いちどくを この本『それでも日本に原発は必要なのか? 潰される再生可能エネルギー』(NEWS No.609 P08)

青木美希 著 文春新書 1000円+税(2026年2月刊行)

再生可能エネルギーとは?

国際エネルギー機関(IEA)の定義では、エネルギー資源を自然のプロセスから得られるもので、消費されるよりも速い速度で補充されるもの。

日本のエネルギー供給構造高度化法では「太陽光、風力などの非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用できるもの」、施行令で「太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱その他の自然界に存する熱、バイオマス*」。

*生物(バイオ)量(マス)

外務省ホームページによると「再生可能エネルギーの普及及び持続可能な利用の促進を目的」とするInternational Renewable Energy Agency(IRENAアイリーナ・ 国際再生可能エネルギー機関)憲章は、2009年1月ボンで作成、日本は’10年6月国会承認、福島原発事故後の’11年4月IRENA設立当初から’19年まで理事国。

’26年1月現在の加盟国数170ヵ国とEUで、世界的な再生可能エネルギーの政策推進がうかがわれます。

英国の独立した非営利のエネルギー専門の国際シンクタンクと紹介のあるEmber(エンバーhttps://ember-energy.org)によると、’23年時点の各国再エネ比率は、EU44.3%・デンマーク87.6%・オーストリア84.5%・スエーデン69.2%・ドイツ52.4%・スペイン50.1%・中国30.9%・米国22.7%。また’25年の世界の発電量のうち再エネは43%で世界最大の電力源、太陽光発電の前年比の成長率+30%、風力発電は+8.2%と報告。

日本の状況は?

総発電量の10%程度だった再エネ比率は福島原発事故後徐々に上昇し、経済産業省資源エネルギー庁によると’23年度22.9%。

しかしIRENAの「Renewable Capacity Statistics 2025」(直訳では2025年再エネ能力統計)は、’23年から’24年の再エネ設備の増加率は、世界では15.1%、日本では2.7%」と報告。Emberは「’25年上半期、日本では太陽光の発電量が減少」と報告。‘23年2月岸田政権下、「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」で「原子力を最大限活用」と決定していました。何故でしょうか?この疑問に答えてくれるのが本書です。

<「原発優先ルール」こそ日本の安全保障のリスク・・・原発は「抑止力」にはならない、エネルギー自給率向上こそ最大級の安全保障>と著者は訴えています。その根拠を自らの取材活動を通じて明らかにして行きます。

原発と原発に代わるエネルギーの研究者を父親に持つ著者には「エネルギー問題は物心ついたときからのテーマ」でした。

記者として勤務した新聞社では福島原発事故後、原発問題の取材チームには入れず、休日にボランティアとしての現地入りで福島の現状、被災者の思いを知り、「手抜き除染」「プロメテウスの罠」「地図から消される街」を上梓してきました。’20年4月突然、記者職以外への異動という処分を受けます。圧力に抗して’23年「なぜ日本は原発を止められないのか?」の出版後には’24年「戒告処分」、’25年「譴責(けんせき)処分」を受けています。そして今年2月に本書を世に問う「覚悟」をしました。

チェルノブイリ原発事故に並ぶ最大級(レベル7)の福島原発事故後、「原子力緊急事態宣言」続行のなか、避難先住宅提供や医療費補助を打ち切り、原発再稼働、建て替え、次世代革新炉の開発・設置と原発推進政策が明瞭ですが、原発に必要なウランは全て海外からの輸入。加えて地震。

米国のイラン攻撃に起因するホルムズ海峡の封鎖による原油の供給途絶は、1970年代の2度の石油危機時の約4倍で、IEAによると「史上最大の供給ショック」とのこと。

このような状況下で、著者の情報提供がなぜ処分の対象になるのでしょうか?

「不都合な真実」の拡散を押しとどめたいと企図する力に惑わされないように、再生可能エネルギーについての国内外の現状を学ぶためにも必要な書物とお勧めします。 (伊集院真知子)