3月例会報告(1)続FDAガイダンス関連(NEWS No.607 p02)

3月例会報告(1)続FDAガイダンス関連

2月例会に引き続きFDAのベイズに関するガイダンスについて検討した。臨床試験におけるBayes手法の具体例として、ファイザー社の2015年社内研修の資料を参考にしました。

臨床試験のデザインと解析のICHの指針では

第1~4相試験の探索的試験である第2相試験で、現場では10年前よりベイズ流デザインの適応が検討されていたが、臨床試験およびベイズ手法ともに現状消化不良であり、今例会ではBMJ論文の理解を最優先に読み合わせをした。

FDAのガイダンスでは、先行研究を決定するための情報源として、薬物動態・薬力学データ、他の臨床試験、観察研究データから専門的ガイドラインや「コンセンサス意見」まで、幅広い可能性が挙げられている。

カリフォルニア大ロサンゼルス校疫学・統計学名誉教授グリーンランドは、「非情報量のある」とされた試験において事前分布は、実際には「大規模な試験に相当する」データを追加し、最終結果を大きく左右しているものを明らかにし、FDAの第3相試験における第2相試験データの活用にベイジアン統計使用の提案は、同様の懸念を引き起こす可能性があると指摘。従来からエビデンス生成プロセスは順次進行するもので、バイオマーカーなどの代替エンドポイントで有望な結果を報告する第2相試験は、実質的な臨床的改善につながる期待を高めるが、臨床エンドポイントを測定する第3相試験において実証されるか確認されるべきものである。

第3相試験の必要性は、2017年のFDA報告書で強調され、有望な第2相結果が第3相試験で確認されなかった22の実験的製品を記載している。 報告書の執筆者は、「第2相結果が医療製品の安全性および/または有効性を不正確に予測し得ることを示している」と述べているが、第2相結果を第3相データ解析に活用するベイズ的アプローチでは、第3相試験はもはや第2相結果を検証する手段にはならない。陽性の第2相試験結果は第3相試験の結果を同じ陽性方向に押し上げる。

グリーンランドは「医療文献で既に見たように、今後の悪用を防ぐ対策を望んでいる。そこには明らかに事実を隠蔽しようとする意図がある」とBMJ誌に述べている。事前分布を分かりやすいデータで可視化し神秘性を解くことが重要な第一歩だ。2025年版『疫学ハンドブック』の章で彼は、ベイズ解析の結果は「常に従来型の頻度論的結果に先行させるべきだ。そうすることで読者は追加された事前分布が[数値]結果に与える影響を確認できる」、「フェーズ2データの活用法は昔から知られていた」、「従来のメタ分析も複数研究の情報の統合に対応する頻度論的手法だ」と付け加えた。メタ解析において、第2相試験と第3相試験の統合には、両試験が同一のエンドポイントに関するデータを収集した場合に限られる、と批判している。

更なる学習と検討が求められるが、ベイズ手法の神秘性と薬剤検定に求められる厳密性の理解に参考となるBMJ論文であった。

入江診療所 入江