「OTC類似薬」一部保険はずしは公的医療保険制度を破壊する突破口  健康保険法改悪に断固反対する(NEWS No.609 P01)

「OTC類似薬」を処方された患者に追加負担を課すことが柱となる健康保険法などの「改正」案は4月28日衆院本会議で、自民・維新与党と中道改革連合、国民民主党などの賛成多数で可決され、5月13日に参院で審議入りした。法案には、出産費用の無償化や、75歳以上の後期高齢者の保険料や窓口負担の算定に金融所得を反映させる仕組みの強化も盛り込んだ。なお、生活保護受給者や高校生年代までのこどもは負担増の対象外とするようだ。

政府・与党は77成分1100品目を対象に、薬剤費の25%を患者から追加徴収することを想定。この「一部保険外療養」という仕組みを新設し、2027年3月からの実施を目指す。まだ法案は審議中とはいえ、対象薬剤の拡大や負担割合の引き上げは既定路線。自民党と日本維新の会が昨年12月の政調会長間合意で、2027年度以降に検討すると盛り込んだ。

患者の負担増に加え、受診抑制や医療格差の拡大につながりかねない。「OTC類似薬」の保険はずしは、現時点では保留見込みの小児の医療費助成などの公費医療制度を廃止に追い込むおそれが残る。経済的困窮者は自己負担が増え、医療アクセスが制限されることで健康格差が拡がり、社会全体の健康水準が低下するおそれもある。さらに、一部保険はずしの対象が「OTC類似薬」にとどまらず、医療全般に拡大していく可能性を否定できない。一部保険外療養に関する法律案は、健康保険法第63条第2項に、「6」として新設され、療養の給付(公的医療保険の現物給付の対象)から除外するものに言及している。代替性の高いOTC類似薬や「その他の適正な医療」の費用の一部で、厚労相が定めたものを一部保険外療養にするという。つまり、「OTC類似薬」にとどまらず、診察や治療材料、処置、手術、在宅医療など、全ての医療を一部保険外療養の対象にすることが可能になってしまう。患者の負担割合について法制上は10割負担も可能であることを政府は認めており、薬剤だけでなく診察や処置などでも全額負担とすることが可能だ。病気やケガの治療に必要な医療でさえも保険適用の範囲を狭めることが可能になる。保険診療だけでは必要な医療が受けられなくなりかねない。

命を守るために必要な医療を保険適用外にできる法律を成立させてはならない。少なくとも、新設された第63条第2項6から「その他の適正な医療」を削除する必要がある。

「OTC類似薬」の一部保険はずしを突破口に公的医療保険制度を破壊し、医療へのアクセスを阻害して健康格差を拡大する一方で、製薬メーカーなどの医療関連産業の儲けは保証される。「OTC」類似薬の一部保険はずしを含む健康保険法改悪に断固反対する。