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	<title>医療問題研究会 &#187; 本の紹介</title>
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	<description>エビデンスに基づく保健・医学・薬学（EBM）の実践的研究を！</description>
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		<title>いちどくを この本『食品添加物よりはるかにこわいゲノム編集食品　みんな知らずに食べている』（NEWS No.603 p08）</title>
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		<pubDate>Tue, 27 Jan 2026 05:52:32 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[本の紹介]]></category>
		<category><![CDATA[603号2025年11月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[スーパーの店頭に並ぶ高GABA（ギャバ）トマトはγ（gamma）アミノ酪酸（aminobutyric acid）が多く含まれ、睡眠を改善し血圧上昇を防ぐ「機能性表示食品」とパッケージに表示されています。筑波大学発のベンチャー企業である（株）サナテックシードが開発、’20年12月届出、’21年9月から市販されたゲノム編集食品です。生物が有する遺伝情報を担うDNAに操作を受けたトマトですが、安全審査はなされず消費者に対する表示もありません。かつて豆腐のパッケージには「遺伝子組み換えでない」とかの記載がありましたが今は消えています。「資源がないから科学技術立国へ」とのメッセージがしばしば聞かれ、科学技術への信奉が厚い消費者も多いと考えられるのに、なぜ科学技術から生まれたことをアピールしないのでしょう。 読売新聞オンライン（‘25年1月27日）では、「国内のゲノム編集食品」について届出7品目、うち4品目流通とあります。 先述した高GABAトマト、筋肉の成長を阻害するミオスタチン遺伝子を破壊（ノックアウト）して「肉厚で可食部を増やしたマダイ」、食欲を抑制するレプチン遺伝子をノックアウトした「成長が速いトラフグ、ヒラメ」。魚類の届出はいずれも京都大学発（株）リージョナルフィッシュで、大規模工場での陸上養殖・外食産業との提携を進めているとのこと。届出済・上市（市販）未定は「高粘度の加工用トウモロコシ」、「小型で収量が多いジャガイモ」。 良いことずくめの記載ですが、安全なのでしょうか？本年4月発行の本書によると「現在、ゲノム編集食品が市場流通しているのは日本だけ」とのこと。なお食品衛生行政は厚生労働省の管轄と思っていましたが、昨年4月より消費者庁に移管されていました。 著者は、市民バイオテクノロジー情報室代表・日本消費者連盟顧問・遺伝子組み換え食品いらないキャンペーン代表です。工学技術で作成された食品であることをなぜ明示しないのか？詳細は本書の第２部「骨抜きにされた食の安全基準」を読んで頂きたいです。 2020年世界各国の政府やグローバル企業が集まるダボス会議（世界経済フォーラム）は気候変動、エネルギーや食糧の危機に対処する「グレートリセット」を提唱しました。日本政府も、この計画に呼応して同年10月「フードテック官民協議会」を設立。農林水産省は’21年5月「みどりの食料システム戦略」策定し、その目的を「食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現する」としています。 みどりの食料システムの「具体的な取組」として挙げられている「地球にやさしいスーパー品種の開発・普及」の中に、ゲノム編集食品の位置付けがあると考えられます。 1990年代から開発されていたゲノム編集技術の実用化に力を発揮したのが、2012年開発されたクリスパー・キャスナイン（CRISPR-Cas9）です。医問研ニュース’24年4月号に、松本有史氏（｟医｠松本医院）による詳述があります。 ゲノム（genome）とは、遺伝子（gene）と染色体（chromosome）の名称を起源とした、1920年ドイツの学者による造語です。生物の染色体を構成する、遺伝情報を有するDNA（デオキシリボ核酸）の核酸塩基配列の総体を意味します。 遺伝子組み換え、ゲノム編集の言葉から、実際の工程を素人が思い浮かべるのはなかなか困難です。「DNAを切断して標的とする遺伝子を壊す技術」は狙い通りの結果を正確にもたらすのでしょうか？　本書の第１部「なぜゲノム編集食品はこわいのか」をお読みください。 2020年ノーベル化学賞と、高く評価されたクリスパー・キャス9技術で生み出された「食品」の流通は現在日本のみです。「フードテックという名の企業の食料支配」（本書第3部）の内実を学び、利潤追求に与させられている科学技術を「食料主権」・地球上の健康な生命を守る力に変える方向を示す「第４部 作られた食糧危機と動き出した市民」をお勧めします。　　（小児科医 伊集院）]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div id="attachment_6322" class="wp-caption alignleft" style="width: 211px"><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/603-07.jpg"><img class="size-medium wp-image-6322" title="603-07" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/603-07-335x500.jpg" alt="" width="201" height="300" /></a><p class="wp-caption-text">天笠啓祐 著ユサブル1600円＋税2025年4月刊行</p></div>
<p>スーパーの店頭に並ぶ高GABA（ギャバ）トマトはγ（gamma）アミノ酪酸（aminobutyric acid）が多く含まれ、睡眠を改善し血圧上昇を防ぐ「機能性表示食品」とパッケージに表示されています。<span id="more-6321"></span>筑波大学発のベンチャー企業である（株）サナテックシードが開発、’20年12月届出、’21年9月から市販されたゲノム編集食品です。生物が有する遺伝情報を担うDNAに操作を受けたトマトですが、安全審査はなされず消費者に対する表示もありません。かつて豆腐のパッケージには「遺伝子組み換えでない」とかの記載がありましたが今は消えています。「資源がないから科学技術立国へ」とのメッセージがしばしば聞かれ、科学技術への信奉が厚い消費者も多いと考えられるのに、なぜ科学技術から生まれたことをアピールしないのでしょう。</p>
<p>読売新聞オンライン（‘25年1月27日）では、「国内のゲノム編集食品」について届出7品目、うち4品目流通とあります。</p>
<p>先述した高GABAトマト、筋肉の成長を阻害するミオスタチン遺伝子を破壊（ノックアウト）して「肉厚で可食部を増やしたマダイ」、食欲を抑制するレプチン遺伝子をノックアウトした「成長が速いトラフグ、ヒラメ」。魚類の届出はいずれも京都大学発（株）リージョナルフィッシュで、大規模工場での陸上養殖・外食産業との提携を進めているとのこと。届出済・上市（市販）未定は「高粘度の加工用トウモロコシ」、「小型で収量が多いジャガイモ」。</p>
<p>良いことずくめの記載ですが、安全なのでしょうか？本年4月発行の本書によると「現在、ゲノム編集食品が市場流通しているのは日本だけ」とのこと。なお食品衛生行政は厚生労働省の管轄と思っていましたが、昨年4月より消費者庁に移管されていました。</p>
<p>著者は、市民バイオテクノロジー情報室代表・日本消費者連盟顧問・遺伝子組み換え食品いらないキャンペーン代表です。工学技術で作成された食品であることをなぜ明示しないのか？詳細は本書の第２部「骨抜きにされた食の安全基準」を読んで頂きたいです。</p>
<p>2020年世界各国の政府やグローバル企業が集まるダボス会議（世界経済フォーラム）は気候変動、エネルギーや食糧の危機に対処する「グレートリセット」を提唱しました。日本政府も、この計画に呼応して同年10月「フードテック官民協議会」を設立。農林水産省は’21年5月「みどりの食料システム戦略」策定し、その目的を「食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現する」としています。</p>
<p>みどりの食料システムの「具体的な取組」として挙げられている「地球にやさしいスーパー品種の開発・普及」の中に、ゲノム編集食品の位置付けがあると考えられます。</p>
<p>1990年代から開発されていたゲノム編集技術の実用化に力を発揮したのが、2012年開発されたクリスパー・キャスナイン（CRISPR-Cas9）です。医問研ニュース’24年4月号に、松本有史氏（｟医｠松本医院）による詳述があります。</p>
<p>ゲノム（genome）とは、遺伝子（gene）と染色体（chromosome）の名称を起源とした、1920年ドイツの学者による造語です。生物の染色体を構成する、遺伝情報を有するDNA（デオキシリボ核酸）の核酸塩基配列の総体を意味します。</p>
<p>遺伝子組み換え、ゲノム編集の言葉から、実際の工程を素人が思い浮かべるのはなかなか困難です。「DNAを切断して標的とする遺伝子を壊す技術」は狙い通りの結果を正確にもたらすのでしょうか？　本書の第１部「なぜゲノム編集食品はこわいのか」をお読みください。</p>
<p>2020年ノーベル化学賞と、高く評価されたクリスパー・キャス9技術で生み出された「食品」の流通は現在日本のみです。「フードテックという名の企業の食料支配」（本書第3部）の内実を学び、利潤追求に与させられている科学技術を「食料主権」・地球上の健康な生命を守る力に変える方向を示す「第４部 作られた食糧危機と動き出した市民」をお勧めします。　　（小児科医 伊集院）</p>
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		<title>いちどくを この本『子どもの自殺はなぜ増え続けているのか』（NEWS No.601 p08）</title>
		<link>http://ebm-jp.com/2025/12/news-601-2025-09-p08/</link>
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		<pubDate>Mon, 15 Dec 2025 05:31:17 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[本の紹介]]></category>
		<category><![CDATA[601号2025年9月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[『子どもの自殺はなぜ増え続けているのか』 渋井哲也 著 集英社新書　1000円＋税 2025年5月刊行 2024年の1年間に自殺した小中高生が529人と、職業別自殺者を統計し始めて以来、過去最高となった。少子化が進み、大人の自殺者数が減少傾向の中で、どうして10代だけ自殺者が増えているのかという疑問を著者は解き明かそうと試みている。 厚労省の｢自殺対策白書｣でみると、2007年と比べて23年の時点で10代の自殺死亡率(10万人当たり)は4.5から7.5に(1.7倍)、うち男性は5.4から7.8に1.4倍)、女性は3,5から7.2(約2倍)に増えた。コロナ禍でも子どもの自殺は目立つが、16年から自殺者数は増加傾向であり、コロナ禍は子どもの自殺を可視化したに過ぎない。 児童青年期の自殺には、家族や家庭環境、友人関係、学校といった社会的状況が重大な影響を及ぼす。著者は虐待やいじめ、不適切な指導などにも切り込んでいる。 実際に自殺してしまった人には家庭問題、そのなかでも虐待は少なくなく、身体的虐待、面前DVを含む心理的虐待、性的虐待、教育や宗教の強制などに日常的にさらされ、希死念慮、自傷行為、さらに自殺にまでいたってしまう。著者は虐待サバイバーや自殺者の遺族から当事者の置かれた環境や自殺にいたる経緯について丁寧に聴き取っているが、凄惨すぎて目を背けたくなる事例もある。虐待を含む逆境的小児期体験(ACE)によって、自己効力感の欠如、自傷行為を含む自殺関連行動の多さ、生きづらさ、サポートの欠如などが相まって自殺にいたると考えられる。なお、自傷行為は、死にたいくらいつらい出来事や記憶を切り離す効能があるが、効果がなくなると自殺に走ることもある。市販薬の乱用も子どもたちが生き延びるため、目の前のつらさから逃れるためであることを理解する必要がある。子どもたちの市販薬のOD(大量服薬)の背景を無視し続ければ、新たな問題行動の芽が出てくる可能性が高い(より危険な薬物や自傷行為へのエスカレートなど) いじめの件数は、定義の変遷や認知度の向上もあって増加傾向にあるが、自殺しても関連を学校や加害者およびその保護者らが否認して、当事者家族が二次被害を受けることも少なくない。日本のいじめで最も多いのは暴力を伴わない｢仲間はずれ・無視・陰口｣だが、孤立感や無価値感を次第に深めるとともに、加害者らとの関係から離脱することが容易でないとの無力感、閉塞感を抱く。いじめの場面がネット空間だとさらに気づかれにくい。 教職員による不適切な指導が不登校や自殺のきっかけになることもある。著者は、教職員の曲解により大声での叱責や長時間の拘束、部活や行事からの排除などから自殺にいたった事例、深夜に及ぶ学生会の会計監査という異常な対応などを挙げている。 13年にいじめ防止対策推進法制定、00年に児童虐待の防止等に関する法律成立、19年に児童福祉法改正などがあったが、子どもの自殺者数を減らせていない。23年4月には子ども庁が誕生して子どもの自殺対策室が設置された。23年6月に｢子どもの自殺対策緊急強化プラン｣が打ち出されたが、子どもの自殺対策は子ども庁と文科省、厚労省、警察とで連携はするが一元的な対応になっていない。1970年代に日本の子どもの自殺政策が始まったと考えられるが優先順位は低かった。遺族の粘り強い働きかけによって、自殺に関する実態調査や法制度などが整備されていくが、予防のための措置が不十分だとして、国連子どもの権利委員会が日本政府に対して繰り返し子どもの自殺に関する勧告を出している。 子どもの自殺を減らしたり止めたりする万能の方法はないが、当事者の気持ちを受け止め、死に向かわせないように個別的に考えること、まず当事者の世界を理解することが大切だと著者は述べる。これには完全に同意する。 非常に繊細で重い課題を、著者は当事者や遺族と真摯に向かい合い受け止めようとする。ACEやいじめなどを体験した人にはフラッシュバックから精神的な動揺が起こり得るので、安全に過ごせる環境や安心が得られる近しい人のもとで読むのが望ましいかもしれない。労作であり、一読をお勧めする。著者は自殺予防学会所属ノンフィクション作家。 精神科医　梅田]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/601-16.jpg"><img class="size-medium wp-image-6278 alignleft" title="601-16" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/601-16-306x500.jpg" alt="" width="184" height="300" /></a>『子どもの自殺はなぜ増え続けているのか』<br />
渋井哲也 著<br />
集英社新書　1000円＋税<br />
2025年5月刊行<span id="more-6277"></span></p>
<p>2024年の1年間に自殺した小中高生が529人と、職業別自殺者を統計し始めて以来、過去最高となった。少子化が進み、大人の自殺者数が減少傾向の中で、どうして10代だけ自殺者が増えているのかという疑問を著者は解き明かそうと試みている。</p>
<p>厚労省の｢自殺対策白書｣でみると、2007年と比べて23年の時点で10代の自殺死亡率(10万人当たり)は4.5から7.5に(1.7倍)、うち男性は5.4から7.8に1.4倍)、女性は3,5から7.2(約2倍)に増えた。コロナ禍でも子どもの自殺は目立つが、16年から自殺者数は増加傾向であり、コロナ禍は子どもの自殺を可視化したに過ぎない。</p>
<p>児童青年期の自殺には、家族や家庭環境、友人関係、学校といった社会的状況が重大な影響を及ぼす。著者は虐待やいじめ、不適切な指導などにも切り込んでいる。</p>
<p>実際に自殺してしまった人には家庭問題、そのなかでも虐待は少なくなく、身体的虐待、面前DVを含む心理的虐待、性的虐待、教育や宗教の強制などに日常的にさらされ、希死念慮、自傷行為、さらに自殺にまでいたってしまう。著者は虐待サバイバーや自殺者の遺族から当事者の置かれた環境や自殺にいたる経緯について丁寧に聴き取っているが、凄惨すぎて目を背けたくなる事例もある。虐待を含む逆境的小児期体験(ACE)によって、自己効力感の欠如、自傷行為を含む自殺関連行動の多さ、生きづらさ、サポートの欠如などが相まって自殺にいたると考えられる。なお、自傷行為は、死にたいくらいつらい出来事や記憶を切り離す効能があるが、効果がなくなると自殺に走ることもある。市販薬の乱用も子どもたちが生き延びるため、目の前のつらさから逃れるためであることを理解する必要がある。子どもたちの市販薬のOD(大量服薬)の背景を無視し続ければ、新たな問題行動の芽が出てくる可能性が高い(より危険な薬物や自傷行為へのエスカレートなど)</p>
<p>いじめの件数は、定義の変遷や認知度の向上もあって増加傾向にあるが、自殺しても関連を学校や加害者およびその保護者らが否認して、当事者家族が二次被害を受けることも少なくない。日本のいじめで最も多いのは暴力を伴わない｢仲間はずれ・無視・陰口｣だが、孤立感や無価値感を次第に深めるとともに、加害者らとの関係から離脱することが容易でないとの無力感、閉塞感を抱く。いじめの場面がネット空間だとさらに気づかれにくい。</p>
<p>教職員による不適切な指導が不登校や自殺のきっかけになることもある。著者は、教職員の曲解により大声での叱責や長時間の拘束、部活や行事からの排除などから自殺にいたった事例、深夜に及ぶ学生会の会計監査という異常な対応などを挙げている。</p>
<p>13年にいじめ防止対策推進法制定、00年に児童虐待の防止等に関する法律成立、19年に児童福祉法改正などがあったが、子どもの自殺者数を減らせていない。23年4月には子ども庁が誕生して子どもの自殺対策室が設置された。23年6月に｢子どもの自殺対策緊急強化プラン｣が打ち出されたが、子どもの自殺対策は子ども庁と文科省、厚労省、警察とで連携はするが一元的な対応になっていない。1970年代に日本の子どもの自殺政策が始まったと考えられるが優先順位は低かった。遺族の粘り強い働きかけによって、自殺に関する実態調査や法制度などが整備されていくが、予防のための措置が不十分だとして、国連子どもの権利委員会が日本政府に対して繰り返し子どもの自殺に関する勧告を出している。</p>
<p>子どもの自殺を減らしたり止めたりする万能の方法はないが、当事者の気持ちを受け止め、死に向かわせないように個別的に考えること、まず当事者の世界を理解することが大切だと著者は述べる。これには完全に同意する。</p>
<p>非常に繊細で重い課題を、著者は当事者や遺族と真摯に向かい合い受け止めようとする。ACEやいじめなどを体験した人にはフラッシュバックから精神的な動揺が起こり得るので、安全に過ごせる環境や安心が得られる近しい人のもとで読むのが望ましいかもしれない。労作であり、一読をお勧めする。著者は自殺予防学会所属ノンフィクション作家。</p>
<p style="text-align: right;">精神科医　梅田</p>
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		<title>本の紹介『ルポ 食が壊れる─私たちは何を食べさせられるのか？』（NEWS No.599 p07）</title>
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		<pubDate>Sun, 21 Sep 2025 02:59:11 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[本の紹介]]></category>
		<category><![CDATA[599号2025年7月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[『ルポ 食が壊れる─私たちは何を食べさせられるのか？』 堤 未果 著 文春新書　900円＋税 2022年12月 近所のスーパー2軒ともからコメ袋が消えたときにはビックリと不安・恐ろしさを感じ、積読のままになっていた本書の表題を思い出すことになりました。`22年12月発行にて、既に読まれた方々には申し訳ないですが、遅ればせながら紹介させて頂きます。 思い返せば‘23年5月から医問研ニュースで、松本有史氏(（医）聖仁会松本医院)による「“食”の問題シリーズ」の報告がありました。 (現在は医問研ホームページで検索可能です。) その① 「緑の革命」とは何だったのか？ その② 「種子の支配」についての歴史的経緯 ～緑の革命からGMO(注)革命まで～ (筆者注)Genetically Modified Organisms その③ 「GMO」の安全性について その④  危険なGMOとその規制緩和 その⑤  ゲノム編集技術（CRISPR-Cas9システム）について 「ゲノム編集と日本の食の危機」に対する言及もあり、重要な問題提起だったことを今頃になって本書を読みながら痛感した次第です。 スイスのダボスで開催される世界経済フォーラム(WEF:World Economic Forum)の年次総会は「ダボス会議」と呼ばれています。コロナ渦中の`20年6月WEFは、新興感染症や気候変動など地球環境の悪化に対処するための計画「全ての人の運命を変えるグレートリセット」を提唱しました。 食システムのリセットを企図する組織「EAT」は「食のダボス会議」とも称され「将来発生する可能性のある食糧危機に対処する」とのこと。 資金は、マイクロソフトのビル・ゲイツ、穀物のカーギル、種子のシンジェンタ、畜産のタイソン、化学のバイエル(旧モンサント)、ユニリーバ、ワクチンのグラクソ・スミスクライン、流通のアマゾン、そしてグーグルからの協力ですが、各社からの投資では？ その流れを受けたように同年10月、日本では「フードテック)官民協議会」が設立され、政府トップの「グレートリセット」への協力宣言のもと、`21年5月農水省から「みどりの食料システム戦略」が発表されました。 Food Techとは FoodとTechnologyからなる造語で「食の最先端技術」の意味で、著者は「ロボットやAIなどのテクノロジーとバイオ技術を軸にした」戦略で、「最新のデジタルテクノロジーによる一元支配が、いよいよ食と農の分野に参入し、急速に勢力を拡大してきている」事態と警鐘を鳴らしています。 「食のグレートリセット」の世界で、「今一体何がおきているのか？」　アグリビジネス(注)は何を成そうとしているのでしょうか？ (筆者注)agriculture農業に関する経済活動 食に関するテレビ番組は満載で、話の種になる華やか、賑やかな雰囲気を放っていると感じます。本書各章の見出しには、①「人工肉」は地球を救う？——気候変動時代の新市場　②フードテックの新潮流——ゲノム編集から＜食べるワクチン＞まで　③土地を奪われる農民たち——食のマネーゲーム２・０　④気候変動の語られない犯人——“悪魔化”された牛たち　⑤＜デジタル農業計画＞の裏——忍び寄る植民地的支配などが続きます。 テレビ番組には、このような情報提供の企画が見当たらず、何故か不気味に思われます。 私達が真実を知り、食を守るための選択「ツール」を提供することが膨大な取材活動に支えられた本書の目的と思われます。8ページにわたる「参考文献一覧」の提示にも、読者への大きな寄与を感じます。 人工肉や遺伝子組み換えサーモン、ゲノム編集魚を食べてどうなるのか？と食の未来に不安を感じますが、第6章「日本の食の未来を切り拓け——型破りな猛者たち」、第7章「世界はまだまだ養える——次なる食の文明へ」で報告される方々の取り組みには、敬意と共に励ましを感じます。 著者は`24年4月に「国民の違和感は9割正しい」(PHP新書) を上梓しています。 裏金問題、新NISAなどのお金と政府、SNS企業・マスコミ報道などに「何かがおかしい」と感じる違和感を紐解く労作です。 その第3章は農業についての記述です。「日本の農業政策の柱」の法律を`24年2月に四半世紀ぶりに改定した狙いが「グレートリセット」の一環では？と考えさせられます。 「令和の米騒動」の成り立ちを理解するための助けになります。...]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/599-10.jpg"><img class="alignleft size-medium wp-image-6214" title="599-10" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/599-10-312x500.jpg" alt="" width="187" height="300" /></a>『ルポ 食が壊れる─私たちは何を食べさせられるのか？』<br />
堤 未果 著<br />
文春新書　900円＋税<br />
2022年12月<span id="more-6213"></span></p>
<p>近所のスーパー2軒ともからコメ袋が消えたときにはビックリと不安・恐ろしさを感じ、積読のままになっていた本書の表題を思い出すことになりました。`22年12月発行にて、既に読まれた方々には申し訳ないですが、遅ればせながら紹介させて頂きます。</p>
<p>思い返せば‘23年5月から医問研ニュースで、松本有史氏(（医）聖仁会松本医院)による「“食”の問題シリーズ」の報告がありました。</p>
<p>(現在は医問研ホームページで検索可能です。)</p>
<p>その① 「緑の革命」とは何だったのか？</p>
<p>その② 「種子の支配」についての歴史的経緯</p>
<p>～緑の革命からGMO<sup>(</sup><sup>注)</sup>革命まで～</p>
<p>(筆者注)Genetically Modified Organisms</p>
<p>その③ 「GMO」の安全性について</p>
<p>その④  危険なGMOとその規制緩和</p>
<p>その⑤  ゲノム編集技術（CRISPR-Cas9システム）について</p>
<p>「ゲノム編集と日本の食の危機」に対する言及もあり、重要な問題提起だったことを今頃になって本書を読みながら痛感した次第です。</p>
<p>スイスのダボスで開催される世界経済フォーラム(WEF:World Economic Forum)の年次総会は「ダボス会議」と呼ばれています。コロナ渦中の`20年6月WEFは、新興感染症や気候変動など地球環境の悪化に対処するための計画「全ての人の運命を変える<em><span style="text-decoration: underline;">グレートリセット</span></em>」を提唱しました。</p>
<p>食システムのリセットを企図する組織「EAT」は「食のダボス会議」とも称され「将来発生する可能性のある食糧危機に対処する」とのこと。</p>
<p>資金は、マイクロソフトのビル・ゲイツ、穀物のカーギル、種子のシンジェンタ、畜産のタイソン、化学のバイエル(旧モンサント)、ユニリーバ、ワクチンのグラクソ・スミスクライン、流通のアマゾン、そしてグーグルからの協力ですが、各社からの投資では？</p>
<p>その流れを受けたように同年10月、日本では「フードテック<sup>)</sup>官民協議会」が設立され、政府トップの「グレートリセット」への協力宣言のもと、`21年5月農水省から「みどりの食料システム戦略」が発表されました。</p>
<p>Food Techとは FoodとTechnologyからなる造語で「食の最先端技術」の意味で、著者は「ロボットやAIなどのテクノロジーとバイオ技術を軸にした」戦略で、「最新のデジタルテクノロジーによる一元支配が、いよいよ食と農の分野に参入し、急速に勢力を拡大してきている」事態と警鐘を鳴らしています。</p>
<p>「食のグレートリセット」の世界で、「今一体何がおきているのか？」　アグリビジネス<sup>(注)</sup>は何を成そうとしているのでしょうか？</p>
<p>(筆者注)agriculture農業に関する経済活動</p>
<p>食に関するテレビ番組は満載で、話の種になる華やか、賑やかな雰囲気を放っていると感じます。本書各章の見出しには、①「人工肉」は地球を救う？——気候変動時代の新市場　②フードテックの新潮流——ゲノム編集から＜食べるワクチン＞まで　③土地を奪われる農民たち——食のマネーゲーム２・０　④気候変動の語られない犯人——“悪魔化”された牛たち　⑤＜デジタル農業計画＞の裏——忍び寄る植民地的支配などが続きます。</p>
<p>テレビ番組には、このような情報提供の企画が見当たらず、何故か不気味に思われます。</p>
<p>私達が真実を知り、食を守るための選択「ツール」を提供することが膨大な取材活動に支えられた本書の目的と思われます。8ページにわたる「参考文献一覧」の提示にも、読者への大きな寄与を感じます。</p>
<p>人工肉や遺伝子組み換えサーモン、ゲノム編集魚を食べてどうなるのか？と食の未来に不安を感じますが、第6章「日本の食の未来を切り拓け——型破りな猛者たち」、第7章「世界はまだまだ養える——次なる食の文明へ」で報告される方々の取り組みには、敬意と共に励ましを感じます。</p>
<p>著者は`24年4月に「国民の違和感は9割正しい」(PHP新書) を上梓しています。</p>
<p>裏金問題、新NISAなどのお金と政府、SNS企業・マスコミ報道などに「何かがおかしい」と感じる違和感を紐解く労作です。</p>
<p>その第3章は農業についての記述です。「日本の農業政策の柱」の法律を`24年2月に四半世紀ぶりに改定した狙いが「<em>グレートリセット</em>」の一環では？と考えさせられます。</p>
<p>「令和の米騒動」の成り立ちを理解するための助けになります。</p>
<p style="text-align: right;">(小児科医　伊集院)</p>
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		<title>いちどくを この本『精神科の薬について知っておいてほしいこと　作用の仕方と離脱症状』（NEWS No.597 p08）</title>
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		<pubDate>Sun, 03 Aug 2025 12:26:38 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[本の紹介]]></category>
		<category><![CDATA[597号2025年5月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[『精神科の薬について知っておいてほしいこと　作用の仕方と離脱症状』 J.モンクリフ著、高木 俊介、石原 孝二、他 訳 日本評論社　2,200円＋税 2022年8月刊行 著者は発行の意図を以下のように述べている。「製薬企業のマーケティングと専門家たちの合意によって、化学物質の不均衡や脳の病気があり、薬がそれを治す手助けをしてくれるのだと説得されてきました。この本では、そうした見方に異議を唱え、精神科の薬の本来の性質と作用に関する別の理解の仕方を示します。そして、宣伝文句によって曖昧にされてきた精神科の薬の真実に光を当てるつもりです。｣著者は、精神科の薬(向精神薬)の使用すべてに反対するのでないが、効果が過大に、害が過小に評価されているという立場だ。 1990年代にSSRI(｢選択的｣セロトニン再取り込み阻害剤)を売り出すときに、製薬企業は脳内の化学物質(神経伝達物質)の不均衡の正常化によって作用すると宣伝したが、神経伝達物質の不均衡は証明されていない。1990年代に｢非定型｣抗精神病薬が導入されたときも同じようなキャンペーンが展開された。 向精神薬が根底にある医学的疾病を｢元に戻す｣ことによって作用するという｢疾病中心モデル｣に対峙して著者は｢薬物作用モデル｣を提唱する。向精神薬が脳の正常な状態を変え、(薬にさらされていない)｢正常な｣心的状態と行動に変化をもたらすという理解だ。本著では抗精神病薬や抗うつ薬といった薬の分類は、疾病に特異的な仕方で作用するという考え方であり異議を唱える立場だが、定着した用語なのでやむを得ず使用すると断っている。 向精神薬は医薬品の中でベストセラーとなり、製薬企業に莫大な利益をもたらした。うつ病や双極性障害の概念がマーケティングキャンペーンによって拡大され、社交不安症なども含めて製薬企業は医療化を牽引してきた。 向精神薬に関する研究では、二重遮蔽と謳いながら(薬剤の作用を自覚するために)遮蔽になっていないことや、｢評価尺度｣でみる｢反応｣の基準に恣意的なカットオフポイントを用いていることを指摘する。 抗精神病薬に関するあるRCT(ランダム化比較試験)では、認知行動療法や危機管理を含む集中的な心理社会的ケアとの比較で6か月時点での社会的機能などで差はなかった。長期使用については、仕事の能力や人間関係をつくる能力などを評価した研究はほとんどない。急性使用による害作用だけでなく、長期使用に伴う過感受性精神病などの害作用もある。必要時のみ短期間に限って使用するのが合理的だと著者は述べる。抗うつ薬に関するRCTでも同様のことがいえるが、長引く離脱症候群や性機能障害の持続などを警告する。刺激剤(ADHD用のメチルフェニデートなど)は主には覚醒度を高めつつ、興味や自発性などを抑制して、子どもを扱いやすくするが、長期的な効果に関するエビデンスはない。ベンゾジアゼピン剤は、不安や不眠に対して時折使用する場合は有用だが、耐性や依存の害作用がある。 向精神薬の中止には困難を伴うが、離脱の特定のリスクは、薬剤の種類やもともと抱えている問題の性質により異なるが、安全かつ効果的に離脱する方法の研究は不足している。 総括として、向精神薬は、精神的な混乱や興奮を軽減して役に立つこともあるが、当事者の生活を改善する能力は限られているとする。 精神科臨床を担う立場にとっては耳が痛い指摘だが、それぞれの薬剤について鎮静的に作用することの強調や精神疾患そのものへの理解のしかたについては納得しにくいところはあるものの、概ね有効性の過剰評価と害の過小評価については納得する。また向精神薬が当事者とのコミュニケーションを改善する道具としては有用であるという、訳者の高木俊介氏の意見には共鳴する。有効性の限界や害作用を弁えて、薬物療法を実践していきたいという思いを新たにした。 精神科医　梅田]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/597-7.jpg"><img class="alignleft size-medium wp-image-6157" title="597-7" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/597-7-351x500.jpg" alt="" width="211" height="300" /></a>『精神科の薬について知っておいてほしいこと　作用の仕方と離脱症状』<br />
J.モンクリフ著、高木 俊介、石原 孝二、他 訳<br />
日本評論社　2,200円＋税<br />
2022年8月刊行<br />
<span id="more-6156"></span>著者は発行の意図を以下のように述べている。「製薬企業のマーケティングと専門家たちの合意によって、化学物質の不均衡や脳の病気があり、薬がそれを治す手助けをしてくれるのだと説得されてきました。この本では、そうした見方に異議を唱え、精神科の薬の本来の性質と作用に関する別の理解の仕方を示します。そして、宣伝文句によって曖昧にされてきた精神科の薬の真実に光を当てるつもりです。｣著者は、精神科の薬(向精神薬)の使用すべてに反対するのでないが、効果が過大に、害が過小に評価されているという立場だ。</p>
<p>1990年代にSSRI(｢選択的｣セロトニン再取り込み阻害剤)を売り出すときに、製薬企業は脳内の化学物質(神経伝達物質)の不均衡の正常化によって作用すると宣伝したが、神経伝達物質の不均衡は証明されていない。1990年代に｢非定型｣抗精神病薬が導入されたときも同じようなキャンペーンが展開された。</p>
<p>向精神薬が根底にある医学的疾病を｢元に戻す｣ことによって作用するという｢疾病中心モデル｣に対峙して著者は｢薬物作用モデル｣を提唱する。向精神薬が脳の正常な状態を変え、(薬にさらされていない)｢正常な｣心的状態と行動に変化をもたらすという理解だ。本著では抗精神病薬や抗うつ薬といった薬の分類は、疾病に特異的な仕方で作用するという考え方であり異議を唱える立場だが、定着した用語なのでやむを得ず使用すると断っている。</p>
<p>向精神薬は医薬品の中でベストセラーとなり、製薬企業に莫大な利益をもたらした。うつ病や双極性障害の概念がマーケティングキャンペーンによって拡大され、社交不安症なども含めて製薬企業は医療化を牽引してきた。</p>
<p>向精神薬に関する研究では、二重遮蔽と謳いながら(薬剤の作用を自覚するために)遮蔽になっていないことや、｢評価尺度｣でみる｢反応｣の基準に恣意的なカットオフポイントを用いていることを指摘する。</p>
<p>抗精神病薬に関するあるRCT(ランダム化比較試験)では、認知行動療法や危機管理を含む集中的な心理社会的ケアとの比較で6か月時点での社会的機能などで差はなかった。長期使用については、仕事の能力や人間関係をつくる能力などを評価した研究はほとんどない。急性使用による害作用だけでなく、長期使用に伴う過感受性精神病などの害作用もある。必要時のみ短期間に限って使用するのが合理的だと著者は述べる。抗うつ薬に関するRCTでも同様のことがいえるが、長引く離脱症候群や性機能障害の持続などを警告する。刺激剤(ADHD用のメチルフェニデートなど)は主には覚醒度を高めつつ、興味や自発性などを抑制して、子どもを扱いやすくするが、長期的な効果に関するエビデンスはない。ベンゾジアゼピン剤は、不安や不眠に対して時折使用する場合は有用だが、耐性や依存の害作用がある。</p>
<p>向精神薬の中止には困難を伴うが、離脱の特定のリスクは、薬剤の種類やもともと抱えている問題の性質により異なるが、安全かつ効果的に離脱する方法の研究は不足している。</p>
<p>総括として、向精神薬は、精神的な混乱や興奮を軽減して役に立つこともあるが、当事者の生活を改善する能力は限られているとする。</p>
<p>精神科臨床を担う立場にとっては耳が痛い指摘だが、それぞれの薬剤について鎮静的に作用することの強調や精神疾患そのものへの理解のしかたについては納得しにくいところはあるものの、概ね有効性の過剰評価と害の過小評価については納得する。また向精神薬が当事者とのコミュニケーションを改善する道具としては有用であるという、訳者の高木俊介氏の意見には共鳴する。有効性の限界や害作用を弁えて、薬物療法を実践していきたいという思いを新たにした。</p>
<p style="text-align: right;">精神科医　梅田</p>
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		<title>いちどくを この本『ギャンブル脳』（NEWS No.594 p08）</title>
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		<pubDate>Tue, 06 May 2025 10:14:20 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[本の紹介]]></category>
		<category><![CDATA[594号2025年2月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[『ギャンブル脳』 帚木蓬生 著 新潮新書　900円＋税 2025年1月刊行 2025年1月14日、ＦＸ取引や競馬で損失を出して消費者金融で借金し、その後顧客の貸金庫から総額17億円相当を盗んだメガバンク店長代理が逮捕された。約50の海外インターネットカジノと契約して昨年11月に逮捕された男をトップとするグループは１年余りで延べ約4万人から18億円超を集めた。2025年2月6日、大谷翔平選手の元通訳の水原一平被告が、禁錮4年9カ月と、大谷選手への約1700万ドル（約26億円）の賠償金、内国歳入疔への約115万ドルの税金の支払いを命じられた。被告はスポーツ賭博胴元への借金返済のため、大谷選手の口座から約1700万ドルを盗み、解雇された。ギャンブル障害（ギャンブル依存症、以下、ギャンブル症、本著ではギャンブル脳）の破壊的影響は甚大だ。 ギャンブル脳では、セロトニン低下によって衝動制御が困難となり、ノルアドレナリンとオピオイドは増加して覚醒と興奮の度合いが高まり、ドーパミン過剰によって報酬系の均衡が崩れていますぐの報酬がほしくなる。脳の変化は恒久化して元に戻らない。ギャンブル症は行動嗜癖だが、アルコールを含む物質嗜癖などよりも頭抜けて嗜癖の強度が高い。 ギャンブル症の2大特徴は噓と借金。借金は尻拭いせず、債務処理して本人による返済が鉄則だ。 ギャンブル脳では「三ザル」状態と「三だけ」主義が特徴だ。「三ザル」状態は｢見ザル、聞かザル、言わザル｣で、自分の病気が見えず、助言も受け付けず、自分の心中を言わない。「三だけ」主義は自分だけ、今だけ、金だけ。子どもを含む家族を財布としか見ず、刹那主義で、犯罪もつきもの。児童虐待、横領等企業犯罪、強盗・殺人などの重大犯罪、最近増えている「闇バイト」にもつながる。著者の診療所の新患の調査（2013年8月から2015年）からの類推では、日本のギャンブル症者がつぎ込んだ総計が70兆円と驚愕的な額となった。 日本は世界に冠たるギャンブル大国だ。パチンコ・パチスロを含むギャンブルの売上は20兆円超。国が算出したギャンブル症の有病率は調査のたびに下がっている（2008年　5.6%、600万人。2013年　4.8%、536万人。2021年　2.2%、196万人）が、米国やフランス、英国、韓国の数倍だ。さらに新型コロナ禍で公営ギャンブル（宝くじ、競馬、競輪、オートレース、競艇、スポーツ振興くじ）がオンライン化して24時間利用可能となり、借金の多額化やギャンブル症の低年齢化を助長しており、すでに有病率が過去の4.8%に逆戻りしている可能性もある。筆者は、政府のオンラインカジノ開設の魂胆を疑うが、夢洲カジノの事業者MGMはオンラインカジノに力を入れており、あり得ない話ではない。胴元は、パチンコ・パチスロは国家公安委員会と警察、競馬は農水省、競艇は国交省、競輪とオートレースは経産省、宝くじは総務省、スポーツ振興くじは文科省である一方で、カジノは民間事業者が運営する。国全体のギャンブルを統制する、超越した部局が必要だ。 夢洲のカジノについては、夢洲の液状化リスクやメタンガス噴出、地盤沈下などからMGMが大阪府市の足元を見ていつでも撤退可能なこと、年間来場者数２千万人というあり得ない想定やギャンブル依存症対策の欺瞞について触れている。 ギャンブル症は進行性で治癒はないが、治療すると進行は止まる。通院と自助グループ（GA）通いが必須だ。目標は思いやり、寛容、正直、謙虚だ。家族のための自助グループもある。 豊富な臨床経験によりギャンブル症についてわかりやすく語られ、ギャンブル症からの回復の希望が見える。また日本では古代から賭博は禁止されてきたが、第二次大戦後に公営ギャンブルが雨後の筍のように現れ、ついに民間への賭博丸投げであるカジノ解禁で国家の理念が変更されたと指摘する。 夢洲カジノをめぐる緊迫した情勢下で必読と考える。 精神科医　梅田]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/594-8.jpg"><img class="alignleft size-medium wp-image-6081" title="594-8" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/594-8-312x500.jpg" alt="" width="187" height="300" /></a>『ギャンブル脳』<br />
帚木蓬生 著<br />
新潮新書　900円＋税<br />
2025年1月刊行<span id="more-6080"></span></p>
<p>2025年1月14日、ＦＸ取引や競馬で損失を出して消費者金融で借金し、その後顧客の貸金庫から総額17億円相当を盗んだメガバンク店長代理が逮捕された。約50の海外インターネットカジノと契約して昨年11月に逮捕された男をトップとするグループは１年余りで延べ約4万人から18億円超を集めた。2025年2月6日、大谷翔平選手の元通訳の水原一平被告が、禁錮4年9カ月と、大谷選手への約1700万ドル（約26億円）の賠償金、内国歳入疔への約115万ドルの税金の支払いを命じられた。被告はスポーツ賭博胴元への借金返済のため、大谷選手の口座から約1700万ドルを盗み、解雇された。ギャンブル障害（ギャンブル依存症、以下、ギャンブル症、本著ではギャンブル脳）の破壊的影響は甚大だ。</p>
<p>ギャンブル脳では、セロトニン低下によって衝動制御が困難となり、ノルアドレナリンとオピオイドは増加して覚醒と興奮の度合いが高まり、ドーパミン過剰によって報酬系の均衡が崩れていますぐの報酬がほしくなる。脳の変化は恒久化して元に戻らない。ギャンブル症は行動嗜癖だが、アルコールを含む物質嗜癖などよりも頭抜けて嗜癖の強度が高い。</p>
<p>ギャンブル症の2大特徴は噓と借金。借金は尻拭いせず、債務処理して本人による返済が鉄則だ。</p>
<p>ギャンブル脳では「三ザル」状態と「三だけ」主義が特徴だ。「三ザル」状態は｢見ザル、聞かザル、言わザル｣で、自分の病気が見えず、助言も受け付けず、自分の心中を言わない。「三だけ」主義は自分だけ、今だけ、金だけ。子どもを含む家族を財布としか見ず、刹那主義で、犯罪もつきもの。児童虐待、横領等企業犯罪、強盗・殺人などの重大犯罪、最近増えている「闇バイト」にもつながる。著者の診療所の新患の調査（2013年8月から2015年）からの類推では、日本のギャンブル症者がつぎ込んだ総計が70兆円と驚愕的な額となった。</p>
<p>日本は世界に冠たるギャンブル大国だ。パチンコ・パチスロを含むギャンブルの売上は20兆円超。国が算出したギャンブル症の有病率は調査のたびに下がっている（2008年　5.6%、600万人。2013年　4.8%、536万人。2021年　2.2%、196万人）が、米国やフランス、英国、韓国の数倍だ。さらに新型コロナ禍で公営ギャンブル（宝くじ、競馬、競輪、オートレース、競艇、スポーツ振興くじ）がオンライン化して24時間利用可能となり、借金の多額化やギャンブル症の低年齢化を助長しており、すでに有病率が過去の4.8%に逆戻りしている可能性もある。筆者は、政府のオンラインカジノ開設の魂胆を疑うが、夢洲カジノの事業者MGMはオンラインカジノに力を入れており、あり得ない話ではない。胴元は、パチンコ・パチスロは国家公安委員会と警察、競馬は農水省、競艇は国交省、競輪とオートレースは経産省、宝くじは総務省、スポーツ振興くじは文科省である一方で、カジノは民間事業者が運営する。国全体のギャンブルを統制する、超越した部局が必要だ。</p>
<p>夢洲のカジノについては、夢洲の液状化リスクやメタンガス噴出、地盤沈下などからMGMが大阪府市の足元を見ていつでも撤退可能なこと、年間来場者数２千万人というあり得ない想定やギャンブル依存症対策の欺瞞について触れている。</p>
<p>ギャンブル症は進行性で治癒はないが、治療すると進行は止まる。通院と自助グループ（GA）通いが必須だ。目標は思いやり、寛容、正直、謙虚だ。家族のための自助グループもある。</p>
<p>豊富な臨床経験によりギャンブル症についてわかりやすく語られ、ギャンブル症からの回復の希望が見える。また日本では古代から賭博は禁止されてきたが、第二次大戦後に公営ギャンブルが雨後の筍のように現れ、ついに民間への賭博丸投げであるカジノ解禁で国家の理念が変更されたと指摘する。</p>
<p>夢洲カジノをめぐる緊迫した情勢下で必読と考える。</p>
<p style="text-align: right;">精神科医　梅田</p>
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		<title>本の紹介「真実と修復―暴力被害者にとっての謝罪・補償・再発防止策」（NEWS No.592 p08）</title>
		<link>http://ebm-jp.com/2025/02/news-592-2024-12-p08/</link>
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		<pubDate>Fri, 28 Feb 2025 10:10:44 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[本の紹介]]></category>
		<category><![CDATA[592号2024年12月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[「真実と修復─暴力被害者にとっての謝罪・補償・再発防止策」 ジュディス・L・ハーマン著 阿部大樹 訳 みすず書房、3400円＋税 〈医問研ニュース 第590号で「性暴力救援センター・大阪SACHICOの存続と体制強化を求める全国署名」への協力をお願いしました。各種メディア報道で周知のことですが、12月4日大阪府議会議長宛てに請願署名48,463筆が提出されました。今後、府議会の対応に注目します。ご協力有り難うございました。〉 以前「トラウマ」に関する著作を医問研の梅田忠斉氏(精神科)から紹介して頂いた時、筆頭に挙がっていたのがジュディス・ルイス・ハーマン氏の著書「心的外傷と回復」(Trauma and Recovery 1992年、邦訳中井久夫 1996年)でした。ハーマン女史の名前を知ったのはその時です。 一時期SACHICOの活動に参加していたものの著書の敷居は高く、私が入手したのは2019年第16刷版でした。冒頭には「本書はその生命を女性解放運動に負うものである」との記述。「性的および家族的暴力の被害者を相手とする臨床および研究の二十年間の果実・公的世界と私的世界と、個人と社会と、男性と女性とのつながりを取り戻す本である・外傷後生存者の証言が本書の中核」とあり、読み辛さや睡眠障害も生じ中断を挟んでの読了となりました。 天皇主権、家父長制の明治憲法下で成人した両親、男尊女卑の強い山中の村落に育った父、第3子(筆者)出産の前年にようやく普通選挙権を獲得した母、兄二人も含め男性優位の心情の中で育ち、心の問題は二の次、心の内を出さないことが美徳のように捉え(させられ？)ていた私には、「心のきず」に向き合う臨床家の著述に接することは「目から鱗」の経験でした。 「真実と修復」の訳者あとがきで阿部大樹氏(精神科医)は、「性暴力や児童虐待に対して、専門家である医療者が＜良いとも悪いとも言えない＞とか＜相手の立場もあるだろうから＞式の態度をあえて取ることは、クライアントが語ることを抑制し、ときに沈黙を強いるに等しい。価値判断を回避する『空白のスクリーン』という古い臨床家像からの脱却こそ、『心的外傷と回復』が『フロイト以降のもっとも重要な精神医学書』と評された理由である」と述べています。 新聞の書評欄にハーマン氏の名を発見した時は、被害者の立場に立ち続けることを貫いている著者から、次に私たちは何を突き付けられるのかを学ばなければと読み始めました。 「真実と修復」の原著は「Truth and Repair － How Trauma Survivors Envision Justice, Basic Books, New York,2023」です。副題の直訳は「心的外傷後生存者は正義をどんな風に思い描くか」ですが、著者はイントロダクション(序論)の中に「本書が示そうとするのは〈暴力を生き延びた人にとって正義とは何であるか〉である」と述べています。著者は1942年ニューヨーク市生まれにて、本書執筆当時は80歳です。自身の闘病生活を克服して、暴力被害者の回復に注力される生き方には圧倒されるばかりです。 回復には、エンパワーメント(有力化)とコミュニティへの復帰、「この二つが、私の考える治療の根本原則である」」と述べる著者は次に正義justiceの必要性を提起しています。「暴力の生態系とはすなわち、劣位におかれた人々に対する犯罪がいかに正当化され、受忍すべきものとされ、不可視化されるかである・社会のあり方から心的外傷が生じている以上、そこからの回復も、個人の問題ではありえない・より大きなコミュニティから対策を引きだして、不正義を修復しなくてはならない」とあります。 第一部〈何が正義とされるかは権力の社会的構成に依拠している〉についての論証、第二部〈暴力被害者の言葉からどのような正義のヴィジョンがうかび上がるか〉の検討と解決策の提起、第三部は補償・矯正・予防と題する各章、最終章は「従属から女性が放たれる『史上最長の革命』」を目指す取り組みについて、著者の思いが溢れる記述です。つたない紹介ですが、女性の現在地、目標を学ぶことが出来ます。 (小児科 伊集院)]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><strong><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/592-8.jpg"><img class="size-medium wp-image-6008 alignright" title="592-8" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/592-8-336x500.jpg" alt="" width="202" height="300" /></a></strong><strong>「真実と修復─<strong>暴力被害者にとっての謝罪・補償・再発防止策</strong>」<br />
</strong><strong>ジュディス・L・ハーマン著 </strong><strong>阿部大樹 訳<br />
</strong><strong>みすず書房、3400円＋税<span id="more-6007"></span><br />
</strong></p>
<p>〈医問研ニュース 第590号で「性暴力救援センター・大阪SACHICOの存続と体制強化を求める全国署名」への協力をお願いしました。各種メディア報道で周知のことですが、12月4日大阪府議会議長宛てに請願署名48,463筆が提出されました。今後、府議会の対応に注目します。ご協力有り難うございました。〉</p>
<p>以前「トラウマ」に関する著作を医問研の梅田忠斉氏(精神科)から紹介して頂いた時、筆頭に挙がっていたのがジュディス・ルイス・ハーマン氏の著書「心的外傷と回復」(<em>Trauma and Recovery</em> 1992年、邦訳中井久夫 1996年)でした。ハーマン女史の名前を知ったのはその時です。</p>
<p>一時期SACHICOの活動に参加していたものの著書の敷居は高く、私が入手したのは2019年第16刷版でした。冒頭には「本書はその生命を女性解放運動に負うものである」との記述。「性的および家族的暴力の被害者を相手とする臨床および研究の二十年間の果実・公的世界と私的世界と、個人と社会と、男性と女性とのつながりを取り戻す本である・外傷後生存者の証言が本書の中核」とあり、読み辛さや睡眠障害も生じ中断を挟んでの読了となりました。</p>
<p>天皇主権、家父長制の明治憲法下で成人した両親、男尊女卑の強い山中の村落に育った父、第3子(筆者)出産の前年にようやく普通選挙権を獲得した母、兄二人も含め男性優位の心情の中で育ち、心の問題は二の次、心の内を出さないことが美徳のように捉え(させられ？)ていた私には、「心のきず」に向き合う臨床家の著述に接することは「目から鱗」の経験でした。</p>
<p>「真実と修復」の訳者あとがきで阿部大樹氏(精神科医)は、「性暴力や児童虐待に対して、専門家である医療者が＜良いとも悪いとも言えない＞とか＜相手の立場もあるだろうから＞式の態度をあえて取ることは、クライアントが語ることを抑制し、ときに沈黙を強いるに等しい。価値判断を回避する『空白のスクリーン』という古い臨床家像からの脱却こそ、『心的外傷と回復』が『フロイト以降のもっとも重要な精神医学書』と評された理由である」と述べています。</p>
<p>新聞の書評欄にハーマン氏の名を発見した時は、被害者の立場に立ち続けることを貫いている著者から、次に私たちは何を突き付けられるのかを学ばなければと読み始めました。</p>
<p>「真実と修復」の原著は「<em>Truth and Repair</em> － <em>How Trauma Survivors Envision Justice</em>, Basic Books, New York,2023」です。副題の直訳は「心的外傷後生存者は正義をどんな風に思い描くか」ですが、著者はイントロダクション(序論)の中に「本書が示そうとするのは〈暴力を生き延びた人にとって正義とは何であるか〉である」と述べています。著者は1942年ニューヨーク市生まれにて、本書執筆当時は80歳です。自身の闘病生活を克服して、暴力被害者の回復に注力される生き方には圧倒されるばかりです。</p>
<p>回復には、エンパワーメント(有力化)とコミュニティへの復帰、「この二つが、私の考える治療の根本原則である」」と述べる著者は次に正義justiceの必要性を提起しています。「暴力の生態系とはすなわち、劣位におかれた人々に対する犯罪がいかに正当化され、受忍すべきものとされ、不可視化されるかである・社会のあり方から心的外傷が生じている以上、そこからの回復も、個人の問題ではありえない・より大きなコミュニティから対策を引きだして、不正義を修復しなくてはならない」とあります。</p>
<p>第一部〈何が正義とされるかは権力の社会的構成に依拠している〉についての論証、第二部〈暴力被害者の言葉からどのような正義のヴィジョンがうかび上がるか〉の検討と解決策の提起、第三部は補償・矯正・予防と題する各章、最終章は「従属から女性が放たれる『史上最長の革命』」を目指す取り組みについて、著者の思いが溢れる記述です。つたない紹介ですが、女性の現在地、目標を学ぶことが出来ます。</p>
<p style="text-align: right;">(小児科 伊集院)</p>
]]></content:encoded>
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		<title>書評：「私たちは売りたくない！ ─”危ないワクチン“販売を命じられた製薬会社現役社員の慟哭」（NEWS No.591 p08）</title>
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		<pubDate>Mon, 20 Jan 2025 04:52:23 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[本の紹介]]></category>
		<category><![CDATA[591号2024年11月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[書評：「私たちは売りたくない！」 -”危ないワクチン“販売を命じられた製薬会社現役社員の慟哭- チームK著、方丈社1600円 週刊文集に「レプリコンワクチン（コスタイベ）」の製造発売会社Meiji Seikaファルマ社の「社員を名乗る人物ら」が書いたとされていると、紹介されていました。これは大変重要な本ではないかとすぐに買い求めました。 この本の書かれた理由など 著者たちは、同社の若い社員がmRNAコロナワクチンの接種後に急死したことを契機にmRNAワクチンを詳しく検討し始めたとのことです。 その後、自社がこれまでのmRNAワクチンよりも危険な可能性がある「コスタイベ」発売を強行しましたが、それは売ることはできないと、仕事と生活をかけて、この本の出版を決意したと書かれています。そのため、公的なデータ、例えば、厚労省の医薬品を認可する審議会の「審議報告書」に記載されているものなどを根拠にして、会社側の攻撃にも耐えられるように書かれています。以下は、その一部です。 ｍRNAワクチン全般について 有害作用について、mRNAワクチンはこれまでのワクチンより極めて多数の害を出しており、死亡認定数はインフルエンザワクチンの100倍以上とのデータを出しています。また、予防接種健康被害救済制度認定者数は、過去45年10億回数超の従来のワクチンでは3522人、うち死者151人、それに対しコロナワクチンではわずか3.5年、４億回で7938人、うち死者773人です。 「心筋炎はコロナにかかった方がワクチンによるよりはるかに多い」との比較方法が捏造。ワクチンでは、接種者全員が分母ですが、コロナ感染者の分母は、感染者のほんの一部の入院した患者だけです。年齢も違うデータで比較しています。小島勢二氏が告発した、厚労省が「接種不明」を「接種なし」にした捏造と似ています。 mRNAは超低温での保存が必要ですが、使用期限が途中で伸ばされ、効果がどうかも示されていません。他のワクチンなら、保存状態による力価のテストがされています。例えば、武田製薬のMRワクチンの力価が落ちたため回収になっていますが、mRNAではそのよう追跡はされていません。 この本の指摘をまとめると、ワクチンが社会に登場するまでの異常に早いスピード、有効性の検証が不十分、過去に例がないほどの副反応のきつさ、厚労省自身による、業務停止レベルの誤情報の意図的拡散、死亡事例が出ても接種中止とならず、事業継続の判断、有効期限の度重なる延長。 これらがコロナにより薬の製造販売が「市民の健康より企業の利益」が飛躍的に進んだ現実と私は思います。 「レプリコンワクチン」について mRNA が体内で増殖するのが特徴ですが、他のmRNAワクチンと同様に、LNP（mRNAを包んで壊れないようにしている物質で、多くの有害作用の原因の一つとして疑われている）が使われているなど、他のmRNAワクチンの問題点を持っています。 認可した審査報告書でさえ、コナミティより（副作用が多い傾向であり）「コスタイベ」の「安全性が向上したとは言えない」としています。また、「コナミティ」と比べて抗体価上昇が長く続くことを示すデータが提出されています。これは、効果の長さを意味しますが、他方で有害作用が長く続くことも意味します。 自己増殖を止めるというのは本当か？ワクチンの設計としてブレイカーがなく、増殖が止まっていたとの証拠はマウスの実験だけしかないことも、不気味です。 コスタイベは、ｍRNAによって作られるスパイク蛋白の量が不明で、既存のmRNAワクチンより一層わからなく、mRNAの自己増殖型では、これまでのmRNAワクチンより、さらに危険度が高い可能性がある。などとの「あたりまえ」の批判がされています。 なお、ワクチンそのものが他人に移ること（シェディング）については不明＝無いとの証拠もないとしています。 ワクチン開発の基本的な解説から見たmRNAワクチンと、レプリコンワクチンの問題点の指摘は大変重要と思われました。ご紹介しきれない重要なことが多く書かれているこの本の一読をお勧めします。 （はやし小児科　林敬次）]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><strong><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/591-8.jpg"><img class="size-medium wp-image-5990 alignright" title="591-8" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/591-8-346x500.jpg" alt="" width="208" height="300" /></a>書評：「私たちは売りたくない！</strong><strong>」<br />
</strong><strong>-</strong><strong>”危ないワクチン“販売を命じられた製薬会社現役社員の慟哭-<br />
</strong><span style="font-weight: bold;">チームK著、方丈社1600円<span id="more-5988"></span><br />
</span></p>
<p>週刊文集に「レプリコンワクチン（コスタイベ）」の製造発売会社Meiji Seikaファルマ社の「社員を名乗る人物ら」が書いたとされていると、紹介されていました。これは大変重要な本ではないかとすぐに買い求めました。</p>
<p><strong>この本の書かれた理由など</strong></p>
<p>著者たちは、同社の若い社員がmRNAコロナワクチンの接種後に急死したことを契機にmRNAワクチンを詳しく検討し始めたとのことです。</p>
<p>その後、自社がこれまでのmRNAワクチンよりも危険な可能性がある「コスタイベ」発売を強行しましたが、それは売ることはできないと、仕事と生活をかけて、この本の出版を決意したと書かれています。そのため、公的なデータ、例えば、厚労省の医薬品を認可する審議会の「審議報告書」に記載されているものなどを根拠にして、会社側の攻撃にも耐えられるように書かれています。以下は、その一部です。</p>
<p><strong>ｍRNAワクチン全般について</strong></p>
<p>有害作用について、mRNAワクチンはこれまでのワクチンより極めて多数の害を出しており、死亡認定数はインフルエンザワクチンの100倍以上とのデータを出しています。また、予防接種健康被害救済制度認定者数は、過去45年10億回数超の従来のワクチンでは3522人、うち死者151人、それに対しコロナワクチンではわずか3.5年、４億回で7938人、うち死者773人です。</p>
<p>「心筋炎はコロナにかかった方がワクチンによるよりはるかに多い」との比較方法が捏造。ワクチンでは、接種者全員が分母ですが、コロナ感染者の分母は、感染者のほんの一部の入院した患者だけです。年齢も違うデータで比較しています。小島勢二氏が告発した、厚労省が「接種不明」を「接種なし」にした捏造と似ています。</p>
<p>mRNAは超低温での保存が必要ですが、使用期限が途中で伸ばされ、効果がどうかも示されていません。他のワクチンなら、保存状態による力価のテストがされています。例えば、武田製薬のMRワクチンの力価が落ちたため回収になっていますが、mRNAではそのよう追跡はされていません。</p>
<p>この本の指摘をまとめると、ワクチンが社会に登場するまでの異常に早いスピード、有効性の検証が不十分、過去に例がないほどの副反応のきつさ、厚労省自身による、業務停止レベルの誤情報の意図的拡散、死亡事例が出ても接種中止とならず、事業継続の判断、有効期限の度重なる延長。</p>
<p>これらがコロナにより薬の製造販売が「市民の健康より企業の利益」が飛躍的に進んだ現実と私は思います。</p>
<p><strong>「レプリコンワクチン」に</strong>ついて</p>
<p>mRNA が体内で増殖するのが特徴ですが、他のmRNAワクチンと同様に、LNP（mRNAを包んで壊れないようにしている物質で、多くの有害作用の原因の一つとして疑われている）が使われているなど、他のmRNAワクチンの問題点を持っています。</p>
<p>認可した審査報告書でさえ、コナミティより（副作用が多い傾向であり）「コスタイベ」の「安全性が向上したとは言えない」としています。また、「コナミティ」と比べて抗体価上昇が長く続くことを示すデータが提出されています。これは、効果の長さを意味しますが、他方で有害作用が長く続くことも意味します。</p>
<p>自己増殖を止めるというのは本当か？ワクチンの設計としてブレイカーがなく、増殖が止まっていたとの証拠はマウスの実験だけしかないことも、不気味です。</p>
<p>コスタイベは、ｍRNAによって作られるスパイク蛋白の量が不明で、既存のmRNAワクチンより一層わからなく、mRNAの自己増殖型では、これまでのmRNAワクチンより、さらに危険度が高い可能性がある。などとの「あたりまえ」の批判がされています。</p>
<p>なお、ワクチンそのものが他人に移ること（シェディング）については不明＝無いとの証拠もないとしています。</p>
<p>ワクチン開発の基本的な解説から見たmRNAワクチンと、レプリコンワクチンの問題点の指摘は大変重要と思われました。ご紹介しきれない重要なことが多く書かれているこの本の一読をお勧めします。</p>
<p style="text-align: right;">（はやし小児科　林敬次）</p>
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		<title>いちどくを この本『堤未果のショック・ドクトリン─政府のやりたい放題から身を守る方法』（NEWS No.587 p08）</title>
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		<pubDate>Mon, 30 Sep 2024 08:39:11 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[本の紹介]]></category>
		<category><![CDATA[587号2024年7月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[『堤未果のショック・ドクトリン─政府のやりたい放題から身を守る方法』 堤 未果 著 幻冬舎　940円＋税 2023年5月刊行 ＊2001年「9・11」、倒壊した世界貿易センタービルに隣接する世界金融センタービル20階にある米国野村證券が著者の職場でした。「20階から1階まで階段を駆け降り、ガクガクになった足で走りながら」事件現場に遭遇しています。 「本当に怖かったのは、テロ当日ではありません。(中略)あの日体験した地獄より、もっとずっと怖い世界。飛行機をハイジャックして、ナイフ1本で無慈悲に3000人を殺したテロリストよりも、さらに邪悪な者たちが存在すること」と、本書にはあります。 ＊事件後、米国中で「恐怖と怒り」が満ちていき「銃の売り上げが右肩上がりに上昇、国会では巨額の軍事予算が、満場一致で承認」「 (アメリカの治安と国民を守るため、通話記録の収集をはじめ、当局が国内の隅々まで監視する権限を持つ(太字は本書のママ) Patriot Act:愛国者法がスピード可決され、著者は米国の全体主義国家への変容を目の当たりにします。 ＊PTSD(心的外傷後ストレス障害)を呈し、「ニューヨークから世界をよりよい場所にするために全力を尽くしたいという夢」が米国への失望と共に崩れた著者は「24時間情報が飛び交い、出遅れたら負けという過酷な世界」の職場を辞し日本に帰国。心身の回復を得たのち、事件後の米国の真実を探すためにジャーナリストとして戻ります。その頃ナオミ・クライン著「ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く」(2007年刊行、日本語訳2011年)に出会います。9・11以後に現れた米国社会を分析する力を与える書物だったと思われます。 ＊本書では「ショック・ドクトリンとは、テロや戦争、クーデターに自然災害、パンデミックや金融危機、食料不足に気候変動など、ショッキングな事件が起きたとき、国民がパニックで思考停止している隙に、通常なら炎上するような新自由主義政策(規制緩和、民営化、社会保障切り捨ての三本柱)を猛スピードでねじ込んで、国や国民の大事な資産を合法的に略奪し、政府とお友達企業群が大儲けする手法です」との説明があります。 ＊このドクトリンの発端は「人格を破壊し、入れ替えるCIA(米国中央情報局)の拷問マニュアル」ノーベル賞受賞の経済学者ミルトン・フリードマン教授(シカゴ大学)が、国家全体にショックを与えて「破壊した後に、理想の経済システムと入れ替える」ことを考案。この学術的装いの「強欲略奪バイブル」に群がったのが、「再分配など気にせず、自由に好きなだけ儲けたいと願う銀行家と多国籍企業、投資家たち」でした。 ＊「もう一つの9・11。舞台は1973年9月11日のチリ」・・・「選挙によって選ばれた世界初のマルクス主義政権であるアジェンデ政権」の崩壊は「ショック・ドクトリン」の「実証実験」によるものでした。その後この手法は世界中に導入されていきます。ショック・ドクトリンの実践例を示す「世界のショック・ドクトリン事例」一覧表の掲載があり、東日本大震災、新型コロナパンデミックも挙げられています。「さもありなん！」と思うだけでなく、過去・現在の具体的な事例の真実を確認することによって為政者からの提案・政策を選択する力量を高めなければと思います。「情報へのアンテナ感度」を評価できる「違和感チェックリスト」も参考になります。「真実とはいつの世も、努力なしには手に入らない貴重品なのです」と書かれています。 ＊「3・11」「コロナ」に「便乗」してどのようなドクトリンが実体化されたかを巻末に参考文献を提示しつつ明らかにしています。 ＊第1章 マイナンバーという国民監視テク 本年12月2日から現行の保険証は発行されなくなり医療機関等を受診の際はマイナンバーカードを利用とのことです。カードを持たない私はどうしたら？？対策は本書の中にあります。このカードに含まれる情報一覧にはビックリ！です。小見出しを紹介します。 コロナ渦が大チャンスだった・マイナ保険証はここが危ない・日本人が知らない世界のマイナンバー事情・個人情報がすべて紐づけられた先に・・・最後に「最大資産個人データを死守するための十か条」 ＊第2章 命につけられる値札―コロナショック・ドクトリン・・・感染症を利用する「錬金術師たち」の動きを知ることが出来ます。 2009年「フェイク・パンデミック」と批判された豚インフルエンザとノバックスのワクチン。タミフルとラムズフェルド米国国防長官。ロッシュとWHOのインフルエンザ専門家。ギリアド・サイエンシズとレムデシビル。そして米国FDAワクチン諮問委員会とコロナワクチン、爆買いしていた日本政府への「回転ドア」を出入りした専門家と呼ばれる人々。 ＊第3章 脱炭素ユートピアの先にあるディストピア・・・「地震と原発事故」をビジネスチャンスとした「新自由主義信奉者」、太陽光パネル・電気自動車で政府の回転ドアをくぐった者たち、ショックから立ち上がる市民グループの動きの紹介。最後には騙されないぞ！と元気が出ます。（伊集院真知子）]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/587-8.jpg"><img class="alignleft size-medium wp-image-5888" title="587-8" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/587-8-315x500.jpg" alt="" width="189" height="300" /></a></p>
<p>『堤未果のショック・ドクトリン─政府のやりたい放題から身を守る方法』<br />
堤 未果 著<br />
幻冬舎　940円＋税<br />
2023年5月刊行<span id="more-5887"></span></p>
<p>＊2001年「9・11」、倒壊した世界貿易センタービルに隣接する世界金融センタービル20階にある米国野村證券が著者の職場でした。「20階から1階まで階段を駆け降り、ガクガクになった足で走りながら」事件現場に遭遇しています。<br />
「本当に怖かったのは、テロ当日ではありません。(中略)あの日体験した地獄より、もっとずっと怖い世界。飛行機をハイジャックして、ナイフ1本で無慈悲に3000人を殺したテロリストよりも、さらに邪悪な者たちが存在すること」と、本書にはあります。</p>
<p>＊事件後、米国中で「恐怖と怒り」が満ちていき「銃の売り上げが右肩上がりに上昇、国会では巨額の軍事予算が、満場一致で承認」「 (<strong>アメリカの治安と国民を守るため、通話記録の収集をはじめ、当局が国内の隅々まで監視する権限を持つ</strong>(太字は本書のママ) Patriot Act:愛国者法がスピード可決され、著者は米国の全体主義国家への変容を目の当たりにします。</p>
<p>＊PTSD(心的外傷後ストレス障害)を呈し、「ニューヨークから<strong>世界をよりよい場所にするために全力を尽くしたいという夢」</strong>が米国への失望と共に崩れた著者は「24時間<strong>情報が飛び交い、出遅れたら負けという過酷</strong>な世界」の職場を辞し日本に帰国。心身の回復を得たのち、事件後の米国の真実を探すためにジャーナリストとして戻ります。その頃ナオミ・クライン著「ショック・ドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く」(2007年刊行、日本語訳2011年)に出会います。9・11以後に現れた米国社会を分析する力を与える書物だったと思われます。</p>
<p>＊本書では「ショック・ドクトリンとは、テロや戦争、クーデターに自然災害、パンデミックや金融危機、食料不足に気候変動など、ショッキングな事件が起きたとき、国民がパニックで思考停止している隙に、通常なら炎上するような新自由主義政策(規制緩和、民営化、社会保障切り捨ての三本柱)を猛スピードでねじ込んで、<strong>国や国民の大事な資産を合法的に略奪し、政府とお友達企業群が大儲けする手法</strong>です」との説明があります。</p>
<p>＊このドクトリンの発端は「人格を破壊し、入れ替えるCIA(米国中央情報局)の拷問マニュアル」ノーベル賞受賞の経済学者ミルトン・フリードマン教授(シカゴ大学)が、国家全体にショックを与えて「破壊した後に、理想の経済システムと入れ替える」ことを考案。この学術的装いの「強欲略奪バイブル」に群がったのが、「再分配など気にせず、<strong>自由に好きなだけ儲けたいと願う銀行家と多国籍企業、投資家たち</strong>」でした。<strong></strong></p>
<p>＊「もう一つの9・11。舞台は1973年9月11日のチリ」・・・「選挙によって選ばれた世界初のマルクス主義政権であるアジェンデ政権」の崩壊は「ショック・ドクトリン」の「実証実験」によるものでした。その後この手法は世界中に導入されていきます。ショック・ドクトリンの実践例を示す「世界のショック・ドクトリン事例」一覧表の掲載があり、東日本大震災、新型コロナパンデミックも挙げられています。「さもありなん！」と思うだけでなく、過去・現在の具体的な事例の真実を確認することによって為政者からの提案・政策を選択する力量を高めなければと思います。「情報へのアンテナ感度」を評価できる「違和感チェックリスト」も参考になります。「真実とはいつの世も、努力なしには手に入らない貴重品なのです」と書かれています。</p>
<p>＊「3・11」「コロナ」に「便乗」してどのようなドクトリンが実体化されたかを巻末に参考文献を提示しつつ明らかにしています。</p>
<p>＊第1章 マイナンバーという国民監視テク</p>
<p>本年12月2日から現行の保険証は発行されなくなり医療機関等を受診の際はマイナンバーカードを利用とのことです。カードを持たない私はどうしたら？？対策は本書の中にあります。このカードに含まれる情報一覧にはビックリ！です。小見出しを紹介します。</p>
<p>コロナ渦が大チャンスだった・マイナ保険証はここが危ない・日本人が知らない世界のマイナンバー事情・個人情報がすべて紐づけられた先に・・・最後に「最大資産個人データを死守するための十か条」</p>
<p>＊第2章 命につけられる値札―コロナショック・ドクトリン・・・感染症を利用する「錬金術師たち」の動きを知ることが出来ます。</p>
<p>2009年「フェイク・パンデミック」と批判された豚インフルエンザとノバックスのワクチン。タミフルとラムズフェルド米国国防長官。ロッシュとWHOのインフルエンザ専門家。ギリアド・サイエンシズとレムデシビル。そして米国FDAワクチン諮問委員会とコロナワクチン、爆買いしていた日本政府への「回転ドア」を出入りした専門家と呼ばれる人々。</p>
<p>＊第3章 脱炭素ユートピアの先にあるディストピア・・・「地震と原発事故」をビジネスチャンスとした「新自由主義信奉者」、太陽光パネル・電気自動車で政府の回転ドアをくぐった者たち、ショックから立ち上がる市民グループの動きの紹介。最後には騙されないぞ！と元気が出ます。（伊集院真知子）</p>
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		<title>いちどくを この本『アルツハイマー病研究、失敗の構造』（NEWS No.578 p08）</title>
		<link>http://ebm-jp.com/2023/12/news-578-2023-10-p08/</link>
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		<pubDate>Tue, 26 Dec 2023 11:30:13 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[本の紹介]]></category>
		<category><![CDATA[578号2023年10月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[『アルツハイマー病研究、失敗の構造』 カール・ヘラップ 著　梶山あゆみ 訳 みすず書房　3200円＋税 2023年8月刊行 医問研ニュース先月577号では、アルツハイマー病用剤が近く承認されるという報道を踏まえて、精神科医の梅田さんが、ダイアモンド社のウェブ情報などを巧みに用いて、「アルツハイマー病(以下「ア病」と略記)の用剤レカネマブ承認は許せない」の文をまさに時宜を得てまとめられている。 梅田さんの論説の結論は「メガファーマがマーケティング戦略として病態仮説と無効で有害な「薬」を売り込み、患者、家族は得られるものが少なく、経済の負荷は図り知れない。承認は許せない」と極めて明快であり、大賛成である。 レカネマブ承認は強行されるだろう。この問題はこれからも尾を引くことは確実なだけに、この書籍を一読した感想などを重ねて記すことも意義があるのでないかと考える。 原著者のヘラップ氏は、基礎医学者(神経生物学者)である。医科大学教授で「医療人」ではあるが医師ではない。 原著の出版は2021年であるが、訳本には、2023年7月執筆の「日本語版に寄せて」が収められている。この中でヘラップ氏は原著のまとめ的な記載にも触れており、訳本はヘラップ氏が直近の主張を改めて表明した出版物ともなっている。この書を出版したみすず書房は帯カバーに「良心の一石」と記している。 ヘラップ氏はア病を老人病として位置づけている。P247で「私のモデルの土台には、老化なくしてア病なしという不動の事実がある。(中略) 老化を(ア病の)根幹に位置づけるのが私の狙いである」と記している。 ヘラップ氏は、今日のゆがみをもたらした最大の原因のひとつが、ア病の定義を都合よくゆがめたことにあるとする。p298で「ア病の定義は、患者の脳内の堆積物ではなく、患者の症状に基づくものにすべきである。臨床ベースの診断法に立ち戻らない限り、治療法に向けて前進することは永遠に叶わないだろう。この変更はそんなに大変なものではない。現状では神経科医・精神科医がア病の診断を下したにしても、脳組織を顕微鏡で調べてプラークともつれが足りないと病理学者が指摘したら、病理学者が議論に勝つようになっている。だから定義を修正する上では神経科医の診断がものを言うようにし、臨床症状をゴールドスタンダード(決定的基準)にするだけでよい、実際これは容易に実行できる。というのも、臨床症状があるのに顕微鏡所見の認められない患者は全体の15%に過ぎないので、残りの85%には影響が及ばないからである」と記している。 ヘラップ氏は、ア病を老人病と位置付けるとともに、境界を定めることが難しい疾患であることを何度も語っている。この観点からは、例えば高齢期にみられる忘れっぽさとア病のリスクとは重なっており異なったものではない。このような客観的な観点をもつことが、われわれがこれらに正しく対処していく上で役立つのでないかと考える。 最後に、最近のマスメディアの報道の在り方にも関連して、実質的な最終章である第13章「関連機関のあり方を見直す」 から、記しておきたい。 ヘラップ氏はp206 で広く「メデイア」と呼ばれるものも集団思考の醸成に一役買い、これまで私たちの前進を阻む一因となってきた。世論はもちろんのこと、研究分野の自己認識をも方向つけるうえで、学術雑誌の出版社とニュースメディアの果たす役割についても私たちは考えた方がいい」として、鋭い批判を展開している。 薬剤師・MPH(公衆衛生大学院修士)　寺岡章雄]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/578-8.jpg"><img class="alignleft size-medium wp-image-5648" title="578-8" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/578-8-345x500.jpg" alt="" width="207" height="300" /></a>『アルツハイマー病研究、失敗の構造』<br />
カール・ヘラップ 著　梶山あゆみ 訳<br />
みすず書房　3200円＋税<br />
2023年8月刊行<span id="more-5647"></span></p>
<p>医問研ニュース先月577号では、アルツハイマー病用剤が近く承認されるという報道を踏まえて、精神科医の梅田さんが、ダイアモンド社のウェブ情報などを巧みに用いて、「アルツハイマー病(以下「ア病」と略記)の用剤レカネマブ承認は許せない」の文をまさに時宜を得てまとめられている。</p>
<p>梅田さんの論説の結論は「メガファーマがマーケティング戦略として病態仮説と無効で有害な「薬」を売り込み、患者、家族は得られるものが少なく、経済の負荷は図り知れない。承認は許せない」と極めて明快であり、大賛成である。</p>
<p>レカネマブ承認は強行されるだろう。この問題はこれからも尾を引くことは確実なだけに、この書籍を一読した感想などを重ねて記すことも意義があるのでないかと考える。</p>
<p>原著者のヘラップ氏は、基礎医学者(神経生物学者)である。医科大学教授で「医療人」ではあるが医師ではない。</p>
<p>原著の出版は2021年であるが、訳本には、2023年7月執筆の「日本語版に寄せて」が収められている。この中でヘラップ氏は原著のまとめ的な記載にも触れており、訳本はヘラップ氏が直近の主張を改めて表明した出版物ともなっている。この書を出版したみすず書房は帯カバーに「良心の一石」と記している。</p>
<p>ヘラップ氏はア病を老人病として位置づけている。P247で「私のモデルの土台には、老化なくしてア病なしという不動の事実がある。(中略) 老化を(ア病の)根幹に位置づけるのが私の狙いである」と記している。</p>
<p>ヘラップ氏は、今日のゆがみをもたらした最大の原因のひとつが、ア病の定義を都合よくゆがめたことにあるとする。p298で「ア病の定義は、患者の脳内の堆積物ではなく、患者の症状に基づくものにすべきである。臨床ベースの診断法に立ち戻らない限り、治療法に向けて前進することは永遠に叶わないだろう。この変更はそんなに大変なものではない。現状では神経科医・精神科医がア病の診断を下したにしても、脳組織を顕微鏡で調べてプラークともつれが足りないと病理学者が指摘したら、病理学者が議論に勝つようになっている。だから定義を修正する上では神経科医の診断がものを言うようにし、臨床症状をゴールドスタンダード(決定的基準)にするだけでよい、実際これは容易に実行できる。というのも、臨床症状があるのに顕微鏡所見の認められない患者は全体の15%に過ぎないので、残りの85%には影響が及ばないからである」と記している。</p>
<p>ヘラップ氏は、ア病を老人病と位置付けるとともに、境界を定めることが難しい疾患であることを何度も語っている。この観点からは、例えば高齢期にみられる忘れっぽさとア病のリスクとは重なっており異なったものではない。このような客観的な観点をもつことが、われわれがこれらに正しく対処していく上で役立つのでないかと考える。</p>
<p>最後に、最近のマスメディアの報道の在り方にも関連して、実質的な最終章である第13章「関連機関のあり方を見直す」</p>
<p>から、記しておきたい。</p>
<p>ヘラップ氏はp206 で広く「メデイア」と呼ばれるものも集団思考の醸成に一役買い、これまで私たちの前進を阻む一因となってきた。世論はもちろんのこと、研究分野の自己認識をも方向つけるうえで、学術雑誌の出版社とニュースメディアの果たす役割についても私たちは考えた方がいい」として、鋭い批判を展開している。</p>
<p style="text-align: right;">薬剤師・MPH(公衆衛生大学院修士)　寺岡章雄</p>
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		<title>いちどくを この本『武器としての国際人権　日本の貧困・報道・差別』（NEWS No.577 p08）</title>
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		<pubDate>Mon, 20 Nov 2023 02:42:30 +0000</pubDate>
		<dc:creator>admin</dc:creator>
				<category><![CDATA[医問研ニュース]]></category>
		<category><![CDATA[本の紹介]]></category>
		<category><![CDATA[577号2023年9月発行]]></category>

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		<description><![CDATA[『武器としての国際人権　日本の貧困・報道・差別』 藤田 早苗 著 集英社　1,100円（税込） 2022年12月刊行 8月5日の新聞第一面に､ジャニーズ事務所前社長による性虐待を訪日調査した国連人権理事会｢ビジネスと人権｣作業部会の専門家*による日本記者クラブでの発言内容｢日本政府が主な義務を担う主体として捜査と救済方法の確保をすべきだ｣が報じられ､第二面には｢日本政府に救済迫る｣との大見出し､二名の特別報告者と｢ジャニーズ性加害問題当事者の会｣会員の写真を伴う｢検証｣と題した記事を掲載していました｡　(⋆)｢特別報告者｣(｢国連人権理事会によって任命された独立した人権の専門家｣) ようやく､ここに至られた被害者の方々への敬意と共に､福島原発事故に関係する｢国内避難民の人権に関する国連特別報告者｣セシリア・J・ダマリー氏の記者クラブでの会見(‘22年10月7日)の新聞報道はあったかな？と､取扱いに｢えらい違いやなぁ～｣と感じていました｡ 政府はどう対応するのでしょうか？2012年11月福島原発事故後の人権状況を調査した｢達成可能な最高水準の心身の健康の享受する権利に関する国連人権理事会特別報告者｣アナンド・グローバー氏の勧告に対してのように｢特別報告者の個人的見解｣とするのでしょうか？ ｢自己責任｣､公助に先立つ｢自助・共助｣の言葉を浴びせられ続けている者にとっては､この記事に何か新しい判断の基準を感じたり､国連がなぜ関与するの？と疑問を抱いてしまいます｡そのように感じる事の由来や疑問を､本書は解きほぐしてくれます｡ 本書第二部では､｢国際人権から見た日本の問題｣を貧困､経済活動､情報・表現の自由､男性の問題でもある女性の権利､入管問題など具体的な日本の状況を通じて明らかにします｡人権に対する国際的な到達基準､本来私たちが持つべき自身に対する価値観､人権を提示しています｡そして｢人権の実現には､政府が義務を遂行する必要があるのだ｣と説いています｡ 本ニュース第552号(‘21年8月)で原発賠償京都訴訟原告団(編・発行)の冊子｢国際社会から見た福島第一原発事故 国際人権法・国連勧告をめぐって私たちにできること｣を紹介しました｡原発事故による放射能災害に対しては2012年6月成立した｢子ども・被災者支援法｣がありますが､｢被災者の生活支援｣を具体化する法律は立法化されず､行政は｢災害救助法｣を根拠に被災者を避難住居から追い出す為に提訴するなど非人道的手段も辞していません｡ところが､国連人権理事会で日本政府は｢『支援法』に基づき必要な支援を行っている｣と回答しているのです｡原告団の冊子では｢国内外で二枚舌を使っている｣と批判しています｡ (避難者の権利擁護に尽力されている柳原敏夫弁護士によると､かつて1975年の｢公害国会｣では､被害者救済のため14件もの法律が成立していました｡) 私はこの冊子で｢国家には､国内避難民になる可能性のある国民を保護する第一義的責任を有する｣とする｢国内避難に関する指導原則｣が1998年｢国際人権法｣に基づいて定められていることを学びました｡あとがきに｢国連がたくさんの勧告を出してくれたのだから､まとめを出した方がいいと提案してくださった英国エセックス大学人権センターフェローの藤田早苗先生｣との紹介があり著者を知る事となりました｡ 著者は1999年｢国際人権法｣を同大学で学ぶために渡英｡本書には日本政府の｢特定秘密保護法案(2013年)､共謀罪法案(2017年)を英訳して国連に通報し､その危険性を国際社会に周知した経過も述べられています｡2016年の国連特別報告者(表現の自由)日本調査実現にも尽力され､また｢福島原発事故避難者に関する国際社会の動向と国内での応用｣と題する講演活動も続けておられます｡ 本書第一部は｢国際人権とは何か｣です｡ ｢国際人権｣とは国際的な条約､宣言､決議などによって示された人権の規範と制度の総称｡世界人権宣言に基づく人権条約(社会権規約・自由権規約)・人種差別､女性差別撤廃条約・子ども､障害者の権利条約など九つの条約のうち日本は八つを批准しており､日本国憲法(第九八条二項)は､条約を誠実に遵守することを定めている､なので｢国内でも法的拘束力｣を持ち､｢条約は法律に優位する｣とあります｡ しかし個人が条約機関の｢個人通報制度｣にて国際人権法に基づく救済を得る､即ち｢最高裁の後の救済制度｣を行使するのに必要な｢選択議定書｣を日本政府は批准していないのです｡ 国際人権法は､司法試験の労働法・環境法など選択8科目中の｢国際公法｣の一部ですが選択されることは少なく､2021年も合格者の約1.3%が選択したのみ｡日本の法曹界では､国際的な人権基準｢国際人権法｣を学んでいる人間が少ない事にも繋がっていると感じます｡ 第二次世界大戦中に欧州でナチスによる｢ホロコースト｣という大規模人権侵害を止めることができなかった反省から､国際社会は一国の人権問題は内政干渉してはいけない｢国内関心事｣ではなく｢国際関心事｣と決め､国連憲章・世界人権宣言の採択､｢国際人権｣を創出したことを学び､｢今どきは､そんなこと言っても・・｣に抵抗する元気を頂きました｡ 伊集院]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p><a href="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/577-8.jpg"><img class="alignleft size-medium wp-image-5617" title="577-8" src="http://ebm-jp.com/wp-content/uploads/577-8-306x500.jpg" alt="" width="184" height="300" /></a>『武器としての国際人権　日本の貧困・報道・差別』<br />
藤田 早苗 著<br />
集英社　1,100円（税込）<br />
2022年12月刊行<span id="more-5616"></span></p>
<p>8月5日の新聞第一面に､ジャニーズ事務所前社長による性虐待を訪日調査した国連人権理事会｢ビジネスと人権｣作業部会の専門家*による日本記者クラブでの発言内容｢日本政府が主な義務を担う主体として捜査と救済方法の確保をすべきだ｣が報じられ､第二面には｢日本政府に救済迫る｣との大見出し､二名の特別報告者と｢ジャニーズ性加害問題当事者の会｣会員の写真を伴う｢検証｣と題した記事を掲載していました｡　(⋆)｢特別報告者｣(｢国連人権理事会によって任命された独立した人権の専門家｣)</p>
<p>ようやく､ここに至られた被害者の方々への敬意と共に､福島原発事故に関係する｢国内避難民の人権に関する国連特別報告者｣セシリア・J・ダマリー氏の記者クラブでの会見(‘22年10月7日)の新聞報道はあったかな？と､取扱いに｢えらい違いやなぁ～｣と感じていました｡</p>
<p>政府はどう対応するのでしょうか？2012年11月福島原発事故後の人権状況を調査した｢達成可能な最高水準の心身の健康の享受する権利に関する国連人権理事会特別報告者｣アナンド・グローバー氏の勧告に対してのように｢特別報告者の個人的見解｣とするのでしょうか？</p>
<p>｢自己責任｣､公助に先立つ｢自助・共助｣の言葉を浴びせられ続けている者にとっては､この記事に何か新しい判断の基準を感じたり､国連がなぜ関与するの？と疑問を抱いてしまいます｡そのように感じる事の由来や疑問を､本書は解きほぐしてくれます｡</p>
<p>本書第二部では､｢国際人権から見た日本の問題｣を貧困､経済活動､情報・表現の自由､男性の問題でもある女性の権利､入管問題など具体的な日本の状況を通じて明らかにします｡人権に対する国際的な到達基準､本来私たちが持つべき自身に対する価値観､人権を提示しています｡そして｢人権の実現には､政府が義務を遂行する必要があるのだ｣と説いています｡</p>
<p>本ニュース第552号(‘21年8月)で原発賠償京都訴訟原告団(編・発行)の冊子｢国際社会から見た福島第一原発事故 国際人権法・国連勧告をめぐって私たちにできること｣を紹介しました｡原発事故による放射能災害に対しては2012年6月成立した｢子ども・被災者支援法｣がありますが､｢被災者の生活支援｣を具体化する法律は立法化されず､行政は｢災害救助法｣を根拠に被災者を避難住居から追い出す為に提訴するなど非人道的手段も辞していません｡ところが､国連人権理事会で日本政府は｢『支援法』に基づき必要な支援を行っている｣と回答しているのです｡原告団の冊子では｢国内外で二枚舌を使っている｣と批判しています｡</p>
<p>(避難者の権利擁護に尽力されている柳原敏夫弁護士によると､かつて1975年の｢公害国会｣では､被害者救済のため14件もの法律が成立していました｡)</p>
<p>私はこの冊子で｢国家には､国内避難民になる可能性のある国民を保護する第一義的責任を有する｣とする｢国内避難に関する指導原則｣が1998年｢国際人権法｣に基づいて定められていることを学びました｡あとがきに｢国連がたくさんの勧告を出してくれたのだから､まとめを出した方がいいと提案してくださった英国エセックス大学人権センターフェローの藤田早苗先生｣との紹介があり著者を知る事となりました｡</p>
<p>著者は1999年｢国際人権法｣を同大学で学ぶために渡英｡本書には日本政府の｢特定秘密保護法案(2013年)､共謀罪法案(2017年)を英訳して国連に通報し､その危険性を国際社会に周知した経過も述べられています｡2016年の国連特別報告者(表現の自由)日本調査実現にも尽力され､また｢福島原発事故避難者に関する国際社会の動向と国内での応用｣と題する講演活動も続けておられます｡</p>
<p>本書第一部は｢国際人権とは何か｣です｡</p>
<p>｢国際人権｣とは国際的な条約､宣言､決議などによって示された人権の規範と制度の総称｡世界人権宣言に基づく人権条約(社会権規約・自由権規約)・人種差別､女性差別撤廃条約・子ども､障害者の権利条約など九つの条約のうち日本は八つを批准しており､日本国憲法(第九八条二項)は､条約を誠実に遵守することを定めている､なので｢国内でも法的拘束力｣を持ち､｢条約は法律に優位する｣とあります｡</p>
<p>しかし個人が条約機関の｢個人通報制度｣にて国際人権法に基づく救済を得る､即ち｢最高裁の後の救済制度｣を行使するのに必要な｢<strong>選択議定書</strong>｣を日本政府は批准していないのです｡</p>
<p>国際人権法は､司法試験の労働法・環境法など選択8科目中の｢国際公法｣の一部ですが選択されることは少なく､2021年も合格者の約1.3%が選択したのみ｡日本の法曹界では､国際的な人権基準｢国際人権法｣を学んでいる人間が少ない事にも繋がっていると感じます｡</p>
<p>第二次世界大戦中に欧州でナチスによる｢ホロコースト｣という大規模人権侵害を止めることができなかった反省から､国際社会は一国の人権問題は内政干渉してはいけない｢国内関心事｣ではなく｢国際関心事｣と決め､国連憲章・世界人権宣言の採択､｢国際人権｣を創出したことを学び､｢今どきは､そんなこと言っても・・｣に抵抗する元気を頂きました｡</p>
<p style="text-align: right;">伊集院</p>
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