コロナワクチンによる心筋炎被害を隠そうとする厚生科学審議会―30歳未満への全ワクチン中止を(NEWS No.554 p01)

医問研ニュース554号の3〜4面(本誌をお読みいただくか、12月中旬本webサイトにてお読みください)に「コロナワクチンの副作用としての心筋炎と題する記事」が載った。北欧での30歳未満男子へのモデルナワクチン中止を受けて、日本も追随する動きがみられる。が、一方で日本政府はUSAや多くの国と同様、3回目の接種推奨や若年者へのファイザーワクチン接種対象の拡大をすすめる立場を鮮明にしている。

本主張では心筋炎について論点を整理し、あらためて30歳未満へのコロナワクチンの中止を提言したい。

10月22日、第71回厚生科学審議会ワクチン分科会が開かれ、モデルナワクチンの中止の根拠となったと思われるデータが公開された。大きな問題となりつつある心筋炎について「コロナに罹った時の方がワクチンでの心筋炎に罹る頻度より高い。」「ワクチンでコロナ罹患を減らすことが心筋炎を減らすこと」という論理で資料展開されている。

モデルナワクチンの中止については、COVID-19 Registry Japan(コロナ入院登録病院700か所以上のデータ、以下レジストリーデータ)を引用。100万人当たり、20代へのモデルナ、ファイザーワクチンによる心筋炎/心膜炎発症数はそれぞれ25.7人、9.6人。それに対し全国での15-40歳未満でのコロナ罹患時の発症数は834人(海外?では450人)。したがっての結論が冒頭である。実際のレジストリーデータは例えば10-29歳の男子対象人数3358例中、データのどこかに心筋炎(を合併したと考えられる者)と書いてあったのが3例(うち死亡1名)ということである。これを100万人当たりに計算すると893人となり、同じ計算では日本で10-29歳男子のコロナ罹患に伴う心筋炎死亡は278人となってしまう。

450名という海外データについても、48のアメリカの(私的)保険機構のencounter diagnosisから集めたものにすぎない。CDCのVAERSからのデータでACIPが63名/100万と出としているのを本号の3.4面の記事で示したが、このCDCデータの方が信頼性ははるかに高い。厚労省はなぜこちらを紹介しないのか。ワクチン被害を隠すため一般社会での心筋炎頻度を高めたいという意図か?

本号3,4面ではイスラエルのMevorach Dらの論文も紹介した。心筋炎として確定診断ないしほぼ確実に診断された全国を網羅するデータから(イスラエルの病院はほぼ100%公的であり、以前から心筋炎はすべて入院することになっているという)、コロナ罹患者をワクチン2回接種者、非接種者に分けた場合の心筋炎の頻度を比較している。紹介記事の表2で明らかなように、ワクチン接種群の方が、非接種群より心筋炎罹患は多いという結果であった。(16-19歳男子でRR:8.96)。もちろん心筋炎の多くは軽症ではあったが、劇症死亡例も報告されている。なお、イスラエルではモデルナワクチンは使用されていない。

ワクチンによる心筋炎の発症、頻度は低いとはいえ治療の限られる危険性を考えると30歳未満へのファイザーワクチンを含めたコロナワクチンの中止はためらう余地はないと思われる。