<能登半島地震と原発>
元日に起きた能登半島地震では多くの方が亡くなり、今なお避難指示がでたままで復旧がままならないところもある。今回の地震では土砂災害で通行ができず、2週間近く孤立した集落もあった。本当にこの珠洲に原発がつくられていなくてよかった (医問研ニュース2月号に詳細)と思った。
東京電力柏崎刈羽原発での事故に備えた広域避難計画「緊急時対応」を策定する柏崎刈羽地域原子力防災協議会の第17回作業部会が5月14日、新潟県庁で行われた。「基本的な方向性に大きな見直しはないと感じている」としながらも、「自治体から『こうしてほしい』という話があれば、それを踏まえて議論を進めていく」と語った。
原発事故時には屋内退避/原発から30キロ圏内(UPZ)の居住者は5キロ以内を除き、自宅待機でと原子力規制委員会は指示していた。しかし建物が損壊し、屋内にいても、屋外と同じような状況下では放射能被ばくは免れない。ましてや避難したくともできない状況の住民は被ばくを強要されることになる。
<伊方原発近くの豊後水道でも地震>
伊方原発の沖合8kmに中央構造線断層帯が走っていることは前から言われていたが2016年9月には、元愛媛大学学長らが沖合僅か600mの所に未知の活断層が通っている可能性があると、日本地質学会の学術大会で発表した。
もしこれが本当ならば、その危険性ゆえ即座に伊方原発は廃炉にしなくてはいけない。また伊方原発のある細長い半島には集落が点在し、避難する幹線道路も1本しかない現地の状況から「伊方の場合、能登以上に孤立集落が発生する」と伊方原発運転差し止め訴訟の弁護団長薦田伸夫弁護士は指摘している。能登半島地震は決して他人ごとではない。
<6.17最高裁包囲行動にむけて>
2022年6月17日 最高裁判決で 群馬訴訟、生業訴訟、千葉訴訟、愛媛4つの訴訟に対し判決がなされた。最高裁第2小法廷は、原発事故について東電が試算した津波は実際の津波とは規模などが違うので、仮に国が東電に対策を命じていたとしても事故は防げなかった可能性が高いとし、国の賠償責任を認めない統一判断を示した。
裁判官4人中3人の多数意見の中、三浦守裁判官(検察官出身)だけは「国や東電が真摯な検討をしていれば事故を回避できた可能性が高い」として、国の責任はあったとする反対意見を出した。
あれから2年近くがたつがその後の裁判は6.17最高裁判決を追随し、「国の責任はなし」との判決が続いており、原発の稼働差し止めを否定する判決も止まらない。
政府、電力会社、司法による「核依存社会」への暴走が止まらない。「GX法」が成立し、新たなエネルギー基本計画では原子力を最大限活用し、原発の新設や建替えの環境作りがねらわれている。
原発が稼働し核のゴミがたまり続けているにもかかわらず、中間貯蔵施設や最終処分場への動きが加速しているが、これらもこの6.17判決が支えている。
この6.17を「屈辱の日」として、最高裁を包囲する行動が予定されている。公害訴訟など、元来の反原発だけのつながりではなく、幅広く各運動と連帯していこうとする新しい取り組みも行われつつある。
沖縄の代執行強行や原発の強引な稼働(関電などは老朽原発を3基も動かしている)をはじめ、これ以上やりたい放題にさせてはいけない。多くの市民がこの行動に賛同し、民意を示していくことが今こそ必要であると思う。
ZENKO関電前プロジェクト 秋野
編集部より:2024年能登半島地震も含めて日本全土で地震活動が活発化している中で、原発事故発生の危険性や反原発運動の現局面について秋野さんにご寄稿いただきました。