12才未満にはコロナワクチン接種「努力義務」を付けることができなかった!(30回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会に出された資料の不思議)(NEWS No.558 p07)

政府が12才未満への接種は強行しましたが、これまではとは違い「努力義務」をつけられませんでした。このことは、小児へのコロナワクチン接種の中止を求めるうえで、一定の役割を果たすと思われます。ここでは、12才未満への接種により、利益があるとしたデータが、私には理解できないシミュレーションをしていますのでご紹介します。

30回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会には下表の資料が出されていますが、この推定はとても無理な前提でなされています。

11才以下(12才未満)へのワクチン接種率が0%、50%、75%、83%(下表一番上の横軸)では、その下に年齢層別に、それぞれこれだけの感染者と重症者が出るとの表です。0%と比べて接種していると感染・重症ともに大幅に減り、しかも、11才以下だけでなく、大人までも大変利益があることになります。

しかし、この表を検討しますと11才以下に75%に接種すると感染者が106802人から1241人に98,9%減少、83%にすると886人に99%減少することになります。RCTでは100%の人にワクチンを接種し、95%ほどの感染を防げるとのデータ(これも怪しいのですが)がありますが、75%の子どに接種して98.9%防げるとは何を根拠に推定されているのか不思議です。同様に、11歳以下への75%の接種で、12-59歳で感染が92%、60歳以上では90%防げることになっています。

このデータで、「数理モデルを用いたシミュレーションによると、小児(11才以下)の新型コロナワクチンの接種が進むことにより、同世代における重症例の発生が抑制されるだけでなく、中高年世代を含む人口全体の感染者数や重症者数を減少させる効果が期待される。」としているのです。

このようなデータまで用いなければ12歳未満への接種の理屈がなかった、ことを示すデータとしては重要だと思います。そのため、今回は「努力義務」を外さざるを得なかったのかも知れません。

こんな風に考えるのは、まちがいでしょうか?あまりに、常識的には考えにくいので、皆さんのご意見をお願いします。

はやし小児科 林