危険・効果不明のHPV(子宮頸がん)ワクチン(NEWS No.555 p08)

厚生労働省は26日、8年以上中止していたHPVワクチンの積極的勧奨を来年4月に再開するよう自治体に通知。準備が整えば、4月を待たず予診票などを対象者に送付することも認める予定です。コロナワクチンと共に、お子さんへの接種に大変悩むこととなりました。

最近、HPVワクチン被害者の闘いの中でわかってきたワクチンの有害作用と、それにもかかわらず世界中で続けられているこのワクチン強制の背景(行政、政治、製薬会社の不当な対応など)を詳しく紹介した「ホーランド他『子宮頸がんワクチン問題』別府宏圀監訳みすず書房」という本を、別府宏圀先生からご紹介いただき大変感動しました。「危険」についてはこの本に詳細に書かれています。)

ここでは、本当に「子宮頸がん」を防ぐとのデータについて、検討しました。

既に2019年2月号に、世界で初めて子宮頸がんそのものを減らしたと報告したフィンランドからの論文を、批判しました。

「HPVワクチンが子宮頚がんを予防した」との、フィンランドの調査結果は怪しい(NEWS No.522 p06) (ebm-jp.com)

この論文では、確かにワクチン群の方が、子宮頸がんの発生率は低かったのですが、実はHPVとは関係のない乳がん、甲状腺がん、皮膚がんまで少なかったのです。これは、がんになりやすい集団がHPVワクチンを接種していなかっただけ、と考えるべきで、その集団で子宮頸がんも少なかっただけです。

ところが、同年8月に開催された日本小児科学会の講演会で巨大製薬企業MSDが作ったパンフレットが配布されました。そこには、この論文の子宮頸がんが減ったデータのみ掲載され、HPV関連なしのがんのデータは消されていました。まさに改竄ですが、そのことも報告しています。

HPVワクチン宣伝パンフレットの疑惑(NEWS No.525 p08) (ebm-jp.com)

今回は、その後に発表されたワクチンが子宮頚ガンを減少させた、との論文を検索し、この問題を中心に検討しました。2論文が見つかりました。

一つ目は、HPVワクチン導入後の米国で若い女性における子宮頸がんの発生率が減少したというものです。DOI: 10.1016/j.amepre.2018.03.013

HPVワクチン導入前の2003-6年の発生率と、2011-4年のそれを比較しています。導入後、15-24才ではRR=0.71(95%CI=0.64,0.84)に減少、25-34歳でRR=0.87(95%CI=0.84,0.90)に減少した、としています。減ったのは確か?と読み進みますと、次のような図が出てきました。

この図をみると、子宮頸がんの罹患率は、ワクチン導入前から上下しながら下がっています。ほぼ同じ傾向が導入後も続いています。論文には傾斜の変化の時期は2009年(点線の矢印)にあるとしていますが、ワクチン導入前後の罹患率の差はほとんど自然現象であると考えられました。

最新のデータは、昨年10月にNEJMに掲載されたスウェーデンのコホルト研究です。https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1917338

子宮頸がんの罹患率は、ワクチン群10万人当たり47例、非ワクチン群94例でした。年齢調整後のRate Ratio=0.51(95%CI=0.32,0.82)でした、全ての共変数を調整すると、17才以下での接種でRR=0.12(95%CI=0.00,0.34)、17-34歳の接種ではRR=0.47(95%CI=0.27,0.75)と大変良く効いたことになっています。

ところが、フィンランドからの報告で問題になった、「HPウイルスと関連しないガン」はどうなっているか、についてのデータが一切ありません。Introductionでは、フィンランドの報告について「そしてがんの種類は子宮頸がんに限定されていませんでした。」と、この問題に触れています。ところが、Discussionではフィンランドの論文を紹介しながら、この問題には一切ふれていません。意図的に隠されている疑いが濃厚です。

ということは、このワクチン非接種群は元々ガンにり患しやすい群であり、子宮頸がん以外のガンに接種群よりも多く罹患していることが疑われます。

ピーターゲッチュらは、ワクチンが子宮頸部のガンに近い(悪性度の高い)細胞変性を減らすとの効果は、ほとんど証明されていない、とするレビューを出しています。

https://ebm.bmj.com/content/23/5/165

その分析結果を考えても、著しくガンの発生を抑制しているとの結果は、怪しいものです。

はやし小児科 林