政府が薬機法改正法案を国会に提出 リアルワールド (観察研究) データのみで薬事申請が可能、探索的試験で「臨床的有用性が合理的に予測可能な場合」に承認を与える(NEWS No.594 p01)

2024年12月号の医問研ニュース冒頭で、「科学的根拠に基づく医療(EBM)」に反し市民に知らされないままに進行している重大な事態について、「観察研究 ( リアルワールドデータ )で良しとする薬機法改正を行うべきでない」と、注意喚起した。臨床試験なしの薬事承認で良いとなると、有効性・安全性が不確かな医薬品、医療機器が席捲する危険性が在るからである。

その後、危惧した動きが現実のものとなった。薬機法改正を審議していた厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会が、多くの議題があり審議がほとんどなされないままに、2024年12月26日の最後の会合で取りまとめを行ったのである。薬事審議会会長でもある制度部会長は「10回にわたる会合で熱心にご議論いただいたことで、良い取りまとめに向けた方向づけができた。今後さらに検討が必要なこともあるけれども、まずはとりまとめを行って、事務局においてはその方向を踏まえた法改正を実現する方向でよろしくお願いしたい」( 議事録 ) と述べている。

2025年2月12日に政府が通常国会に提出した薬機法改正法案の全文が公表された。関係条文については、1) リアルワールドデータのみによる使用成績評価の申請が可能なことを明確化する。リアルワールドデータの利活用は、医薬品だけでなく、医薬部外品、化粧品においても同様である。2) 「条件付き承認」につき、探索的試験の段階で臨床的有用性が合理的に予測可能な場合に、承認を与えることができる。としている。

上記2) で「探索的試験の段階で臨床的有用性が合理的に予測可能な場合に承認」と言われているが、科学的に言って探索的試験のリアルワールドデータで、「臨床的有用性が合理的に予測可能」とはあり得ないと考えられる。

薬機法改正案が国会に提出され、具体的な条文が公表されたことで、それに応じた取り組みが求められている。

(編集より:詳細は例会報告3.薬機法改正案件をご参照ください)