イスラエルの3回目接種(ブースター接種)に効果はあるか?(NEWS No.556 p06)

日本での3回目ワクチン接種が強制力を持って進められ始めた今、参考も兼ねてオックスフォード大学Our World in Dataからイスラエルの3回目コロナワクチン接種に関するデータを拾ってみた。

1. 3回目接種の背景

当初95%と宣伝されたファイザーワクチンのイスラエルでの有効率は7月には37%にまで低下した。当局は予想外の急速な3回目ワクチン効果の低下には触れず、デルタ株の影響、未接種者の影響を強調し、世界に先駆け3回目のブースター接種を開始した。

2.接種の経過と効果

7月医療関係者などへの8月1日からは高齢者を中心に公な接種開始し、10月10日には接種率は全年齢の40%を超えた。

図から明らかなように9月9日から新規患者は減少に転じ、11月29日には27人/100万人となった。その後ワクチン接種率は横ばいとなり、12月19日現在44.7%にとどまっている。接種率は2か月で5%以下の増加率しかない。

3.増加に転じた患者数

一方罹患者は増加傾向を見せ、12月20日には罹患率が89人/100万人となった。実効再生産数は11月22日から1.0を超えはじめ、12月18日には1.21と微増を続けている。もはや4回目接種が問題となっているようである。ブースター効果が喧伝されているが、接種から3-4か月という2回目よりも早い間隔で効果の低下がみられる。

4.死亡は防げるか?

入院率、ICU収容率を見てみた。

図に示すように、接種率30%を超えた9月15日あたりから死亡率は減少に転じたように見え、現在も低いままである。

5.超過死亡との関連

超過死亡との関連については、一週間ごとの統計で微増ではあるが、接種率の増加とともに超過死亡数の増加が観察される。

接種率と超過死亡の関係については、有意な単回帰が示された。なお、超過死亡データは直近4wのデータが示されていない。

これが正しいとすると、ワクチン接種に伴う服作用突然死の可能性もあり、詳細な分析が必要である。

接種直後2か月間での3回目接種者と2回接種者を比較し、93%有効であったとする論文との対比などの考察については次の機会に。