新型コロナ感染症への政策を多少とも科学的なものに!(NEWS No.553 p01)

コロナワクチンはまだ、緊急承認だけで、本来の科学的検証なしに、人類の4割以上の人々に接種されている。

3回目」接種に科学的根拠なし

最近の話題は「3回目」の接種である。ワクチン先進国のイスラエル・イギリスなどでの最近の感染者数激増を背景に、デルタ株など変異株の怖さをあおり、アメリカCDCの長官が現在のワクチンでは感染の抑制ができないことを強調し、その直後にファイザー社は3回目接種を提唱した。その根拠として挙げたのが、たった数十人での3回目の接種が単に中和抗体を増加するというものであった。接種による死亡や多数の害反応が、3回ではどれほど生じるのか、本当にどれほど効果があるのかデータもなく、である。それにも関わらず、バイデン大統領は3回目を強行しようとしている。しかし、この強い圧力に抗して、米の薬剤認可・監視当局のFDAの諮問委員会は圧倒的多数で、3回目の接種が「有効性や安全性の科学的データが十分でないこと」を主な理由に反対した。反対した識者たちの、英ランセット誌に掲載された論文は、3回目接種は効果があるという科学的データがないから反対であると主張している。同委員会が65才以上と医療従事者に限ることに賛成したのは、圧力の対する譲歩としか受け取れない。いまどき、よほどひどい政策でなければ、科学者多数の反対は困難であると思われるが、日本政府はこれを強行しようとしている。

小児へのワクチン接種

巨大製薬企業が、小児へのワクチン接種を世界のマスコミと政治家を利用して実現しようとしている。コロナ感染症で小児が重症になることは極めてまれである。最近はデルタ株では小児の感染が大変多く、子どもたちがとても危険であるかのように報道されている。しかし、イギリスでのデルタ株の大流行でも、全体の人数が激増したために小児患者も激増したかのように見える。それでも重症者は大変少なかったことが証明されている。振り返って日本では、10歳未満の死亡者は持病をもったお子さんの1人だけ、約1000万人に1人である。20歳代でも死亡は10数人であり、医療従事者のデータでワクチン接種後の死亡率は、コロナ感染死亡者の10倍近い。20歳未満でのワクチン接種は本人への利益はない。また、長期的害作用の懸念は無視されている。イギリスやドイツなどでは、専門家の委員会では小児への接種に抵抗したが12歳以上の接種に押し切られたようであり、ここでも科学が踏みにじられている。

子どもを通じて大人に感染する例は極めて少数である。ほとんどは大人から子どもへの感染であり、「自宅療養」の強制がこれを増加させていると考えられる。それを差し置いて、子ども自体に利益がない接種をするのは、科学の無視であり、子どもの人権障害である。

ワクチン有害作用の科学的分析がない

子どもにかかわらず、日本でもワクチン全体の有害作用の実態把握がされていなく、害の報告が接種初期と比べてどんどん少なくなっている。(8月号の例会報告参照)また、臨床試験(ファイザー)と比較すると有害事象の報告は少なく、生命への危険性もある「重篤」な害の報告は、臨床試験(ファイザー)では172人に1人なのに、日本の医療機関からの報告は25703人に1人で、臨床試験の149分の1にすぎない。

有害作用の実態が不明なことは、政府の「医薬品等行政評価・監視委員会」委員会長代理の佐藤嗣道氏は「死亡例に関して比較の群を設けた調査をしない限り因果関係を評価できない」「100万人接種当たり死亡例16.2人は……許容できるのか?」と迫っていることに現れている。この意見は、日本薬剤疫学会、日本疫学会、日本臨床疫学、日本ワクチン学会が共同声明で指摘していたものである。コロナワクチンの認可・その後の調査が異常に非科学的であることが分かる。

コロナワクチンが、感染の一定の抑制や重症化を抑えている可能性は高いと思われる。しかし、マスコミにはほぼ取り上げられないが、害で苦しんだり死亡例も多いと考えられ、非科学性的政策が先行する中で、信頼できないデータを基には、積極的に接種を勧められないのが現状である。