新たな被曝評価体系をめざす日本放射線リスク評価委員会(JCRRA)が発足(NEWS No.607 p08)

2011年3月11日の東電福島原発事故から丸15年目となることし2月22日、神戸大学において日本放射線リスク評価委員会が発足した。事故後、年間1mSvの被ばくを許さないという原発事故時に存在していた法規範を無視し、福島県内では年20mSvを超えないことを目標に3.8μSv/h未満の校庭・園庭の通常使用を認め、年20mSv未満を避難指示解除の基準とする日本政府の暴挙に根拠を与えるなど国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告は廃炉作業、避難・帰還政策、小児甲状腺がん多発などで、核政策・原子力産業に有利な見解を出している。

これらを科学的な立場から批判してきた「放射線防護の民主化フォーラム」から設立準備会へと発展的に組織体制整備が進められてきた。

設立趣意 詳細はjcrra.org/jcrra-趣意書.html

1. 私たちは放射線の被害から人類を守るために科学と人権に基づく被曝評価体系を確立します。

国際放射線防護委員会(ICRP)をはじめとする原子力ロビーの放射線被曝「防護」体系は科学原則を踏み外し、人々の健康を守ることを放棄し、核産業を守る本性を露わにしました。私たちはこれを批判し、権力や利害組織、社会的圧力に屈することなく、命と環境を守るための評価体系を作りあげます。

2. 私たちは放射線による健康被害の隠ぺいを許さず、虚偽情報(フェイク)に騙されることなく、被害の実態を評価し、記録します。

過去を記録することは科学という営為の端緒にとどまらず、被害を受けた者として世界市民に対する責務でもあります。

3. 確立した「科学と人権に基づく被曝評価体系」を世界の国々の放射線防護基準に反映させ、放射線被曝から人権に基づく防護がなされるように「日本放射線リスク評価委員会」を設立します。

規約

第1条 本団体は日本放射線リスク評価委員会と称する。団体名の英文表記は Japan Committee on Radiation Risk Assessment とし、JCRRA と略記する。

第2条 本会は科学に基づく被曝の認識と評価・防護体系を確立する(目的)

第3条 本会は人権を基本とし、次の活動を実施する(活動)

第4条 科学と人権に基づく評価・防護体系の確立を志し、歴史的被曝実態を明らかにする志を持つ市民と科学者他専門家を会員とする(会員)

第5条 全会員で構成される総会は本会の最高決定機関である(総会)

第6条 総会は代表を含む事務局員を選出する。事務局員の定数は別途定める。事務局員をもって事務局を構成する(組織)

付則

詳細はjcrra.org/jcrra-規約.html

これらについて当日は、山内知也神大教授、高橋博子奈良大教授、森松明希子原発賠償関西訴訟原告団代表、矢ケ崎克馬琉大名誉教授の記念講演の後、会場・Zoom参加者による討論が行なわれ、準備会員により全会一致で発足が採択され、代表に矢ケ崎氏、事務局長に藤岡氏を選出した。

福島原発の過酷事故を受け医療問題研究会は、低線量放射線被ばくによる健康被害に対し、チェルノブイリほか全世界の放射線による健康被害を調査・整理し本として刊行した。また日本小児科学会、日本公衆衛生学会では開催中に自由集会を持ち、各会員に広め、全国の方々と交流してきた。特に大阪小児科学会では地域医療委員会の下、低線量被曝セミナーを連続開催し、疫学統計、放射線基礎医学、放射線計測学、物理学、弁護士、行政官など各界の協働を進めてきた。

高市政権による原発回帰・核政策推進が強まる中、JCRRAの協働による活躍が望まれる。

入江診療所 入江