いちどくを この本『新型コロナワクチン─副作用が出る人、出ない人』(NEWS No.554 p07)

『新型コロナワクチン─副作用が出る人、出ない人』
近藤誠  著
小学館 1300円+税
2021年7月刊行

日本での新型コロナワクチン接種は、本年2月17日医療従事者から、4月12日65歳以上の高齢者から始まりました。10月12日現在、1回接種者は国民の73.9%、高齢者の91%に至り接種対象者も12歳以上へと拡大されています。

しかし、接種から半年経つか経たないうちに「有効率95%」と喧伝されていたのが、接種者からの感染(ブレークスルー感染)が増えたため、いつの間にか「重症者・死亡者を減らす効果あり」にすり替わってしまっています。

感染を防ぐためには3回目接種が効果的とか(イスラエルでは4回目を検討)、各回での接種ワクチンのメーカーが異なっても良いとか、接種2日目には発熱など体調を崩す人が多いので「接種休暇が必要」と提唱する医師が新聞紙上に現れたり・・・。

「ワクチンは健康な人に投与されるので、『最高水準の安全性』が(当然)期待されている。」(「子宮頸がんワクチン問題」みすず書房)

この原則が「コロナ恐怖」に便乗して不問にされていることに不安を感じます。

10月1日開催の第69回厚労省厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会までに、医療機関・製造販売業者から報告されたコロナワクチン接種後の死亡者数は2月17日から9月24日の期間で1233例です。

医問研ニュース6月号「新型コロナ罹患による死亡とワクチン接種後死亡の比較分析(山本英彦氏)」では「61回検討部会では5月30日までに死亡累計は196名に達したとされる」との報告でした。約3ヶ月半で1037名の増加です。

しかし「検討部会」では「ワクチンと死亡との因果関係が否定できない(資料1)」とされた死亡例は皆無です。情報不足等により因果関係が評価できないと判断されると「ワクチンと無関係」となり、「接種後死亡者数」が大手マスコミに報道されることなく経過しています。

資料2によると、100万接種後の死亡数は種痘6.0、全菌体百日咳ワクチンを含むDPT(ジフテリア/百日咳/破傷風) 1.2、MMR(麻疹/風疹/おたふくかぜ)1.6です。(これらの3点については、社会問題化したのではないでしょうか?)

2009年新型インフルエンザワクチンは5.7でしたがマスコミに取り上げられず、ひとりひとりの命の軽視の現れと考えられます。

今回の新型コロナワクチンは、資料3では2月17日から6月13日の期間で100万人接種あたり16.2件です。(米国:18件、英国:16件)

この頃、著名人がテレビでのワクチン接種のお勧めキャンペーンに出ています。

「ワクチンは『みんなが打っているから、私も打とう』というあいまいな気持ちで打つようなものではありません。ワクチンを打つ『必要性』、『有効性』、『安全性、言いかえれば副作用』の3つの要素を検討し、熟慮の上で選択されることを望みます」と近藤誠氏は訴えています。

ニュース5月号で「新型コロナとワクチンのひみつ」(ビジネス社)を紹介しました。著者は引き続いて7月に本書を上梓しました。その理由は「国内外の死亡例を含め、コロナワクチンの副作用の実態を解説」するためです。(検討部会が「副反応」と呼称し、著者が「副作用」と表現する違いの理由説明は本書にあります。)

まずは接種後感染の増加理由の一つとして挙げられている「変異株」についての説明。

第2章は、「国によって死亡者数が大きく違う理由」「若い世代にワクチンの必要性はあるか?」肥満・瘦せすぎと新型コロナとの関係など、「ワクチンの必要性」について。

血液検査で抗体価が低いからワクチン(再)接種必要との提言が聞かれますが、抗体とは?細胞免疫?交差免疫?集団免疫?についての第3章。以下「人々が知らされていない、ワクチンの不都合な真実」「コロナワクチンの特徴と臨床試験」「ワクチン接種後の死亡例と副作用」「日本人の副作用死の実情」。最終章は「結局、ワクチンは打った方がいいのか?」について。

「副作用が出る人、出ない人」とあるように、自分にとっての予防接種の「リスク」と「ベネフィット(利益)」を判断する根拠を提起した著作と考えます。

資料1 医薬品医療機器総合機構(PMDA) 「副反応疑い報告(死亡事例)の因果関係評価方法」

資料2「臨床とウィルス」Vol.38 No.5  2010.12

資料3厚労省・第4回医薬品等行政評価・監視委員会への医薬・生活衛生局からの提出資料

小児科学会員 伊集院