原発再稼働を巡って(NEWS No.606 p06)

2026年1月新潟柏崎刈羽原発再稼働を巡って動きが活発化している。2025年11月、新潟県花角知事はそれまで保留していた東京電力新潟柏崎刈羽原発再稼働を了承した。その後2026年1月21日、14年ぶりに再稼働を開始したが、すぐに不具合で一時停止、不具合の原因をあいまいにしたまま、2月9日再稼働、3月18日営業運転を開始する方針を発表した(2月6日ユーチューブ)。雑誌「地平」はいち早く2026年2月号、3月号で「亡国の原発再稼働」「原発容認司法」という特集を組み、稚拙な再稼働方針に反対を表明している。例えば2022年より経産省の原子力小委員会委員の原子力資料情報室共同代表の松久保肇氏は、「再稼働で電気料金が安くなるというが、1.5%に過ぎない」など、指摘している。そのほか、多くの専門家が指摘するように、事故が起こった時の避難計画など、福島原発事故を見れば、避難などできないことは明白だろう。

私が医問研ニュースの本号で強調したいのは、小児甲状腺がんに象徴される、福島での放射線被ばく被害はまだ終わっていないので、さらに明らかにする必要があるという点と、原発再稼働阻止に向けた全国の運動から学び、拡散する事だという点である。

図は2012年の福島原発事故前の2008年から事故後の2015年までの福島県と長崎、宮城、福井3県を比較したもの。2012年から2015年まで有意に福島県での甲状腺がん罹患者数が多い。(図1)

図1

またグリーンピースドイツの上級原子力専門家であるJ.バーニー氏らは医問研とH.Scherb 氏の共著論文を引用し、「福島原子力発電所事故による放射線汚染は、小児および青年の甲状腺がん検出率と正の相関関係にある。これは、原子力事故とその後の甲状腺がん発生との因果関係を裏付ける過去の研究を裏付けるものである」と結論付けている。(図2)

図2

次に、学ぶべき全国の運動を紹介したい。主要には昨年8月の全国交歓会で報告され、医問研ニュースでも紹介したものである。

新潟柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会のOさんらは分かり易い漫画入りイラストを駆使しての運動を紹介。

大阪の関電前プロジェクトは2011年の原発事故後週1回、750回に及ぶ関西電力本店前行動や月2回の関西各地域での街頭行動や反原発交流会を積み重ねてきた。

原発賠償京都原告団を支援する会からは、原発事故を引き起こした東電は津波を予見しえたけれども回避はできなかった、国の賠償責任もないとした大阪高裁裁判の不当性の紹介、最高裁に向けた裁判闘争とともに、政府・東電交渉、国会議員への働きかけ、原発事故被害・避難の実相を広げるための映画「決断」の拡大などが紹介された。

ZENKO北海道からは泊原発再稼働反対の報告があり、14年間稼働できていない泊原発の、活断層の上にあるかないかの論議の中で、「専門家」の右傾化を許さない取り組みの報告があった。北海道では再生可能エネルギーの発電率が最大4割、しかもコントロールが容易でない風力、太陽光でなく発電量が容易のバイオマス発電が中心。これを電力供給の基本として位置付ける世論喚起、要請行動につなげる方針が紹介された。

千葉県原発訴訟の原告と家族を支援する会、川内原発行政訴訟原告からの報告もあった。

最高裁も原発容認シフトを組む中、「最高裁共同行動2025」の成果と今後の戦いと題し、かながわ訴訟原告団長 M氏の報告もあった。

全国の運動に学びながら、小児甲状腺がんを含む福島原発事故後のがんや、多数の疾患と放射線量との関係を引き続き分析していくことをこれからも実行していきたい。

山本英彦