「国民皆保険」制度では誰もが何らかの公的保険に強制的に加入し、保険料を納付する義務を負うが、医療機関の窓口で保険証を提示することで、同じ治療には同じ診療報酬点数が適用され、全国どこでも平等に医療が受けられる。2020年、政府の「骨太の方針」で「保険証の原則廃止を目指す」ことが閣議決定され、注釈で「加入者からの申請があれば保険証は交付される」とし、社会保障審議会でも、保険証併存が維持された。
その10月13日岸田首相と面会後、河野デジタル相は「24年度秋に現在の健康保険証の廃止」を記者会見で表明し、28日に閣議決定した。決定に至る各省庁間の議論や経過の記録文書、デジタル相記者会見のメモなどは公文書保存されていない。
23年6月に保険証廃止の法改正が行なわれた。自民党総裁選で「併用も選択肢」と語っていた石破茂首相は、就任後は廃止方針を明言した。
マイナ保険証はトラブルが続き、制度のほころびが露呈する中、取り繕う手続きが煩雑化し、混乱する事態を迎えている。
こんな中、10月2日午前8時20分、 マイナーカード専用サイト「マイナポータル」でシステム障害が発生した。
保険証が廃止されて以降も、必ず起こるオンラインシステム障害である。
混乱の中、少しでも安全・安心して受診できるよう、整理を試みたが、現在の保険証を残せば解決するものである。
デジタル化の試行では、生命に関わる健康保険証の利用は最後にすべきである。