いちどくを この本『こわいほどよくわかる 新型コロナとワクチンのひみつ』(NEWS No.549 p07)

『こわいほどよくわかる新型コロナとワクチンのひみつ』
近藤 誠 著
ビジネス社 1430円+税
2021年3月発行

国民健康保険高齢者受給者証の交付を受け、尚かつ持病持ちながら「まだ死にたくない」身にとって、新型コロナの渦中では「縮こまって生活するしかないのかなぁ~」と思っている所へ追い打ちのニュース。

大阪府健康医療部のトップが4月中旬、大阪府内全18保健所に「府の方針として、高齢者は入院の優先順位を下げざるを得ない」とのメールを出していました。政府・大阪府市の医療行政の有り様を正直に反映していると感じました。

医療・保健・福祉の過酷な現場が「医療崩壊」と叫ばれているにも関わらず、440ヶ所に上る公的病院の統廃合を通じての病床削減のために195億円の予算を組んだ政府ですが、「国民の生命・財産を守ります」との大義に順じて、「切り札」とするワクチン接種を2月から始めました。「ワクチン接種券」の案内状も送付されて来ましたが、我が身には「助けて欲しければ、まずワクチン接種をせよ!」と迫られているように受け取ってしまいます。

①病原体(ウイルスや細菌など)に感染する危険はどのくらい?

②感染して重篤になったり死亡する危険はどのくらい?

③ワクチン接種で感染を避けられる見込みはどのくらい?

④ワクチン接種のために重篤になったり死亡する危険はどのくらい?

ワクチンについては上記の問題点が明らかにされないと、現在享受できている健康状態を守れないのでは?と心配ですが、このたびは新しく出現した変異しやすい病原体であり、現在進行中の疫学的事象を分析しながら「どうするべきか?」を決めねばならないことが悩ましいところです。

放射線治療医である著者は我が国での乳房温存療法のパイオニアとして知られています。がん診療に限らず日本の医療に対する批判的視点を疫学データに基づいて明らかにされてきましたが、本書の序文に「感染症の専門家たちが(ワクチンなどによる)薬害について秘して語らないため、一般の方々が無知かつ危険な状態におかれていることに気づいたのです」とあるように感染症、予防接種についても発信されています。本年4月に上梓された本書には新型コロナウイルスと、それによる人体への感染が生じて以降の1年間に発表された研究論文を中心に、以下のようなテーマが平易な言葉で判りやすく解説されています。

*新型コロナウイルスの特徴や、肺炎などの臨床経過 *免疫システムのしくみや働き方、とりわけ以前に別の病原体に感染したことによって生じる「交差免疫」 *マスクは本当に効果があるのか? *新型コロナにかかったかな、と思った場合の対処法 *新型コロナ肺炎の重症化を防ぐクスリの有効・無効 *ワクチンの効果や副作用 *ワクチンは年齢や基礎疾患の有無をとわず、接種したほうがいいのか?

この小稿では、主に米国製薬大手ファイザーのワクチンを例にした本書第7章の「新ワクチン接種の前に考慮すべきこと」を紹介します。

*新型コロナの遺伝子の一部を脂質で包んだ、人類が使用したことのない種類のワクチン

*人に接種して、安全性・有効性・適切な投与量を確認する臨床試験(治験)の第三相試験は’20年7月開始、11月終了で同月18日に「有効率95%」との最終解析結果を発表。翌12月英国に続いて米国FDA(食品医薬品局)が緊急承認し、同8日英国、14日米国で接種開始。

「拙速承認」とも言えます。

*「有効率95%が意味すること」

治験の観察期間中(接種後平均2ヶ月・最長4ヶ月)に、新型コロナの症状があってPCR検査陽性であった被験者の人数が

ワクチン接種群(21720人)では8人

偽薬(生理食塩水)接種群(21728人)では162人

(162-8)÷162=0.9506×100≒95%

この95%は観察期間中での値で、以後の保証はありません。

*新型コロナの重症化因子とされる高齢者や基礎疾患を有する被験者は全体の何パーセント? 75歳から85歳(上限):4% 心筋梗塞:1.0% 腎臓病:0.7% 重度の糖尿病:0.5%

「健康な人たち」を主たる対象にした治験です。

*接種後の「死亡事例」については本書をお読みください。

*治験報告書の著者29人のうち18人(62%)はファイザー社の社員。「医療倫理」の観点からは「利益相反」に当たります。

とても、安心して接種する気になれません。

ワクチンより医療体制の充実を!

伊集院