5-11歳への努力義務接種はやめるべき(NEWS No.561 p06)

5-11歳への接種拡大が特にオミクロン変異と結び付けて叫ばれている。日本では3回目のブースター接種によるオミクロン変異への流行阻止が叫ばれているのと抱き合わせで12-15歳への接種から5-11歳への接種範囲が拡大されようとしている。まず全年齢に対するワクチン有効性評価を確認し、ついで5-11歳への有効性に言及したい。

イスラエル、日本と韓国を例にコロナワクチンのリアルワールドでの有効性を概括。2回のワクチン接種後再度流行が拡大したイスラエルでは8月ブースター接種を開始後罹患率は減少したかに見えたが10月下旬には再び増加、接種率60%を超えても1月には1万人/100万人と増加した。

日本と韓国の比較では、韓国が60%以上と一貫して日本よりブースター接種率高いが罹患率は約10倍、死亡率も約4倍である。日韓の比較を見る限りブースター接種率に関係なくオミクロン変異株の流行、重症化が起こっているといえる。

次いで5-11歳への有効性について論じる。5-11歳へのコロナワクチンの有効性を評価している論文は今のところ3篇である。

Walterらの論文はPfizer社からのものでPhase Ⅰの結果からこの年代への30μg投与では発熱、疲労などの副反応が多く10μgとした内容。phaseⅡ、Ⅲで有効率90%としたが、観察期間が0-2.5か月、平均2.3か月と短いものでありその後の有効性は不明という論文である。

アメリカCDCからの論文はデルタ株に比べオミクロン変異株に対してはワクチン効果が落ち、有効率は31%しかないという結果だった。一方有効性の実際として、症状のある時間はワクチン接種群と非接種群の罹患を比較した場合、症状に差はなく、ワクチン接種群は臥床を0.6日減らすが有意差なし、休学を11時間減らすことは有意であったなどが示されている。

ニューヨーク州の保健当局からは12月から1月までの5-11歳群、12-17歳群のそれぞれのワクチン接種群と非接種群について、週ごとの有効性を調べた。下図にその結果を示す。両群とも2週めが有効性のピークであり、その後は有効性が低下。12-17歳は6週でも有効性が持続するが、5-12歳は5週からワクチン群の有効性はなくなってしまった。重症例を防げるかどうかのデータは皆無。

このように、5-11歳のワクチン接種は実用的な有効性を示す論文はない(左が5-11歳、右が12-17歳)。

コロナ罹患によるといわれる欧米の多系統炎症症候群を引き合いに出したり、longコロナの例を出したりして小児コロナは必ずしも軽症でないという論議を見かける。

日本小児科学会がコロナ登録症例の分析を論文化したのを見ると、登録症状あり症例730例中非集中的な酸素投与例が15例(2.1%)、人工呼吸やエクモ症例は0で、亡くなった人もいなかった。

本号の副反応の稿で述べたように12-15歳でもワクチン接種後少なくとも2例の死亡例が報告されている。また多数の心筋炎の報告もある。有効性からもワクチンの強制接種は中止すべきであると考える(おわり)。