい。)

2)当然なされるべき2重目隠し(被験者も観察者もワクチンを接種した人が誰かわからなくされている)研究でない。ファイザーは、一部の人たちにのみ2重目隠しでしている可能性大です。(2重目隠しなら明記されるべきだがNEJMにさえ記載なし。)モデルナは観察者の目隠しのみで、2重ではない。その使用や注射後の発熱などの痛みなどへの鎮痛剤の使用はワクチン群が多数なので、2重目隠しでないと誰がワクチ群か特にわかりやすい。6)

3)研究から除外した人の問題が、ファイザーで多いため6) 、都合の悪いデータを隠したとも考えられる。

4)研究へのファイザー社社員の直接関与が明記されている。6)私は、これにより臨床試験全体の信頼性に強い疑問を持ちます。

7.全データの開示を

タミフルはロシュの社が強く関与した研究データで、入院・重症化が減るとのウソの効果を宣伝し、世界中の国に膨大な量の備蓄をさせることに成功しました。また、季節性のインフルエンザにも使用さました。同じことを防ぐには全てのデータの開示がなければならないことをコクラングループは証明しました。

タミフルでの教訓を振り返ることの重症性をBMJ編集長も強調しています。8)

しかし、ファイザーは研究終了後24か月間、モデルナも2年間のフォローアップ後まで開示しないとしています。6)それでは遅すぎます。今すべての個人レベルのデータを開示し、世界中の科学者が検討できるようにすべきです。本当のデータなら、臨床試験の全てを開示できないわけがありません。これらのワクチンを買い取る資金は我々の税金であり、害の補償も税金からすることになっています。製薬巨大企業は莫大な利益だけを得て、我々は健康も奪われる可能性があります。開示を求めるのは当然です。

<文献>

1)RNA Covid-19 Vaccine | NEJM
2)nejmoa2034577_appendix.pdf
3)FDAC-12.10.20-Meeting-Briefing-Document-FDA.pdf
4)nejmoa2035389.pdf
5)Moderna
VRBPAC-12.17.20-Meeting-Briefing-Document-Sponsor
6)Peter Doshi: Pfizer and Moderna’s “95% effective” vaccines—we need more details and the raw data – The BMJ
7)https://npojip.org/sokuho/210209.html
8)https://www.bmj.com/content/371/bmj.m4701
9)https://doi.org/10.1016/s0140-6736(20)32661-1(tale.2)

-(注1:アストラゼネガもモデルナも、この問題と関連して全被験者のコロナウイルス検査を実施していますが、アストラゼネガのデータでは「症状あり」のコロナ検査陽性の人数はV群;37人,P群;112人、「症状無し」陽性人数はV群29人対P群40人で(多くの無症状感染者の発生を防げなかった可能性大)。モデルナはこのデータを発表していないようです。)<児島勢二月刊保団連2021年2月号P37-42>

はやし小児科 林敬次