4月例会報告 OTC類似薬の諸問題 現場保険薬剤師のお話(NEWS No.608 p02)

テーマのOTC類似薬については、診療報酬改訂が6月のため、未だ具体的内容が解らないため、現段階での詳しい報告は難しいため、調剤を巡る現状の交流から始まりました。

保険薬局の現場から薬不足の現状

最近インシュリンリスプロに代わって処方が出て、それで注文したら卸から全く入ってこないとのことで、メーカーに直接電話しても無理との対応でした。それまで先発品を使っていたのが急にバイオシミラー(バイオ後発品)になり、恐らく加算を付けての国からの指示で病院としての変更で、主治医はそれに従って処方したが、後発品が手に入らず、薬局としては勝手に先発品に変えられず、メーカーから品切れを医者に伝えておいてもらわないと患者さんに迷惑をかけることになりとても困った。薬価はだいぶ違い、インシュリンリスプロの先発品は1本が1156円、後発品は876円で3割近く安い。国がいくら後発品を進めても、無いものを言われても困る。ほかの薬でも入ってきにくいものがある。エリスロシン、メサラジンなど、使っている所には入るが、新規はほとんど無理。以前入荷困難であったカルボシステインやメジコンなど必死で注文かけて購入したものが、在庫が余って期限切れになり廃棄になる。小児科関係ではアスベリンなどシロップが入りにくかった。薬局ごとに薬の使用実績で卸からの購入に難易がある。

薬剤流通がメーカーの系列化に

またメーカー自身が卸の販売実績により販売操作をしているようだ。グラクソの製品はアルフレッサしか扱わないとか、メーカーと卸の系列化が進んでいるようにみえる。独禁法に係るのではと思うが、薬が自由に手に入らないので現場ではややこしい。品薄、出荷調整、限定出荷などと卸からいつまでも入らないので、メーカーに直接聞くと「今は造ってない」との返事で、卸も主治医も何か月も知らないこともありました。医科の処方に混乱があり、OTCの方が手に入り易いようにするのか。儲けからいうと保険薬価よりOTCの薬価が滅茶苦茶高くなっている。

OTC類似薬の本末転倒のカラクリ

OTC類似薬という言い方がおかしいでしょう。もともとOTCとは医科向けのものをスイッチしてOTCにしたのに、逆転して今は医科の方がOTC類似薬にされ、言葉のマジックのような嫌な誤魔化しだが、マスコミは揃って使っている。先発がなくなってジェネリックが順調に入るならそれでいいけど、選定療養の場合に先発を希望する場合がある。先発とジェネリックの薬価差の2分の1が個人負担になり、医者の「変更不可」の指示があれば患者さんの負担にならない。医者の指示のない時は、薬剤師の判断でも可能。院内で先発品を出さないといけない場合など「在庫状況を踏まえ後発品の提供は困難」のコメントが必要となる。

薬剤師指導の形骸化

ロキソニンやガスターなどかなり危険な薬がスイッチされたが、それらは要指導薬品、次に1類となり必ず薬剤師が紙で書いて説明し、記録は保存しなくてはならないが、やっていない薬局もあるようだ。詳しく聞こうとすると、何でそんなこと聞くんか、よそはしてないとぶち切れて怒って帰った人がいた。2類、3類は薬剤師資格はいらない登録販売者が売ることができる。これからはアマゾンなどネット販売に広がるのが問題になってくる。コデイン、エフェドリンなどオーバードーズや自殺者の増加で厳しくなって、指定乱用防止薬品となってきた。薬局ではそれらの購入者や18歳未満向けに注意時事項の張り出しが義務づけられる、誰が販売したとか情報を提供したとの販売記録を残すなど、対応しなくてはならないことがどんどん増え、それらがメールで流れてきて後でしようと忘れているうちに、期限が来て慌てたりする日々です。とにかく処方を受ける側としては、医者にきちんとメーカーが伝えてほしいが、どこも担当のMRなどの人員を減らしてきており人材不足となっている状況です。(終)

保険薬局薬剤師の三田さんに月替わりの忙しい中お話を伺い、Zoomレコーディングを起こし何とかまとめました。(内容は編集入江責任)

6月改訂前で不詳な点も多いので、OTC類似薬の保健適応外により想定される懸念点について以下簡単にまとめてみました。
本制度は社会保障制度改革の一環でセルフメディケーションの推進と医療費適正化を目的とする。「選定療養」という枠組みに位置づけられ、国民皆保険制度を崩す危険性がある。

患者自己負担の増加と格差拡大

選定療養は通常の保険診療とは別に、患者が特別な費用を自己負担する制度で、今までは差額ベッド代などがこれに該当。たとえば薬剤費が1000円で3割負担だった場合、現状は3割負担の300円を支払うが、新たな制度では500円が自己負担となる。薬剤費1000円の4分の1にあたる250円が「特別料金」となり、消費税25円を上乗せした275円を自己負担額とする。次に、残りの4分の3である750円の3割負担分である225円を合算した500円が最終的な自己負担額が増加することになる。
OTC類似薬よりOTC医薬品は薬価が高く設定されており、10倍以上の自己負担増になる薬剤もある。経済的な事情で受診控えや自己判断(セルフメディケーション)で無効なものや副作用による健康格差、医療格差の拡大が懸念される。

この患者負担増で年間900億円の医療費削減とするが、2027年以降には、これを突破口にして更なる成分の追加や特別料金の割合(現行4分の1)の引き上げなど、対象範囲の更なる拡大が検討されている。
市販薬は処方薬に比べて価格が格段に高く、市販化により保険給付から除外されるとともに、各自治体の子ども医療費助成制度や難病などの公費負担制度の助成対象から外れることになり、少子化対策や難病の公費助成拡充の流れに逆行することになる。
現在の動きは医療機関、保険薬局の窓口業務を煩雑にし、国民皆保険を崩す危険があり、今後とも注視していかねばなりません。

入江診療所 入江

シリーズ「臨床薬理論文を批判的に読む」をテーマ別に整理(作業中)し一覧にしました。