西洋諸国のコロナパンデミックでの超過死亡(NEWS No.592 p06)

当ニュースで、Hagen Sherb氏と私がコロナパンデミック期間の日本とドイツでの全死因による超過死亡を推定し、日本では2022年に多大な超過死亡があったことをお伝えしました。2023年にも22年より少し少ない程度の超過死亡を示しています。

さらに、全死因だけでなく、死因の大部分を占める、老衰・心疾患・悪性新生物・脳血管障害・自殺・腎不全・胃十二指腸潰瘍について、超過死亡を計算しました。老衰以外では心血管と脳血管障害を合わせると最多だったことに注目してください。(次ページ図)

http://ebm-jp.com/2024/09/news-587-2024-07-p03/

それでは、世界の超過死亡はどうなっているのでしょうか?今回は、「西欧諸国」のデータの論文を見てみます。BMJ Public Health(インパクトファクター3.5)にMarcel Hooglandらの論文が掲載されています。この論文はOur World in Dataのデータを使い、西欧47カ国について調査しています。期間は、2020,2021,2022年の三年間です。超過死亡の推定方法は、「Karlinsky と Kobakの推定モデル」が使われています。

この論文では、まず「超過死亡」の意味・意義を分かり易く説明していましたので、今回そこから初めます。

<超過死亡の定義>

COVID-19パンデミックなどの人道的緊急事態におけるあらゆる原因による死亡者数が、通常の状況下で予想される死亡者数を上回っていることをいいます。

<超過死亡の意義>

地理的な地域間で健康危機政策を監視及び比較するための正確な尺度として国際的に認識されています。

<結果>

いろいろなデータが掲載されていますが、まとめのデータを紹介します。

次表のように、コロナパンデミックが始まり、「封じ込め政策」が実施された2020年に41カ国で103万人、平均の超過死亡率は11.4%でした。また、3年間のうち2020年に最も高い超過死亡率を記録した国は28%でした。「封じ込め措置とコロナワクチン」の両方が使用された2021年には、超過死亡人数126万人、超過死亡率13.8%といずれも最も多く、46%の国々で3年間で最高の超過死亡率を認めています。ほとんどの封じ込め措置が解除され、「コロナワクチン」が継続された2022年でもそれぞれ81万人、8.8%、26%でした。

いずれの指標でも、最大の超過死亡は2021年の「封じ込め+ワクチン」の時期に生じていますが、3年間「高止まり」しています。

この表からすると、ドイツも日本も2022年に最大の超過死亡率を出していますので、「26%」の国に入っています。それでは、2020年、21年、22年に最も高い超過死亡を出した国々が、どのような政策をしていたのでしょうか?それは今回の論文では不明です。

ところで、対策のうちワクチンは、当初感染者を約95%も減らすという大変な効果を宣伝しましたが、実際は流行の阻止や感染を防ぐことはできないことが分かってくると、今度は「重症化を防ぐ」と宣伝されてきました。しかし、この論文の分析では、打てども打てども、超過死亡は減らなかった、大部分の国民が接種し終わった2021年に最大の超過死亡が出現し、2022年にも膨大な超過死亡がでているとの結果でした。

そこで、この本文の結論には、おおよそ以下のように書かれています。

「西側諸国では、新型コロナ封じ込めの措置とコロナワクチンを実施されたにもかかわらず、超過死亡が3年連続高止まりしている。パンデミックの間に政治家やマスコミはコロナ感染による死亡が重要だと毎日強調してきた。・・・すべての死はその死因にかかわらず認識され説明されるべきだ。そのため、原因の死亡率データを利用可能にして、超過死亡増の根本的要因を特定すべきだ。政府のリーダーや政策立案者は、持続的超過死亡の根本的原因を徹底的に調査し、健康危機での政策を評価する必要がある。」

思わず手をたたきたくなる結論です。

<この論文のもう一つの重要性>

論文のIntroductionや議論には、ワクチンの有害作用がその大きな原因でないか、とのデータが大変多く書かれています。

Introductionでは、その大きな部分をワクチン接種の有害性について詳しく書くことに充てています。その中で、コロナワクチンに関連した超過死亡の原因として、以下の事実を挙げています。1)は私が強調してきたことです。

  1. 認可のためのmRNAワクチンのRCTの2次解析では、ファイザー製で重篤な有害事象SAEリスクが、ワクチン群が36%高く、リスク差は1万人当り18人(95%CI 1.2~34.9)、同様にモデルナ製では6%高く、1万人当り7.1人(95%CI-23.2~37.4)多かった。また、そのほとんどが以下の疾患に関連していた。虚血性脳卒中、急性冠症候群、脳出血(もちろんワクチン群が多かったもの)。

注:「重篤な有害事象は、死亡につながるか、生命を脅かすか、入院(又はその延長)を必要とするか、持続性/重大な消化/無能力を引き起こすか、先天性異常/先天性欠損症に関係するか、または医学的判断によれば医学的に重要な事象を含むかのいずれである。」と解説。

  1. VAERS(米のワクチン報告システム)とEudraVigilance(欧州)との比較研究では、心血管疾患、凝固、出血、胃腸イベント、血栓症の重篤な副作用のリスクがコロナワクチンの方が高い。
  2. その他の多くの研究で、心筋炎、心膜炎、自己免疫疾患を誘発する可能性があることが報告されている。
  3. 剖検では、心筋炎、脳炎、免疫性血栓性血小板炎症、頭蓋内出血、播種性血管内血凝固症候群も、コロナワクチン接種によるものとされている。
  4. FDAが2021年7月にファイザー製ワクチンについて、潜在的重篤AEとしてさらなる監視が必要とした疾患は、肺塞栓症、急性心筋梗塞、免疫性血小板減少症、播種性血管内凝固症候群。

これらは、下図の日本の死因別超過死亡と比べると、心臓が第2位、脳血管が4位です。また「老衰」中にはコロナ禍で入院できずに施設で亡くなった方も多く、心臓・血管系の病気も含まれている可能性もあるかと思います。日本での超過死亡にコロナワクチンが関連している可能性は大であると思われます。

なお、日本での悪性腫瘍の超過死亡とコロナワクチンとの関連は、Miki Gibo et al. Cureus. 2024 Apr 8;16(4):e57860で詳しく分析されています。(掲載雑誌の編集長によって勝手にretractされました。けしからんことです。)

はやし小児科 林敬次